さて、では吸気温度対策の
完結編に
入りたいと思います。
今回は、
②実際の吸気(入ってくる気体)
を如何に下げるかと言うATSの最新の研究について考えて見たいと思います(笑)
これまででセンサーの位置変更やセンサーそのものを化かすと言うインチキ技を
ご披露しましたが、それはあくまでECUの制御に対する”適正化”だったり
”一時的なお願い”でした。
でも、本丸のチューニングとすると生で入ってくる空気を如何に下げてやるか?がテーマと
なる訳です。これは1スロでも4スロでも他車でもどんな車でも共通なテーマです。
気体は温度が低いほど体積が小さくなり、酸素密度が濃い。
とにかくできるだけ冷えた空気をエンジンに吸わせてやれば馬力は出るのです。
ここで、ちょっと
部位を分けて考えて見ましょう。
吸気の経路を考える時、
①エアクリーナーからスロットルまで(黄色)
エアクリ含む経路はエンジンルーム内からの熱を受けて熱を帯びてしまう。
②スロットルからインマニ内部、そしてシリンダーヘッドまで(赤色)
インマニはエンジン側からの熱伝道や内部からの輻射熱を受けるのでインマニ本体は
放熱させたい。
と分けて考えます。
従って①では可能な限り熱を受けないようにする処理、すなわち”遮熱”
が正しいかと思います。②は”放熱”がテーマかと思われます。
まずは①への対策として当たり前な事から列挙します。(昔からの定番技)
・純正エアクリーナーだとエンジンルーム内の熱気を吸いやすいので
各種パーツで出来るだけフレッシュエアーを吸うように対策する。
エアクリ吸い込み口に”象の鼻”をつけるのは最高です。安上がりなパターンではホムセンで
売っているプラダンを使用して囲いや”象の鼻もどき”を何とか作って装着する。
見た目は悪くとも効果を取りましょう!
・エアクリ本体をサーモテープで断熱する。
エンジンルーム内の熱気は凄いのです。なのでボックス自体が熱を受けてしまうので
少しでの熱を受けないように断熱テープを貼ってしまうのが超有効です。
かなり昔からこれも実施されている方が多いのですが、理にかなっていると言う事なんですね~
※ただ、どうしてもあの見た目がイケてないと思う私はどうしてもこればかりは施行して
おりません。 やっぱり見た目やカッコ良さ優先の弱い男なんです。。。(笑)
とはいえ、気になった私は前回の走行で走行後にエアクリ本体や周辺の温度を測定しました。
※走行後、忘れていたのを急遽思い出して測定した為、しばらくたっての測定でした(汗)
エアクリ上部-----36℃
エアクリ下部-----38℃
インマニ -----54℃
この測定からも分かるようにやはりラジエーターの真後ろは熱風が当たるのでエアクリの温度が
高い。で、何よりもインマニ本体の温度はかなり高い。。。
わずかな厚みであるラジエーターを空気は通過するだけですぐに熱風になってしまう事には
驚きますよね。
これにより、低速時は吸気温度センサーが外気温より高い数値を測定する理由が分かります。
なので私も見た目を優先した為に綺麗なカーボンエアクリをそのままとしていましたが、
今後サーモテープを巻いて少しでも吸気温度を下げようと思います。。。
でも、それでもカッコを優先する私としては
見える下半分だけを貼り、上半分はそのままに
しようかと(笑)
※上の温度測定結果を考えると純正クリーナーケースの上側(上フタ側)にだけサーモテープ
を貼るのはあまり効果が無いように思います。
※プチ情報:カーボンのデメリットの一つとして熱伝導率の良さがあるんです。。。(汗)
見た目の良さや強度UP等がメリットなんですが、こんな所で熱伝導のデメリットが足を
引っ張るとは。。。
※無限エアクリ等のドライカーボンだと尚更です。なので勇気をもって見た目を捨ててこの
ドライカーボンを全面サーモテープ巻きしている方は超エライと思います!!
