多段トランスミッション考察

以前の大排気量無過給NAエンジン車では、その有り余る低速トルク＆粘りのおかげで
6～7段、重量物用ヘッドでHI/LO切り替え8～10段トランスミッションが一般的でしたが、

昨今の排ガス規制、車両の軽量化で小排気量直6ターボが主流になり、以前のような
ワイドレシオのミッションでは満足にパワーバンドに乗せて走らせることが困難になって
きました。

そこで段数の多いトランスミッションを搭載する訳ですが、当時国内メーカーには手持ちの
多段ミッションが無い．．．

ならば輸入しようという事で、ドイツZF社製ミッションを採用するメーカーが多かった様です。


そのZF製トランスミッションの操作方法も一癖あって．．．

いすゞフォワードFVZ増トン3軸車搭載のZF9S1110という9速ミッションなんですが．．．

シフトゲートが5速分しか（C1というのは極低速用ギアなんで実質4速）刻んでませんねｗｗ

これにはカラクリがありましてｗｗ

シフトノブにレンジ切り替えスイッチがあり、それをHI側に切り替え、1速のゲートに入れると
5速に切り替わります。
そして最終段8速までシフトアップできるという訳ですね。
9速と書きましたが、クローラーギアもHI/LO切り替え出来るので、実質10速です。


さらに段数の多いトランスミッションはどうチェンジして行くかというと．．．

これはUDトラックス　クオンGW　輸出仕様のZF14段のシフトノブの画像ですが、
（みんカラ内で丁度解り易い画像があったので．．．不都合ありましたらご連絡ください。すぐに削除いたします。）


先ほどのZF9段よりゲートの刻みは少ないですが、レンジ切り替えでメインギアは6速分ありますねｗｗ
これをどうするかというと．．．


このスプリッタS/Wでさらに2分割して、実質12段、クローラーギア2段で合計14段変速のトランスミッションになる訳ですね～♪

トランスミッション内部の構造としては、2段のレンジギア×3段のメインギア×2段のスプリッタギアでプラスクローラー2段で合計14段という事になります。（こちらのクローラーギアはレンジ切り替え出来ず、スプリッタのみなので、16段にはならない）




宇部興産専用道路を走るお化けトレーラー、ケンワースT800のイートンフラー製18段トランスミッションも操作方法は同じですが、内部構造がZF製と全く違う（カウンターシャフトが2組あるらしいｗｗｗ）し、ノンシンクロなので、これは又の機会にってことで（汗）


この様に、レンジを切り替えて1速に戻す動作でシフトアップ3、4速に入れなおす動作でシフトダウンという、複雑怪奇なシフト操作は日本人には受け入れられなかった様で、
別の操作方法を持つトランスミッションもありまして．．．

ダブルHパターンと呼ばれる操作方式



画像はいすゞギガのMJX16と呼ばれる16段トランスミッションの説明図ですが、ゲートが8段分切ってありますけど、4速から5速に切り替える時にシフトレバーを横に叩く操作を要求されていますが、
この動作がレンジ切り替え操作になり、実際のシフトレバーの動きは4段分の動きになります。

このトランスミッションは2段のレンジ切り替え×4段のメインギア×2段のスプリッタギアで、計16段の変速段を持つものです。

同じダブルHパターンを持つ車種としては、

日野プロフィア　A09Cエンジン搭載車がレンジ切り替え式9速トランスミッションを設定していますね。

他の国内メーカーの2デフ重量物トラクタのMT車もレンジ切り替え式の煩雑さを嫌って、
ダブルHパターンを採用しています。

以前、ボルボFH16のドライバーに聞いた話では、レンジ切り替え式は慣れなくて、新車でもらって最初の1ヶ月は泣かされたそうでしたｗｗｗ


トレーラーのウテシ皆さんは（特に重トレ海苔）昔からスプリッタ付きに馴染んでおられて乗りこなす事が出来たんでしょうけど、
最近は単車系まで多段トランスミッションが普及してきたので、MTを飛び越してAMTが普及したんでしょうねｗｗ


レンジ/スプリッタ切り替え式多段MTを巧みに操るウテシさんは尊敬に値しますね～♪