WRC第3戦メキシコは初日の2SSを終了。フォルクスワーゲンのセバスチャン・オジエが僅差でトップに立っている。
この日は、セレモニアルスタートを終えてすぐに始まるグアナファト市内のステージと、レオンサーキットの2箇所が舞台となった。いずれも1.01km、4.6kmと短く、本格的なステージは金曜日からスタートする。
SS1ではヒュンダイのティエリー・ヌービルがトップタイムを獲得し、フォード・フィエスタRS WRCを駆るロレンツォ・ベルテッリが0.2秒差、オジエが0.4秒差で続く。しかしSS2ではオジエがトップタイムを出してヌービルを逆転、1.2秒差で首位に立った。
競技2日目は金曜日の午前9時2分(日本時間7日0時2分)に、SS3からスタート。計8SS、145.13kmという構成となっている。また、SS4/8は44.13kmというロングステージとなっており、先頭走者のオジエにとっては最初の難関となりそうだ。
ラリーは競技2日目を終えて、フォルクスワーゲンのセバスチャン・オジエが先頭走者の不利を跳ね返す快走で首位。2番手にはラトバラ、3番手はシトロエンのマッズ・オストベルグというオーダーとなっている。
この日は計8SS、145.13kmというステージ構成となったが、オープニングのSS3では前日7番手につけていたMスポーツのオット・タナクがクラッシュし湖に転落、早々に戦線離脱することに。クルーふたりは脱出したものの、マシンは完全に水中に没してしまい、デイリタイアとなった。
続くSS4は44.13kmというこの日最長のステージ。先頭走者のオジエにとっては難関になると思われたが、SS2番手のオストベルグに8.8秒の差をつける堂々のトップタイムをたたき出した。このSS4ではヒュンダイのヘイデン・パッドン、シトロエンのクリス・ミークが序盤でストップ。また、途中までオジエを大きく上まわるペースで走行していたフォードのロバート・クビカが相次いでストップするなど、荒れた展開となった。
SS4の再走となったSS8では、総合2番手につけていたヒュンダイのティエリー・ヌービルが終盤でクラッシュしストップ。これによりラトバラが2番手、オストベルグが3番手に繰り上がることとなった。
オストベルグは続くSS9でベストタイムをたたき出してラトバラを追うも、この日の最終SSとなったSS10では僅差に終わり、大きく差を詰めることは叶わなかった。
競技2日目を終えて上位3台は、首位にフォルクスワーゲンのオジエ、2番手ラトバラ、3番手オストベルグという並び。4番手にはフォルクスワーゲンのアンドレアス・ミケルセン、5番手にはフォードのエルフィン・エバンス、6番手にヒュンダイのダニ・ソルドというオーダーで、シトロエン、Mスポーツ、ヒュンダイともに実質1台体制での戦いとなっている。
競技3日目は30kmと40kmのロングステージを計4回走行、全部で8SSのタフな一日。SS11は日本時間の8日0時28分スタート予定。
ラリーは競技3日目を終えて、フォルクスワーゲンのセバスチャン・オジエが首位をキープ。2番手にはシトロエンのマッズ・オストベルグ、僅差の3番手にはアンドレアス・ミケルセン(フォルクスワーゲン)がつけている。
競技3日目は約30km、約40kmというロングステージが連続する1日。前日水没してしまったオット・タナクのフォード・フィエスタRS WRCは朝のサービスを5分遅れで出発したものの、トラブルで再びストップ。この日の出走を諦め、再修理して最終日のステージに臨むこととなった。
スタート時点で首位のオジエと2番手ラトバラの差は13.5秒。ラリーはまだ中盤で、オジエとしても安全な差とは言えない。オープニングとなった30.27kmのSS11ではオジエがベストタイムを獲得するが、ラトバラも0.2秒差で食らいつく。続く42.90kmのSS12でもオジエはベストを獲得するが、ラトバラはこのステージで左リヤサスペンションをバンクにヒットして破損。ダメージは大きく、サスペンションと左後輪を失ってしまった。6分13秒8の遅れでステージは走り切ったものの、3輪走行は規定上認められずデイリタイアとなってしまった。これにより総合2番手にオストベルグ、3番手にはミケルセンが繰り上がったが、オストベルグと首位オジエの差は50.5秒と大きく開いている。
多少楽になったとはいえ、オジエはその手綱を緩めない。その後SS18までの6SSでオストベルグがオジエを上まわったのはSS16の1回のみとなった。ライバルを完全に押さえ込み、この日を終えた段階でふたりの差は1分15秒2まで開いている。
一方で熱を帯びてきたのがオストベルグとミケルセンの2番手争い。同じノルウェー出身ドライバーのふたりの差は4.5秒と接近しており、予断を許さない状況となっている。最終日に残されたSSはわずかに3SS、計74.66kmとなっているが、オープニングステージのSS19は55.82kmという今大会最長の距離を誇る。このSSが勝負どころとなる可能性が高く、目の離せない戦いとなりそうだ。
競技最終日は日本時間の9日0時53分スタート予定。
ラリーは競技最終日を終え、フォルクスワーゲンのセバスチャン・オジエが首位をキープしてゴールし、開幕3連勝を飾った。2位はシトロエンのマッズ・オストベルグ、3位にアンドレアス・ミケルセン(フォルクスワーゲン)。
