
恐らく、ジャガーだけでなくスロットル・バイ・ワイヤ式でない全てのクルマで、本来であれば実施されるべき作業です。
ある日、いつものようにYouTubeを開くと、見知らぬアメリカのXK(X100型XK8)乗りのおじさんが、やたらDIYで色んな整備をしている動画がリコメンド。興味本位で開いてみると、最初の投稿で少し気になる内容を発見。それは、「アクセルワイヤーの伸び」。
最後期モデルでも、工場出荷時より20年以上はゆうに過ぎている、初代V8ジャガー群。個体差があるとは言え、鉄のワイヤーである以上伸びは必ずあるはず。しかし、100%アナログなキャブレター式でもないので、多少の伸びは電子制御で誤魔化してくれているものと思い込んでいた。
実際はどうかと言うと、「アイドリング時」に限ってはそうなのだが、全開時はやはりペダル側、つまりワイヤーでスロットルバルブを全開にする信号を送らないと、燃料噴射も全開にはならない、というかそもそもバタフライが水平状態の完全な全開にならない。
結局のところ、経年でパワーが落ちたりキックダウンの踏み込みが増えるのではなく、そもそもアクセル開度の信号がコンピューターに対して正確に送られていない状態で走っていることになるのだ。
動画で観た通り、OBDを繋いで計測すると、ソブリン・デイムラー共に全開開度は80%台で、100%にするにはワイヤーの張り調整に加え、アクセルペダルのキックダウンスイッチを少し奥まで踏み込めるよう微調整が必要だった。
デイムラーの方はまだ試運転が出来ていないが、ソブリンの方は明確に効果を確認。当然だが、街中でも100%の出力をコントロール出来るので、非常に乗りやすくなる。今まで、踏み込んでも82%しかオープンにならなかったわけだから、大違いである・・・。
ネオクラシックの、比較的ハイパフォーマンスモデルにお乗りの皆さん、是非とも一度チェックしてみてほしい。OBDツールさえあれば簡単に確認可能だし、車種によっては調整も容易いはず。
※追記
この作業を自分でされる方には釈迦に説法と思うが、2つほど注意点を。
まず、NAと過給器付きでは、キックダウンスイッチの構造が異なり、NAは踏み込み量に対して自動キックダウン、R及びデイムラーは文字通りスイッチで、ボタン式になっています。
次にアクセルワイヤーの調整部分について、画像の指で示している部分のクリップで簡単に調整出来ますが、ここはXJ8及びXK8のテクニカルブリテンによると、タイラップで補助的に固定しろとあります。
中期以降は予め出荷時に留められているので、調整後は元通にしておくのがベターですが、このクリップは簡単には絶対外れないキツく留まっているので、私は自己責任で取り付けていません。
Posted at 2025/08/22 20:05:08 | |
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