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2015年07月02日

続・軽自動車その歴史と現在 2015

続・軽自動車その歴史と現在 2015 5回にわたってここで掲載した軽自動車史・私論だが、ここまでが、時代をつくったモデル、あるいは時代に対応して新マーケットを拓いたという視点からの、2001年までの歴史である。

同じような視点から、その後の十数年を見ると、2003年に、ハイト系/トール系のコンセプトをいっそう過激にしたダイハツの『タント』が出現。このクルマは、乗員の頭上に広大な空間を抱えた「軽」という提案を行なって、一時代を築いたが、この新市場にはスズキが『パレット』と『スペーシア』で対抗し、今日に至っている。

また、新提案と商品としての成功が一致したという意味では、軽自動車に「クロスオーバーSUV」という要素を取り込んだスズキの『ハスラー』(2014年)が、2010年代で最も重要なモデルになるはず。同車については、今後、必ずや他社から追随モデルが出て、激しい競争が展開されるであろう。

さて、以上のように時代をリードした、あるいは一時代を画したというモデルがある一方で、「レア物」だったというか、その時代にはさほど受け入れられなかったが、敢然と、軽自動車として新コンセプトをトライしたというモデルがある。

たとえば『バモス・ホンダ』は、いち早く1970年に登場していた。いまにして思えば、これは「トール軽」の早すぎた提案だっただろう。また、同じホンダからの1990年代『ホンダZ』(1998年)は、エンジンを車室中央・床下に置いたミッドシップ乗用車だが、これもまた『バモス』同様に、いわば“単発提案”として終わった。

さらには、1999年登場(ショー発表は1997年)のダイハツ『ネイキッド』は、もし今日であれば「SUV的軽」と見なされ、カスタマー側もそういった理解で歓迎したのではないか。同様に、スズキからはこの時期に『Kei』というモデルも出ていた。今日の『ハスラー』の先駆モデルを探すなら、おそらく、この二車がそれに当たる。ただ当時は「SUV」という概念や言葉が一般的ではなく、これらは何となく意味がわかりにくいクルマ……という見方にとどまってしまったようだ。

また、00年代半ばには「スペシャリティ系の軽」というトライもあった。個人的には、この時の提案は「クォリティ軽」という言葉で呼びたいのだが、実用系やカーゴ系ではなく、セダン系としての「軽」をより充実させる。そういったスタンスのクルマが各社から登場したのだ。たとえば、スズキからの『セルボ』(5代目、2006年)、ダイハツからは『ソニカ』(2006年)。そして、スバルからの『R1』といったモデルである。

まあ、これらは実はどれも短命なモデルで、すべて、この2010年代までは生き残れなかった。これらの「スペシャルな軽」は、今後もやっぱりマイナーのままなのか。それとも、たとえばセダン+ワゴンの「クロスオーバー性」などをもっと巧く極めれば、これからの「軽」として時代とシンクロできるのか。このあたりは、ちょっとわからないところではある。

さらにいえば、軽自動車には、質実にして華麗な「商用車の世界」というのがあり、今回の軽自動車史では、その部分が(筆者の力不足によって)ゴッソリと抜け落ちている。前述の『バモス』や『Z』にしても、実は商用車のコンポーネンツを用いて乗用車フィールドに展開したというモデル群だった。

ともかく、軽自動車というジャンルがこれからも、この国で、そして世界で、クルマ世界の重要なカテゴリーであり続けることは確実。そういえばこのブログでも、「内なる“ガラ軽”とケーターハム」として、軽自動車が“ガラパゴス”なんかじゃないという主張を展開したことがあった(注1)。

ちょっとカゲキな表現を用いれば、これから先も、クルマ世界がワールド・レベルで「大衆的に」展開されればされるほど、大きなクルマは存在価値がなくなるのではないか。限りのある「道」や「街」を活かすためには、小さなクルマでないと、そもそも「ビークル」たり得ない。

まあ軽自動車の「規格」そのものは、これから先も、この国(日本)だけのものであるかもしれない。しかし、小さなクルマを作るための「技術」は、既に世界で必要なものになっている。たとえばダイハツが今日のマレーシアやインドネシアで展開しているクルマの開発と生産には、同社が軽自動車作りで獲得した技術やノウハウが盛り込まれているという。「軽」のワールド展開は、既に始まっているのだ。

注1:参照 https://minkara.carview.co.jp/userid/2106389/blog/c921398/p4/
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Posted at 2015/07/02 20:01:12

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