
この記事は、
集団リンチ殺人…!?について書いています。
昨日付けのブログ「中央高速烈伝」のカテゴリーにおいて、
ワタクシの「復習」がてらに、以下のようなことを語っておりましたらば、
「原因において自由な行為」(action libera in causa)
「刑法39条を意図的に用いて、処罰を逃れようとする」もの。
飲酒・薬物使用により、自己を責任無能力の状態に陥れ、その状態で犯罪行為を行うことをいう。
例えば、
酩酊すれば傷害行為に出る性癖のある者が、多量に飲酒・酩酊して責任無能力の状態に陥るもその状態で他人をビール瓶で殴打し傷害するような場合が考えられる。(立石ニ六『刑法総論』より。)
↑
うーーーむ。
「酩酊すれば傷害行為に出る性癖のある者が、多量に飲酒・酩酊して責任無能力の状態に陥るもその状態で他人をビール瓶で殴打し傷害するような場合」
↓
「多量に飲酒」
「ビール瓶で殴打し傷害(致死)」
この文言・・・、
コレで思い起こされるケースって・・・、
時津風親方???
時津風部屋は、名古屋なので、
大変申し訳ないながら、
この話の続きは「名環」のカテゴリーにて・・・。
というくだりとなりました。
ここで、「時津風部屋は名古屋」の文言は、間違いです!
時津風部屋は、東京都墨田区です!
「名古屋」は、「事件が起きた場所」です!!
従って、
一審(地裁)と二審(高裁)は、
事件が起きた場所の名古屋で刑事裁判が行われました。
この、「裁判所管轄」の話は、
前にも一度、
チョロッと出てきてはいるんですが(「エリカ様」の話のところで)、それについては、また、後日、語りましょう。
で、
時津風親方の「罪責」ですが・・・、
とりあえず、以下のような「パターン」が考えられ・・・、
↓
↓
①「殺人罪」なら死刑または無期もしくは5年以上の懲役、
②「傷害致死」なら3年以上の有期懲役、
③「過失傷害」なら30万円以上の罰金または科料、
④「心神喪失者の行為は罰しない」なら無罪放免。
で、
時津風親方に対する処罰は、今のところ、②。
理論上も法律的な話としても、これが妥当な気は、します。
(「刑法理論」でいくと、③も結構有力な説のようです。さすがに③では、刑が甘すぎるので、検察も②で起訴しましたが)
でも、
私、
特に、
このブログでの「(走りを志す)私」の感性では、
「①(殺人罪の適用)が妥当」。
何故って、それは、時津風親方は、「格闘家」だから。
「人を傷つける力を魅せる」ことで生きている者、
しかも、
日本の「国技」とされている、
わが国の格闘の最上位に君臨する、
格闘家の中の格闘家と位置づけるのであれば、
「その、力の暴走には、
しかも親方という地位にありながら、
リンチという形で力を暴走させたこのケースでは、
最も重い罪に問われて当然だ」
という思いが強いのです。
しかし、「現在の法律運用の現実」としては、②(傷害致死)が妥当なようです。
が、②は、「普通の人」が暴力を振るった場合であり、
「格闘家が暴力を振るって(しかも弟子を用いたリンチ)、死に至らしめた」場合には、
① が適用されるべきだろう、と。
しかし、
現在はそういう考え方は、しないらしいです。
現状、
「普通の人」or「格闘家」の区別は、
「情状酌量」「量刑」において行っているみたいですね。
加害者が一般人の場合→「傷害致死罪」→情状酌量する→最低刑の懲役3年、
加害者が格闘家の場合→「傷害致死罪」→情状酌量しない→懲役6年
という具合に。
「格闘家だから①が妥当」という、
「私の考え方」だと、
加害者が一般人の場合→「傷害致死罪」
加害者が格闘家の場合→「殺人罪」
ということになるので、
同じ事実なのに「構成要件」(Tatbestand)がブレてしまう、
という、
「論理的なおかしさ」を示してしまうことになります・・・汗。
こういうコトでは、刑法専門家の方々からは、「バーーーカ」と罵られるのがオチなのはわかっているのですがね・・・汗。
自分としても、
ヘンな考え方であることを充分に自覚した上で、言いたい。
「格闘家が暴力を振るったときには、より重い罪に問われるのが当然だ」と。
(現在の法律的には、①の適用は、「殺人の意思はなかったであろう(刑法38条の兼ね合い)」という点でも、少し問題があるのです。でもそれについては、「コイツ、ぶっ殺してやる」という故意を持ってビール瓶で殴り、「お前ら、コイツをかわいがってやれ!」と命じたであろう、と認定するなら、可能だが、
現に検察は「傷害致死(傷害の故意で、結果として死に至らしめた)」で起訴したわけですから・・・汗)
それと、
○刑事訴追その他 について
暴行に関わった兄弟子3人は同年12月18日、名古屋地方裁判所にて執行猶予付きの有罪判決(うち2人は懲役3年、執行猶予5年、1人は懲役2年6月、執行猶予5年)が確定し、これを理由として相撲協会を解雇されている。
15代時津風の刑事裁判は、2009年5月29日、名古屋地方裁判所が懲役6年の実刑判決を言い渡した。被告人は即日控訴し保釈を申請。この申請が認められ、同日、名古屋拘置所を出所。保釈保証金は1,000万円。
2010年4月5日、名古屋高等裁判所にて控訴審の判決が言い渡され、名古屋高裁は一審終了後に被告人が退職金を被害弁済に充当したことなどを情状として酌量し、一審判決を破棄し新たに懲役5年の実刑判決を下した。被告人は即日上告した。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%99%82%E6%B4%A5%E9%A2%A8%E9%83%A8%E5%B1%8B%E5%8A%9B%E5%A3%AB%E6%9A%B4%E8%A1%8C%E6%AD%BB%E4%BA%8B%E4%BB%B6
より。
上告が受理されれば、この事件は、最高裁(東京)にくるのです。
事件の発生場所(名古屋)を離れて、
時津風部屋と同じく、
法廷の所在地は東京となります。
先にも書きましたように、裁判所所在地の話はまた後日。
一審:名古屋地裁判決 懲役6年
二審:名古屋高裁判決 懲役5年
三審:最高裁判決 ?
端的にいえば、裁判をやることによって、「減刑」されていますね。
裁判やればやるほど刑が軽くなる、ってわけですね。
この種の方の事件では、
個人的には、
「やればやるほど刑が重くなってしまう」という状況が望ましいと思っているのですが。
それにしても、
今回トラックバックさせて頂きましたブロガーの方の、
「この問題といい、朝青龍問題といい、大相撲の世界の対応は腐っている」
という、2007年時点での言葉は、
朝青龍引退の原因となった事件も、
「そういえば、そうなりかねなかったか」
という意味で、今から見ると、予言的に見えるものであります・・・汗。