F1と一言で言っても、時代により全然見た目が違う。
オイラが見てきた70年代以降だけでも、進化によりデザインが全然違ってきているのが凄いなと思う。
70年代のF1を代表するマシンと言えば、ウイングカー以前ならば1975年のマクラーレンM23かな。
今と違い幅広いモノコックが特徴。ツインチューブ式アルミハニカム材のモノコック故に、幅広く作ることで剛性を得ていたんだろうね。

同じく70年代代表はタイレルP34。
タイレルかティレルかは論議を呼ぶけど、この時代ならばタイレルと呼んだ方が違和感が無いかな。
前方投影面積低減を狙ったフロントタイヤの小径化→グリップ不足を補うためにフロント4輪化…という6輪車だった。
後にレギュレーション変更で4輪までと決められてしまったんで、76年77年のみ出走。

そして70年代も後半に入ると、エポックメイキングなマシンが登場し、その代表作がロータス79。
モノコックサイドにウイングを仕込んだウイングカーコンセプトを投入。
圧倒的なダウンフォースにより、コーナーの速さを見せつけ、他チームのほとんどが右にならえしてしまったほど。

そのロータス79とほぼ同時期のフェラーリ312T3。
フェラーリは水平対向12気筒エンジンを使用していたんで、ウイングカー構造を取りにくく、この時代はイマイチ元気が無かった。

80年代に入り、ウイングカーのコンセプトがどんどん進化し、サイドポンツーン内のウイングだけで充分なダウンフォースを得られると判断したために、フロントウイングレス仕様も流行。
その代表作がブラバムBT52。

さらにウイングカーを極めたのがアロウズA2。
フロントウイングは無いし、完全に車全体がウイングみたいなデザインを採用。
フロントサスアーム上にもボディカウルが載るという斬新なデザイン。

どんどん進化していったウイングカーだったが、スピンして後ろ向きになるとダウンフォースが一気に無くなり、浮力が発生し危険との判断で、禁止になった。
そこで、シャシー下面をフラットにするというフラットボトム規定に移行。
失ったダウンフォースをどう得るか…のデザインになり、巨大なリアウイングが登場。
これはマクラーレンだけど、このMP4/2の元はウイングカーだったMP4/1で、同じモノコックから違うマシンに仕立てるのは、当時のマクラーレンのやり方だった。
ちなみに、このMP4シリーズは初のカーボンモノコック採用車だった。

マクラーレンは大きなサイドポンツーンを採用したけど、その一方で超コンパクトなサイドポンツーンを持つマシンも登場。
これはティレル(あえてタイレルと呼ばない)012。

そして、フラットボトムも進化していったんだけど、今度は低重心化を極めるマシンが登場。
きっかけはブラバムBT55だけど、そのコンセプトを極めたのがマクラーレンMP4/4。

80年代終わりごろになると、独創的なデザインのマシンが続出し、その代表作はロリー・バーン作のベネトンだろう。
特に、このB188はどのマシンにも似ていないデザインを採用。
そして80年代終盤に登場し、90年代初頭に手腕を発揮したのが、現在レッドブルのマシンをデザインしているエイドリアン・ニューイ。
彼が手がけたのがレイトンハウスのマシン。
空力を攻めすぎたためにトラブルが続出だったけど…。
その一方で、マクラーレンのMP4シリーズをデザインしたジョン・バーナードがフェラーリに移籍して作り上げたのが、この640。
これも、どれにも似ていない独創的なマシンだった。

90年代に入り、奇抜なデザインのマシンが登場した。
ノーズが高くなり、吊り下げ式のフロントウイングを採用したティレル019。
フラットボトムを極めるに、シャシー下面に積極的にエアーを入れようというデザイン。
このようなハイノーズは現在のF1にも受け継がれている。

ハイノーズは色々な解釈がされ、ウイングを1本だけの支柱で吊るしたのがフットワークアロウズA12。
しかし、これは失敗作だった。ウイング支柱の強度が足りず…。

ある意味、ティレル019のコンセプトを進化させたのが、このジョーダン191だろう。
新興チームながら、トップチームを脅かす存在となった。

レイトンハウスでその才能を開花させたエイドリアン・ニューイがウイリアムズに移籍し手掛けたのが、このFW14B。
よく見ればレイトンハウスのマシンによく似ていて、コンセプトは変わっていないのに気づく。
アクティブサスペンション採用で、車高を常に一定に保つことで安定したダウンフォースを得ていた。
その後90年代ではアイルトン・セナの事故死により、進化し過ぎたフラットボトム(とディフューザー)規定にメスが入り、下面に段差をつけるステップドボトムに変更され、尚且つトレッドが狭くなり、タイヤには溝が入った。
これにより、安定したダウンフォースが得られず、さらにメカニカルグリップが低下し、コーナリングスピードが低下した。
それを補うために、再び試行錯誤することに。
ある意味失敗作だったけど、ステップドボトム化により生み出されたのがこの通称“セイウチノーズ”のウイリアムズFW26。
失ったダウンフォースを得るために、サイドポンツーンにいろんなフィンなどが付き出したのが2000年代。
お世辞にもカッコイイとは思えなかったこれらのフィン類は、後に禁止される(↓はスーパーアグリSA07)
そして、早くも今年の最強マシンと呼ばれているレッドブルRB7。
ハイノーズが導入されたあと、意外と基本デザインが変わっていないと気付く。
どの時代のF1もカッコイイと思うが、やはり80年代~90年代初頭がいちばん美しいかも知れない(あくまでオイラの個人的意見)