「緋の河」

男として生まれた。でも、きれいな女の人になりたいな―。蔑みの視線―。親も先生も、誰に何を言われても関係ない。「どうせなるのなら、この世にないものにおなりよ」その言葉が、糧になった。生まれたからには、自分の生きたいように、生きてやる。リスペクトがあるからこそ、想像力のリミッターを解除できた。事実と虚構の化学反応が生み出す、過酷で、美しく、孤独で、切なく、劇的で、潔く、笑えて、泣ける、ザッツ・エンターテインメント!



ゲイボーイの幼少時代からオトナのオンナになるまでを描いた長編。
女流作家らしく心情描写が細かくてゲイボーイの悲哀がじつによく表現されています。初恋の人との純愛路線は文芸タッチで切ない。
彼の存在を絶対に認めない父と兄に対して無償の愛を注ぐ母と姉とのコントラストが鮮やか。

読み進めていくとカルーセル麻紀さんをモデルにした本だということがわかります。パイオニアであったカルーセル麻紀さんにとってはマツコさんやミッツさんが違和感なくTVでMC張ってるこの時代は予想の範疇だったのかもしれません。
LGBTについて普段あまり考えることはなかったですけど「あたしはあたしになる」のはLGBTの人じゃなくても難しいですね。ノーマルだと思っている人こそ読むべき本かも。