• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

denglijunのブログ一覧

2022年12月23日 イイね!

車の経済学(68) 走行距離課税の経済学⑤

6.自動車産業の貢献度

現状での日本におけるCO2削減割合と主要各国との比較ですが、2001年との対比で、日本が23%削減でトップとなっています。CO2の削減は、産業破壊をもたらす可能性もありますが、1980との比較で、自動車産業の売り上げは20兆円から60兆円、納税は8兆円から15兆円、外貨獲得も8兆円から15兆円へと、大幅に上昇させました。この実績は、低迷している日本経済の中で、重要な試金石・指標となります。

(表11)


さらに、自動車産業は、トヨタの納税額を見ても分かる通り、多額な法人税を納め日本に貢献しています。

(表12)


出所:トヨタ自動車「有価証券報告書」

7.増税すると国は豊かになるのか?

11月2日、自動車工業会の会長であり、経団連モビリティ委員会委員長でもある豊田章男氏は、首相官邸で岸田総理らへ、以下を主張しました。「80年と足元で比較をしますと、自動車産業の売り上げは20兆円から60兆円、納税は8兆円から15兆円、外貨獲得も8兆円から15兆円へと、大幅に上昇しています。
そして、リーマン・ショックなどの危機をへても、550万人の雇用を守り続けてきました。

このコロナ禍においても、日本全体で88万人の雇用が減るなか、自動車産業は12万人の雇用を増やしております。
カーボンニュートラルについても、エネルギーのグリーン化が厳しい事情があるからこそ、BEVの一本足打法ではなく、日本の強みであるハイブリッド、軽自動車、二輪や水素もフルに生かした、日本独自の山の登り方で、CO2を削減していくことが必要ではないでしょうか。

政府におかれては、是非モビリティを政策の中心に据えつつ、日本の強みを生かしたやり方を骨太に議論いただきたいと考えております。

そして、規制から入るのではなく、私たちがしっかり働き続けることと、モビリティの発展やカーボンニュートラルの実現が両輪で回るよう、日本の基幹産業をしっかり支える税制への抜本改革も含め、ご支援をお願いしたいと思います。」

以上が、豊田章男氏の主張ですが、豊田章男氏の主張の中でも、もっとも心に残る部分は、

「(自動車産業は)経済の貢献を今の60兆円から100兆円に、雇用を550万人700万人に、そして税収を15兆円25兆円に引き上げるポテンシャルがあります。」と云えます。

かつて、「規制緩和が経済を活性化して、その結果、税収も増える」といわれましたが、今では、こんな声は今では全く聞かれなくなりました。

相変わらず、政府は、増税(財源確保)ありきで、まずは税収を確保し、日本国民の皆様の安全・生活を守りますという政策を展開・固執してきた結果、日本は20年間を失ってきました。

自動車産業は、100年に一度の大革命を迎えています。革命・変革は、大きなビジネスチャンスであると同時に莫大な資金を必要とします。一方、失敗したら(自動車産業が生き残れないなら)日本経済は死に体になる危険性があります。

繰り返しになりますが、自動車産業は、備品・素材、販売・整備、物流・交通、金融等と幅広い関連分野を持つ産業として日本の経済や雇用に貢献し、潤滑油としての役割を担っています。潤滑油という存在は、経済を活性化する役割を担っていますので、むしろ税負担を減らす方向の支援が必要とされるべきではないのでしょうか?

潤滑油が潤滑油として活躍するためには、出来る限り、自動車を走らせるということに他なりません。
この潤滑油としての自動車に走らせれば走らせるほど、税負担が重くなるというのが「走行距離課税」に他なりません。(CO2削減という国際的な課題の中、自動車メーカーの必死の努力の結果)、お陰様で自動車の燃費が良くなりました、その結果一部の税収が減りました。国民の皆様、更なる税収の補てんの方、宜しくお願いします。という事に他なりません。
霞が関・永田町としては、日本経済の潤滑油だからこそ社会にとって不可欠な存在、だからこそ税負担者としても不可欠な存在であり、その潤滑油こそ最大限課税すべきという発想なのでしょうか?

下記が、車が潤滑油として機能している身近な一例であります。

① 幼稚園が送迎するスクールバス、幼稚園にとっては、園児数の拡大のためには通園エリアを広げることが不可欠

→スクールバスの所有者に走行距離課税を課することが適切なのかどうか?

② メーカーの工場(通常、中心部から離れた場所にある)で、パートの仕事を得た女性の通勤用のマイカー

→マイカー保有者の女性に、走行距離課税を課することが適切なのかどうか?

