
昨年のクリスマスに息子がサンタさんからもらったランチア・デルタHFインテグラーレGr. A 1992年モンテカルロラリー オリオール車の1/10ラジコンカーキット。
息子はほぼ指一つ動かさずに、組み立てをにゃぴに丸投げ。
スキマ時間を見つけて、コツコツやって参りましたが、ようやく仕上がりました。
室内で微速前進させて直進性の確認をしたり、ステアリングセンターをトリム調整で出したり、準備を行いました。
が、走ってみてどうなのかは、広いところでやってみないと分からないものです。
公園なども他の人が居たりすると危ないので、なかなかチャンスが巡ってきませんでしたが、ようやくシェイクダウンできる機会がやってきました。
バッテリーは1本しかないので、トータル10分程度しかないものとして、ターマック5分、グラベル5分を目安に走ってみることにしました。
ターマックの最初の1分くらい、まずはにゃぴがテストドライバーになります。
ゆるく向こうの方まで走らせて、直進性や操舵の効きを軽く試し、こちらへ向けてUターンして停車。そこからこちらに向かって全開でスラロームを試みます。
スロットルは全開のまま固定というのに、なんとスピンしません。
これには驚きました。
同じことを後輪駆動のA110でやったら、あっという間にスピンです。
にゃぴは走らせるまでは、結構アンダーステアが強いのではないかと想像していました。手に持った際に、フロントヘビー気味のバランスに感じたからです。

デルタがFFベースの四輪駆動であるということを再現しようとしたタミヤの意地かどうか知りませんが、シャシが実際にその様な構造になっています。一番前の端っこにデカいモーターがマウントされています。
前輪と後輪の間のボディ左側にバッテリーが縦置きされるので、後の方の荷重はこれである程度稼げてバランスが極端に前寄りになることはありませんが。
実際にバッテリー込みの状態で測ってみると、
総重量:1606グラム
前車軸重:940グラム
後車軸重:666グラム
という具合で、フロント58.6%、リア41.4%の前後重量配分になります。
あまり極端に偏らないよう健闘している方かもしれませんが、やはりノーズヘビー気味なのです。
が、しかし、実際には確かに弱アンダーであるものの「どアンダー」にはならないです。よく見ると、後輪が僅かにアウト側に振り出されてアンダーステアを軽減している様です。しかも、四輪駆動の威力なのか、テールスライドはそれ以上は進まずスピンモードには入りません。弱アンダーのまま安定してしまうのです。
セッティングとしては、キットに入っていた標準のスプリングを使用し、ダンパーの硬さは説明書推奨の「中」にセットしてあります。タミヤのお薦めのデフォルトセッティングです。トー角やキャンバ角も、説明書推奨の標準状態です。
手前まで走ってきたら、再び向こうの方へ全開スラローム。
左に切っている状態から右に切るのを故意に急激にやってみても、全然スピンしません。
なんと…
これが、四半世紀の技術の進歩なのか…
コントローラを息子に渡して、4分間好きにやらせます。
ラジコン初体験です。
思っていた以上に速かったらしく、キャーキャー言いながら振り回して遊んでいました。操縦ミスは当然ありますが、それでも、やっぱりスピンは一度もしなかったのです。
そして、バッテリーが残っているうちに、グラベルのステージに徒歩で移動。
再び最初の1分くらい、にゃぴが試してみます。
滑る量は前後ともターマックよりは多少増えるものの、意図したラインから大幅に膨らんでしまうこともなく、挙動の印象に大きな差を感じません。ターマックよりグリップが減っている分、多少動きがマイルドな感じがするだけで、スピンモードに陥ることは、ここでもありません。
A110はオフロードに対応したシャシではなかったのでグラベル未体験ですが、A110でこんな操作をしたら、きっとクルクルとスピンばっかりで走れたものではないと思います。
なんと…
これが四半世紀を経たフルタイム四輪駆動と四輪独立懸架の威力なのか。
バッテリが無くなるまで、息子にコントローラを渡して自由に遊んでもらいました。どんなメチャメチャをやってもスピンしません…
翌日に、充電してバリバリ元気になったバッテリーでもう一度グラベルを息子が試したら、前日よりもう少しテールの振出し量が増えて、さらに小回りが効くようになりました。しかし、それでもスピンはしないのです。
この日は、最初にグラベルに行ったので、バッテリー電圧がまだ下がってくる前の元気な状態で、昨日とは少し違う挙動になったのかもしれません。
息子は、この動きも気に入っていました。
総括すると、このデルタは軽くテールスライドすることでアンダーステアを緩和し弱アンダー状態を作り出して、それを継続して定常円旋回することができ、積極的にスロットルを開けてトラクションを掛けていけるキャラクターです。ステアリングを急に逆に切り返しても、スピンにまで陥ることはありません。よって、ビギナーにはとっつき易く、速く走れます。その一方で、慣れてくると弱アンダー一辺倒では、操る楽しみに物足りなさを感じるかもしれません。といったところですかね。
最近のプロポは、スロットルレバーを1回リバース側に投入するとブレーキが掛かるので、旋回中に一瞬これをやったらリア荷重が抜けてオーバーステアに持ち込めるのかしら?と思いつきました。今度、機会があったら試してみようかな。
また、キャンバー角やトー角、前後のスプリングの硬さの変更、ダンパーの硬さの変更、前後でタイヤを変えてみる、などの組み合わせでニュートラル~弱オーバーステアにキャラ変更できるかもしれません。
比較の対象としたアルピーヌA110は、スロットルの開け方が乱暴だったり、ステアリングの切り込み方が急激だと、あっという間にテールスライドします。

(片や1992年モンテカルロラリー出場車。もう一方は、1971年モンテカルロラリー出場車)
慣れないうちは、A110はすぐにスピンしました。

(1/10同士でこうして見ると、A110は本当に小さい)
A110は、スロットルコントロールとカウンターステアがタイミングよく決まると、小回りの効いたカッチョ良いコーナリングができて快感ですが、にゃぴのウデでは成功率は低く、まだまだ厳しい修行が必要と思われました。

並べて比べてみると、同じ1/10スケールですが、実車の大きさの違いを反映して、ラジコンでもホイールベースがずいぶん違います。
アルピーヌはショートホイールベースの後輪駆動で、テールスライドが速く、神経をピリピリに張り詰めていないと対処できません。いや、張り詰めていても、よくスピンするのです。リアだけソフトコンパウンドのタイヤを履かせたり、いろいろして、ようやく「たまに上手くカウンターステアが決まる」くらいの代物です。
この2台は、この様に全然違うキャラクターですが、ラジコンが初めての息子には、このデルタのセッティングで良かったと思います。

なにはともあれ、次のサンタさんが来る前に仕上がって良かったよ~
(これが最重要だったりする)
まずは、本人の操縦練度を鍛えてもらおう。
セッティング云々の話は、それからだね。
あ、そうだ。
ボンネットに突き出した黒いボディ取り付け棒ね、他のボディに着せ替えをしないのだったら短く切らなきゃね。