以上が①のエアクリ周辺への熱対策となります。これは昔から常識ですね。
余計な事ですが、一番やってはいけないのが”剥き出しタイプ”のエアクリをラジエーター後ろ
(つまりエンジンルーム内)に置く事ですね。
これはもろにラジエーターだけでなく、エンジンルーム内の”熱気”をまともに吸ってしまうので
どうにもならない程 (吸気温度=エンジン=パワー) にはよくありません。
よく、停車状態で吹かして”レスポンスが超良くなった~”な~んて思ってもそれは大間違いです。
その代わり、延長パイプでラジエーター前方など熱を受けずにフレッシュエアーを吸えるところに
設置するのは吸気温度と言う観点では良いです。(ただし、これにはこれで別デメリットも・・・)
では
今度は②のインマニ周辺について考えてみたいと思います。
そもそも熱伝導率の高いアルミの塊で出来ているインマニは得てしてエンジン本体の発する
熱が伝わり熱くなっていると思われがちですが、それは間違いないにしても、実際は
内部ポートを伝わってくる
シリンダーの燃焼による熱の”輻射熱”が大半だと言う
貴重な意見を師匠から聞きました。
つまり、内部のポートを伝わる空気で温まっていると言う訳です。
エンジン回転数が上がるごとに温度が上昇する事は排気温度からも分かります。
これはどうしようも無い事なので、
考えるべきは”放熱”です。
逆にもしインマニにサーモテープなどを巻いて”断熱”してしまうととんでもありませんね。。
※断熱・耐熱スプレーは逆効果です。
”放熱”対策としては、
WPC施行による”表面積の拡大”や、
クールテック等の最新の
放熱塗料を塗るのが良い手かと考えています。
(ATSはまだ未実施なのでこれはめちゃくちゃやりたい!!!)
アルミヒートシンクみたいに表面を施工出来たら面白いな!なんて事も考えています(笑)
で、こう言う事をモンモンと考えている内にたどり着いたのが少し前に公表した
”インマニすっきり作戦”だったのです。
実は面白おかしく見た目をスッキリさせたり、軽量化と言う風に書きましたが、
ATSの主眼はインマニへのウォーター経路を断つ事によるインマニ温度低減だったのです。
わずかではありますが、スロットルやRACVへのウォーター経路を流れる80~90℃の
熱を断ちたかったのです。
そもそも、この二つの機能は極寒地対策・冷間始動を目的として装着されている一方、
環境対策の厳しい海外(例えばマスキー法対策)に対応する為の措置とも聞いております。
詳しく画像でお見せした通り、スロットルも通路というより、パイプを接触させてあるだけ。
RACVも3cm四方を
温水で接触させているだけ。
もちろん、この機能には意味が無いと言う訳ではありません。
ただ、機能としては氷点下でのスロットルバタフライやRACVバルブの
氷結・固着対策
だと思われます。
北関東以北ならまだしも、南関東だと氷結なんてほとんど考えられませんよね?
仮に氷結するような温度で始動する時はセルを回す前に2~3回アクセルを踏んで
バタフライを動かせば大丈夫でしょ!?ってな感じで取り外す事を決意した次第です。
そもそも、水温が40~50℃まできっちり暖気運転をするクセのある私には心配が無いかと。
上の画像のインマニの温度が54℃だった事からもわかるようにチンチンのクーラントは
走行時に80~90℃で循環していますのでやはりわずかではありますがインマニを
温めているというか、
吸気温度低下の妨げになっている事は間違いありません。
メーカーがわざわざエンジンに対して施してあるモノや考えを取り払うのは私もかなりためらいます。
ただしかし、エンジンへの理想的な環境や私の使用形態を考えると取り外しても問題は
無しと判断し、実施し、走行した結果、温度データや走行フィールを鑑みると大成功だったと
喜んでおります。
オレボの中島さんともお話したらやはり同様の考えをお持ちでした。(さすがですっ)
色々考えるにしろ、実はビビリーな部分も持ち合わせているATSはさすがに実績が無い事
への施工は勇気が要りますが、先人が行いかつ問題無しと聞いたので安心しました。
※余談ですが、私のブログを見て早速実施された方が数名おられます。
ケンちゃんはダッシュで施行し、その周りのエス達も続々と実施中(笑)
更に、ご丁寧にメッセにてお伺いまで頂いた
この方も実施されたとの事。
※具体的な施行方法のお問い合わせをたくさん頂いておりますので
次号にて誰でも出来るように解説しますのでお楽しみに!
とにかくインマニ本体の熱を下げられればその内部を通過する
”吸気”は下がる方向になります。
今回は簡単な方法で出来る事を行い、成功しましたがここから先はインマニ本体に手を付けたり、
外部からフレッシュエアーをインマニ内側に当てて積極的に冷却させられないか?と
あの手この手を考えております。
それと、エンジンルーム内の
”空気の流れ”を考える事もとても重要です。
なぜ私が”ワンオフボンネット”を自作せざるを得なかったのか?が私の答えです。
つまり、純正車両はラジエーターを通過した空気は下から排出されます。
私はアンパネで完全に覆っている為にエアが下に抜けません(笑)
ただ、それはボンネットに穴を空ける事でむしろ大きなメリットとなります。
エアーの多くがこのボンネットダクトから上に向かって出て来てくれるからです。
どうしても市場品はデザイン優先だったり、エンジンルーム内の製作都合の形状だったりと
納得=満足のいくボンネットが販売されておりません(今も)
私が欲しかったのはボンネット後方でエンジン中央にダクトがあるボンネット。
つまりインマニとエキマニ、そして
エンジン本体に風が当たり、これらを冷やしてから上に
排出される位置なのです。
まぁ、そこにはデザインとのバランスの葛藤というか格闘があるので大変なんですが・・・(笑)
そして最後となりますが、これも
私の最新の研究なんですが
(と言っても何年やっているんだか(汗))
実はちょこちょこ吸気に
”水”を吸わせているのです。。
それはラジエーター冷却にも使用している
”PIVOTウォーターインジェクションスプレー”です。(廃番)
以前これについては少しだけ触れた事がありますが、私がこれをどのように制御しているのか?