紙面の都合で数少ない例で、申し訳ありませんが、走行距離課税は議論以前の問題であります。

政府は、中長期的な視点で、自動車関連諸税を議論・検討していくとしているが、100年に一度の大改革を推進している自動車産業であり、これからの数年間の自動車産業の変化は凄まじく、日進月歩の発展を遂げるものと期待します。政府の絵にかいた餅(増税プラン)が全く的外れになる可能性もあり、挙句の果て、さらに日本経済が混迷することにも成りかねなません。

最後となりますが、(増税ありきの)政治家・行政に日本の経済を任せるのか、民間に任せるのか、答えはあまりにも明白ではないのでしょうか?

今回のシリーズ「走行距離課税の経済学」は、今回で終了させて頂きます。
ご高覧有難うございました。



好評発売中
「車の経済学」(田 理順著、アマゾン電子出版)
「新・車の経済学」(田 理順著、アマゾン電子出版)

Posted at 2022/12/23 14:54:38 | コメント(0) | トラックバック(0) | クルマ
2022年12月22日 イイね!

車の経済学(67) 走行距離課税の経済学④

車の経済学(67) 走行距離課税の経済学④4.高価な電気自動車が消費者を苦しめる?

自動車保有者・利用者の税負担は、所得が伸びないという制約の中、既に限界に達していると想定されます。(表7-0)(61%+30%+7%=98%の方が税負担を感じている。)

さらに、今後、電気自動車の販売比率が増えることは必然ですが、電気自動車の車両価格は、ガソリン車に比較して、極めて高いことから、消費税額の税収が増えるものと想定されます。ただし、電気自動車の車両価格が高すぎることから、購入を見合わせる消費者も増えてくるかもしれません。

(表7-0)


出所:JAF(日本自動車連盟)アンケート(2021年8月~9月実施)


以下が国内メーカーの電気自動車の車両価格の一例ですが、ガソリン車に比較して著しく高いのは明白です。消費税率は、一律10%ですから、消費税額も高額ということになります。電気自動車に手が届かない人にとっては、引き続きガソリン車に乗り続け、国際的な使命であるカーボンニュートラルを達成できない可能性があります。

(表7)電気自動車の価格(エントリーモデル)


電気自動車の購入に際しては、現在、最大で92万円の補助金が出ますが、補助金が出たとしても、電気自動車は高い買い物になりますし、一時的な支援策で、今後も継続されるかは明らかではありません。

電気自動車は高額であるが故、消費者には大きな負担をもたらします。今後、増税ということにでもなれば、消費者に大きなダメージを与えることは必須ではないのでしょうか?

5.1台当たりの自動車保有コスト

世界の主要各国と1台当たり(13年間の合計)の課税額を比較してみましょう。いうまでもなく、日本が一番高いことが明確です。

(表8)

出所:日本自動車工業会の資料を筆者が一部修正(13年間の合計値)

(表9)


出所:「自動車関係課税のあるべき方向性を考える(2019年)」(JRI調査部 副主任研究員 立岡 健二郎氏作成)から抜粋
(注)総費用は、実質車両購入費、ガソリン・電気代、駐車場代、その他の自動車維持費、税負担額の合計額
実質車両購入費には車両本体価格のほか、リサイクル料金・ディーラー手数料を含む。電気自動車は、国や自治体からの補助金(40万円、東京都30万円)を適用しているほか、戸建ての普通充電設備費用(8万円)も含む。


日本は、G7諸国の中でも、一番所得の伸び率が低く、所得金額も下から2番目という国となってしまったことは、ご存知かと思いますが、この低所得の制約の中で、最も高い税負担を強いること自体が致命傷であり、自動車課税と心中せよと脅迫されているかの様です。

(表10)


好評発売中
「車の経済学」(田 理順著、アマゾン電子出版)
「新・車の経済学」(田 理順著、アマゾン電子出版)



Posted at 2022/12/22 14:04:50 | コメント(0) | トラックバック(0) | クルマ
2022年12月21日 イイね!

