ツイッターでこんな画像が流れてきました。
中東で、トラックの荷台に武器積んだもの（テクニカルと言われているそうで）が、ゲリラの戦力になっているそうで、この手のベースになるトラックは、信頼性から日本製が選ばれることが多いとか。
元々、盗難件数の多いランドクルーザーやハイラックス、日産パトロール（日本名サファリ）あたりがよくこの手のベースになるようなのですが、まさかサニトラ、しかも痛車というのが実にシュール。
色々聞いていると、どうもこのサニトラは盗まれたもののようで、それが巡りめぐって中東でISISの武器になってしまわれたようです…。

日産車なのにISISとはこれいかに…という冗談はさておき、これでわかったのは、盗難車はやはり輸出されてしまうことで、国内で見つけるのはほぼ不可能…ということ。（車にもよるでしょうけど）
大体が部品単位でばらしてコンテナ積み込まれ、輸出した先で同じ車種の別の車の部品なんかも使ったりして組み立てて売られる…ってパターンらしいです。
ちなみにランクルが盗まれる要因に、車自体の頑丈さもさることながら、世界のどこでも部品が調達できることで、分解→輸出→再組み立ての作業がしやすいのもあるとか。
サニトラも、2008年まで南アフリカで新車が売られていたため、部品調達はランクルほどでないにしても、それほど難しい車ではないのかも。
今でも現役のサニトラも多いですから、信頼性も折り紙つきですし…。

同様の話は四輪に限らず、実は２輪でも起きています。


今から2年ほど前まで「ホンダXLディグリー」というオフロードバイクを所有しておりまして、思い入れのあるバイクだったので、故障が増えて足用に使えなくなって以降も、練習用とか遊び用途で手元に残していたのですが、結局動かす機会は少なくて、まだ動けるバイクだったことで値段もつくだろう…と売りに出したのですが、21年落ち・10万kmオーバーの旧車に、最終的に付けられた値段は10万円！
値段つけばいいだろ…くらいのつもりでいたので、正直驚きました。
買い手は、バイヤーだったようなのですが、引き渡しの際にそれとなく「なんで高値がついたのか」など、色々聞いてみたんです。

どうやら、このディグリーというバイクが、当時から中東方面で引き合いが多かったらしくて、それに気付いたバイヤーが買い漁っていた模様。

ディグリーというバイク自体、バランスよくて走れるけれど、250のトレールバイクは、国内ではヤマハ・セローが圧倒的に強く、水冷エンジンなどで性能的にはセローを上回るものの、オンロード重視の作りで「オフロードはまるでダメ」と烙印押されたり（実際はそうでもないんですけどね）、見た目が地味で安っぽいこと、そもそもセローの後追い…ということで、国内では人気いまひとつのバイクだったのが、「高性能の割に安くて頑丈」ということで、海外では好評で迎えられ、国内ではろくに値段もつかない不人気車が脚光を浴びた…ということだったようです。

・・・しかしこのディグリーと言うバイク、ある意味では「クールジャパン」を体現しているようなバイクでして、一旦廃車した当時は、20年10万kmオーバーにもかかわらず、まったくエンジンはくたびれておらず（まめにオイル交換していたこともあるんですけど）、１→２速が時々入りづらくなることを除けば、ほぼ問題はなし。
経年によるトラブルこそありましたが、部品は欠品ありませんし（今はわかりません。旧車に冷たいホンダのことですし）、処置さえすれば元通り。
納屋で１０年近く放置され、その後は一転してこき使われましたが、頑丈なバイクでした。
オフ車ですから、未舗装路でもガンガン進め、舗装路の少ない海外ではきっと活躍してくれるでしょう。
そういえば、いつだったかベトナムへ向かったマイミクさんから、路上で大量に売られているディグリーの写真を見せられたことがあるのですが、もうあの頃からディグリーの海外流出は始まっていたのかも。


中東に輸出されるのはわかりましたが、果たしてどんな用途で使われているのか…そこまでは突っ込みませんでしたが、まあゲリラの偵察用とかで使われてるんじゃないだろうか？と、積車に積んで去っていくディグリーを見て思ったのですが、冒頭の武器積んだサニトラ痛車見て、ふとそんなことを思い出した次第です。

「盗んだ挙げ句に戦争に使うなんて！」と、憤る声もあると思いますが、車を盗むのも、それを戦争に使うのも、すべて実際に起こっていることです。

我々が出来るのは、盗まれないように対策しっかりやることと、世界の現実を知り、考えること…くらいじゃないかなあ…なんて思ったりします。