『運び屋』

クリント・イーストウッドが主演監督した『グラン・トリノ』から、もう10年経つのか。

この作品『運び屋』も、圧倒されました。

実話を基にしているけど、実際の事件のアウトラインのみを基にしてディテールは完全な創作だと思います。
その創作部分に込めているのが、まさに『グラン・トリノ』で描かれたモノと同じく。
アメリカの原罪と、
そのアメリカを正に体現してきた俳優クリント・イーストウッド自身の贖罪そのもの。

９０歳の運び屋を演じるクリント・イーストウッドの演技が・・・・
演技なのか？
現在の自身の素なのか？　
その境界が判らな程のリアリティです。

歩く後ろ姿の少し背中が曲がっている様子。
冒頭の随所で写される彼の表情、その少し虚ろを感じる眼差し。
仕事柄、多くの高齢者を知っていますが、スクリーンの中のクリント・イーストウッドの姿に演技を感じませんでした。まさに高齢者そのもの。

ところが、
話が進んで行くと、彼の瞳に力が戻ってくるんです。色気さえ出てきます。
やっぱ、演技だった。
それも８８歳になろうとしている自らの肉体をさらけ出しての。

映画で描いている物語と、クリント・イーストウッド自身の生き様と贖罪が混ざり合い、とにかくじわじわと圧倒されます。

１０年前の『グラン・トリノ』とこの『運び屋』は、クリント・イーストウッドの最高傑作だと思います。

そして、両作品に共通しているのがクルマ。
『グラン・トリノ』は車名が映画タイトルになっているように、登場人物のキャラクターを象徴して様々な車が登場します。
今作品ではクリント・イーストウッドが運転するリンカーンの高級ピックアップトラックが魅惑的な色気を放ってます。
めちゃくちゃロングドライブをしたくなりました。

クルマ好きなら尚更観て欲しい映画です。
ドライブしたくなること間違いなし。
映画見て、ヤバい物は運ばずにドライブに出かけましょう・笑