車の経済学(66)走行距離課税の経済学③

車の経済学(66)走行距離課税の経済学③3.納税者が納めている自動車関係諸税

以下の黄色のラインマーカー部分の税金を積み上げた金額を試算してみましょう。メンテナンス・修理に係る消費税、高速料金および自動車産業の納税する法人税等は、取り敢えず、除外します。さらに、中古車等の車両購入に係る消費税は含まれておりません。

(表4)


政府が説明する課税の範囲は、(表1)に掲げるもので、消費税(車体+燃料)が含まれていません。実は、消費税の税収入(1兆6,328億円+8,807億円=2兆5,135億円)が自動車関係諸税の中でも、最大の金額となっています。

(表5)


出所:日本自動車工業会作成の資料より 単位:億円

では、自動車関係諸税の税収(車体課税+燃料課税)の推移を見てみましょう。
近似値(線形)を見れば分かる通り、税収は減るどころか、微増傾向にあります。

(表6)

グラフは、総務省、日本自動車工業会の資料等を参考に筆者が作成。一部推定を含む。

税収が微増となっている原因は、以下の通りと考えられます。
① 燃料代が上昇している。(消費税増)
② 消費税率が上がった。(5%~10%)(消費税増)
③ 車両価格が上がった。(消費税増)

従って政府の主張する税収の減少(環境性能割+種別割+揮発油税+地方揮発油税+軽油引取税)している金額より、消費税による税収金額の方が大きいということになります。

(次回に続く)

好評発売中
「車の経済学」(田 理順著、アマゾン電子出版)
「新・車の経済学」(田 理順著、アマゾン電子出版)



Posted at 2022/12/21 15:15:54 | コメント(0) | トラックバック(0) | クルマ
2022年12月21日 イイね!

車の経済学(65)走行距離課税の経済学②

車の経済学(65)走行距離課税の経済学②
2. 政府(総務省)が主張する自動車課税の実態

まずは、自動車産業・消費者を管轄する監督官庁・地方自治体・団体等ですが、国土交通省、経済産業省、総務省、国税庁もしくは、その多くの税収が地方自治体に委ねられていることから道府県・市町村も加わり、あまりにも多くの行政が関与していることから、官庁間の調整に時間がかかる日本としては、収拾がつかない状態となっていることが危惧されます。

取り敢えず、監督官庁の一つである総務省の主張する課税の範囲をみてみましょう。

(表3)



出所:消費課税(令和4年10月26日)(総務省)
数値は、((軽)種別割+環境性能割+旧(軽)自動車取得税)の合計で、重量税は含まれていない。)

今回の走行距離課税の議論のベースとなったのは主として以下の理由によります。
① 車体課税(=環境性能割+(軽)種別割(国税である重量税は含まれていない))の税収が、ピーク時の平成8年(=1996年)と比較し4,300億円近くまで減少した。
② 税収減少を後押している背景には;
・普及している電気自動車の環境性能割が非課税で、毎年5月に納税する種別割で排気量が1,000CC以下の25,000円という最低税率が適用されている。
・エコカー減税(重量税+自動車取得税・環境性能割)やグリーン化特例(自動車税・種別割+軽自動車税)の軽課措置が行われている。
③ 今後、カーボンゼロに向けて、電気自動車の普及がさらに進むにつれ、税収の減少が懸念される。

等、主として以上の理由により、課税のあり方を検討するということですが、自動車関連諸税にうちの車体課税の税収が減少したからといって、この減収を補う手段の一つとして「走行距離課税」が提案されているものと想定されます。

自動車関係諸税の増税は、数ある自動車税の一部の税収が減ったからと言って、増税を議論すべき問題ではなく、自動車関係諸税全体の税収を鑑みながら、かつ自動車利用者の購買力・担税力を鑑みて、議論されるべきものであります。

こういう木を見て森を見ずという発想と一時的な税収減収を由々しき事態と捕え、将来の展望を語ることなく、増税ありきという発想は、縦割り行政の日本では、良く見られる事ですが、消費者・納税者としての個人・法人としても自動車課税はあまりにも負担が大きすぎるので、看過することは出来ません。

→本当に消費者の目線から、果たして自動車関連の諸税が減少しているのか、冷静に判断しなければなりません。

(次回に続く)


好評発売中
「車の経済学」(田 理順著、アマゾン電子出版)
「新・車の経済学」(田 理順著、アマゾン電子出版)

Posted at 2022/12/21 14:20:02 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2022年12月20日 イイね!

車の経済学(64)走行距離課税の経済学①

車の経済学(64)走行距離課税の経済学①信じられないニュースが飛び込んできました。去る10月26日に開催された政府の税制調査会で「走行距離課税」なるものが議論されました。
根拠としては、「2007年度には約4.2兆円だったが、15年後の2022年度には約3.2兆円の見込みとなり、約24%も減少し、今後、さらに減るのは確実」という主張であります。

既に、多くの専門家等が異を唱えるコメントを残していますが、筆者としては、経済的な見地から、「走行距離課税」の前提条件・根拠があまりにも不明確で、自動車保有者・利用者には受け入れる余地のない主張であることを、今回のシリーズ(「走行距離課税の経済学」で、コメントさせて頂きますの、興味がございましたらご高覧頂ければ幸甚です。

1. そもそも「自動車の税金」って何?