と言いますと、
こちらに書いてあるウォータースプレーコントローラーを使用しています。
これのメリットはエンジン回転による噴射設定や噴射時間・間欠時間が設定できる事にあります。
ターボ車や単なるプッシュ式のスイッチで装着されている方も多いと思いますが、
お気付きの通り押しボタン式は実際のアタック中には使用できません。無理ですよ!!(笑)
スイッチで作動ONするタイプは噴射しっぱなしになるので水がいくらあっても足りない。
エンジンルームは汚くなるし、後続車には迷惑をかけるし、筑波では気付かれたら
すぐにオレンジボールが出ます(笑)
考えなければならないのは水温・油温が上昇する高回転時。
なので私はVTECの入った6,000rpm時に間欠噴射するように設定してあり、6,000rpm以下では
噴射しません。
その狙いのもう一つはアクセル開度にもあります。
つまり、6,000rpm以上の時は殆どアクセル全開。
アクセル開度100%で6,000rpm以上の状態でのインマニの中の吸気速度はマッハに近いと
言われております。
※一つ例を言うと無限のエアクリなんかもそうですが、鼻先が下向きとはいえ、実際の
雨天走行時は実は結構な水が入っているのです。それを心配される方もいらっしゃいますが、
説明は上述の通りで全く問題ありません。
それを言ったらラム鼻を付けている車両は雨天走行でぶっ壊れちゃいますよね!?(笑)
と言う事で、ちょっとの水がエアクリに入ったところで
水は霧化され、吸気温度低減に
劇的に役立ってくれます。
くれるはず!???
ただ、これに関してはまだ謎の部分が多いのです。ここからさらに掘り下げてお話をすると
偉く難しい話になってしまいます(笑)
これまでの私は水の量を変えては運転しているフィーリングで判断せざるを得なかったのですが、
基本的に未だに効果の体感が出来ていません。なぜならば全開高回転時での判断となるので
体感では難しいのです。
で、別にこの為だと言う訳ではありませんが、この一年はあらゆるデータを取り、その為の
センサーや追加メーターを拡充して参りました。
昨年末はNOS装着も相まってA/F計や今回排気温度計を装着できたので今後は
水を噴射してエアクリから吸わせたら
・体感フィールはどうなるのか?
・その時にA/F値はどうなるのか?
・その時に排気温度はどうなるのか?
・その時に吸気温度はどうなるのか?
などなどこれからも自ら実験して模索していきたいと考えております。
ただし、言っておきますとサーキットのアタックではまだこれはやっておりませんので。
走行時は噴射ノズルの向きを変えてラジエーターのみの冷却に当ててます。
(そんな事やっているから遅いんだよ~という声が空から聞こえてきました(爆))
これは私の長年の興味の対象でもあるので今後もチョコチョコ勉強しながら何か画期的な物が
出来ないかと頑張ってみたいと思います。
水や高価なNOSの亜酸化窒素だけでなく、炭酸ガスや窒素ガスなど色々ガスはあるので
色々試してみたいな~・・・
ダイナパックがあればその場でラム圧までかけて色々調べて見たいな~
など妄想はつきません。
ダイナをお持ちのショップさん、私に愛の手を貸してくれませんか??
以上を持ちまして水温及び吸気温リタード対策に関して長々と書かせて頂きました。
今回のシリーズにおける私の考察や実施した施策に対しての多くのコメントやイイね!を
ありがとうございます。
あらゆる考えが有る中で多くの友人にアドバイスを頂きながらもATSは色々考えてはシコシコ
試しております。
今日もいよいよ夏のような気温になってきております。今からいくつかでも吸気温対策をすれば
ご自分のエスもちょっと違った吹け方をしてくれるかと思いますのでAP1海苔は出来る事から
色々やってみて下さい!
そのような訳で私もまだ未実施な事や仕様変更の可能性も含めて今後もちょこちょこ
やっていきますが、随時ご報告出来たらと思います。