競技最終日に残されたSSはわずかに3箇所、計74.66km。スタートの時点で、首位のオジエと2番手のオストベルグはすでに1分15秒2という差がついている。一方、オストベルグと3番手のミケルセンはわずかに4.5秒。戦いの焦点は2位争いへと移っていく。
オープニングステージとなるSS19は、55.82kmという今大会最長の距離を誇る。前戦で勝利を目前とする速さを見せたミケルセンは、このロングステージでオストベルグを一気に追い詰めたいところだが、スピンを喫しステージ3番手タイムに。さらにディスプレイ不調によって、ギヤが表示されないままのドライビングを続けることとなった。対するオストベルグはベストタイムを獲得し、新たに3.5秒の差をつけることに成功した。オストベルグは続くSS20でもミケルセンのタイムを上まわり、8.6秒差で最終ステージへと臨むこととなった。
最終のSS21はパワーステージ。ここではきっちりとオジエがトップタイムでボーナスの3点を加算した。2番手タイムはミケルセン。3番手にはヒュンダイのティエリー・ヌービルが入っており、貴重なポイントを獲得している。オストベルグは5番手タイムでラリーを終えたが、ミケルセンとは2.3秒差だったため、総合順位の2番手は守り切った格好だ。
メキシコは序盤から多くのWRカードライバーが脱落するサバイバルラリーとなった。トップはオジエ、2位オストベルグ、3位ミケルセンに続き、4位にMスポーツのエルフィン・エバンス、5位にしぶとく走り切ったヒュンダイのダニ・ソルド、6位は慎重なドライビングで生き残ったジポカーのマルティン・プロコップが入っている。WRC2はフォード・フィエスタRRCを駆るナッサー・アル‐アティヤが勝利を収めている。
また、SS3で水没し、最終日に復活を遂げたMスポーツのオット・タナクは総合22位、1時間54分50秒遅れながら完走を果たした。
次戦の舞台は南米アルゼンチン。エル・コンドルなど有名ステージのほか、50km超のステージも行われる予定となっている。昨年に引き続き独走状態となっているフォルクスワーゲンに一矢報いるチームはあるのか、注目して見守りたい。第4戦アルゼンチンは4月23〜26日に開催。
【WRCメキシコ暫定総合順位】
1.セバスチャン・オジエ(フォルクスワーゲン) 4:19:13.4
2.マッズ・オストベルグ(シトロエン) +1:18.8
3.アンドレアス・ミケルセン(フォルクスワーゲン) +1:25.1
4.エルフィン・エバンス(フォード) +3:40.2
5.ダニ・ソルド(ヒュンダイ) +5:01.8
6.マルティン・プロコップ(フォード) +6:36.1
7.ナッサー・アル‐アティヤ(フォード/RRC) +14:52.7
8.ティエリー・ヌービル(ヒュンダイ) +22:43.3
9.ニコラス・フックス(フォード/R5) +22:49.0
10.ヤリ・ケトマー(フォード/R5) +23:10.2
以上 Rally Plus Netより抜粋

今年からWRCで変化したことに、出走順とスプリットタイムの車内表示廃止の2点がある。
出走順はDay1、2共にシリーズポイントランキング順に出走し、Day3以降は前日までの順位のリバースオーダーとすると。
これに対し、2年連続チャンピオンのセバスチャン・オジェは憤慨していた。1日だけならまだしも2日も先頭走車になれば路面の“砂利掻き”役となり、かなり不利になると。
そしてスプリットタイムの車内表示の廃止は、他車と自身とのタイム差を考えペースダウンしたりということが出来なくなった。
以上2点の変更で、今まで以上にオジェの強さが際立ってしまったように思える。
オジェは砂利掻きで不利な状況をSS1から全開アタックで吹き飛ばし、リードを築く。スプリットタイムが見られないことで、各SSをフィニッシュしないとタイムや順位がわからない状態は、メンタル面が弱点とされたヤリーマティ・ラトバラは戦略に迷ったり、必要以上の全開走行でミスをしてクラッシュしてリタイアするなど、昨年の接近していた両者の成績は両極端な結果になってしまっている。
このスプリットタイムが見られない状況は、恐らくシトロエンのクリス・ミークにも影響が出ていると思われる。
このままいけば、全てのラリーでオジェが圧勝してしまう可能性すらあり得る。
ある意味、速すぎるVW対策とも取れた2点の変更が、実はオジェだけに有利に働く展開になってしまったとは皮肉すぎる。

もちろん、オジェのSS1から全開アタックするという意気込みは覚悟の上だと思うが、その状況で全くミスをしないで走りきるのだから、現在WRCに参戦しているドライバーで実力が完全に頭ひとつ抜きん出てしまっているのは確かだ。
つい数年前まで、セバスチャン・ローブが強すぎ9年連続でチャンピオンになったが、ローブはスノーや荒れたグラベルでは精彩を欠くことがあったが、オジェはどんなコンディションでも速くて強い。
まあ、そんなオジェだったからローブとシトロエンでチームメイトだった頃にギクシャクしたんだろうけど、ローブがWRCから去った今、オジェがローブ以上に席巻してしまう可能性が高すぎる。
Posted at 2015/03/10 08:50:25 | |
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