1)複雑なる自動車の課税制度の簡素化は、従来から議論されていました。自動車の課税体系を台本無しに語れる人がほぼ皆無ではないかと危惧します。それほど複雑・怪奇な税体系となっています。
課税制度の簡素化に関する議論が進まなかった理由として、簡素化する契機を悪用され、政府が増税してしまう可能性があるという懸念と、今後、さらに普及するのであろう電気自動車に関する税制・税収と支援策とが、その相関関係を含めて充分に議論・把握されていなかったことなどがあるのではないのでしょうか? 

もっとも、政府は一方的に増税してきたという訳でもなく、エコカー減税、グリーン化特例、自動税種別割の恒久減税、電気自動車購入に対する補助金等の減税・消費者負担の軽減を進めてきたこと事実であります。ただし、両手で歓迎できるというほどの内容でもありません。

一方、2050年カーボンゼロという世界的な使命に押されて、電気自動車(EV)には、過度な補助金とグリーン化特例およびエコカー減税(環境割、重量税および自動車税の非課税及び減免)が一方的に適用してきた政策の失敗のツケが早くも露見されてしまったという情けない背景があります。

もっとも早く露見されてしまったことは、政府には好都合であり、増税のキッカケを掴んだということかも知れません。(政府は、政策の失敗を何ら顧みることなく、その代償を国民に即押し付ける実に気楽な商売です!)
政府(総務省)の自動車税制の定義は、以下の「車体課税」という狭い範囲で捉えられており、私たち消費者の納税の範囲とは大きく異なっております。

(表1)車体課税の範囲(出所:「説明資料(令和4年10月26日)」総務省)


まずは、消費者の目線から見た自動車課税というものを整理してみる必要があります。

2) 消費者の立場で見た納税の範囲

一方、現在、私たち消費者が納めている自動車関係の諸税は、以下の通りと考えられます。黄色のラインマーカー部分の赤字の税目が、政府(というより総務省)が説明していないものとなります。まさに自動車を購入したら廃車になるまで(まさに、ゆりかごから墓場まで、しゃぶり付かれる)税とともに生きる宿命を負わされています。

総務省と言えば、地方自治体の管轄となりますが、地方税(道府県民税・市町村税)だけに的を絞った議論だけで、地方税の税収が減ったから、地方税を増税しなければならないというのは、あまりにも木を見て森を見ず、縦割り行政の弊害を、ストレートに押し付けてくるのは如何なものでしょうか?

(表2)


繰り返しになりますが、政府は、消費者の目線に立つことなく、自動車税の範囲を「車体課税」と狭い範囲で捉え、ここでの税収が減ったから増税が必要である議論は、あまりにも短絡的過ぎます。

自動車は、もはや3種の神器でもなく、多くの人にとっての生活必需品となっており、移動・輸送手段としての自動車があるからこそ、自動車産業は、備品・素材、販売・整備、物流・交通、金融等と幅広い関連分野を持つ産業として日本の経済や雇用に貢献し、潤滑油としての役割を担い、日本の基幹産業であることに間違いありません。

さらに、日本の自動車は、世界的にみても、品質が高くても低価格であるという、(欧米諸国に達成できなかった)相反する2面性を達成してきた上、自動車メーカーの経営効率も極めて高く世界を代表する有数企業としての地位を築き上げ、その結果、莫大なる法人税を日本政府・地方自治体に納付していることを忘れてはなりません。



(次回に続く)


好評発売中
「車の経済学」(田 理順著、アマゾン電子出版)
「新・車の経済学」(田 理順著、アマゾン電子出版)


Posted at 2022/12/20 15:18:22 | コメント(0) | トラックバック(0) | クルマ

プロフィール

「車の経済学(68) 走行距離課税の経済学⑤ http://cvw.jp/b/2877098/46622881/
何シテル?   12/23 14:54
カー・エコノミストの田理順(でん りじゅん)です。 BMWに約10年間乗りましたが、度重なる故障(何回ものランプ切れ、冷却水漏れ、オイル漏れ、パワーウィン...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/6 >>

1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930     

愛車一覧

スバル XV スバル XV
消費税増税前の2019年9月インプレッサから買い替え、2019年10月に納車されました。 ...
スバル インプレッサ スポーツ スバル インプレッサ スポーツ
スバル インプレッサ スポーツに乗っています。

過去のブログ

2022年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2020年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2019年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2018年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation