博多長浜屋台やまちゃん
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実はそれまで、太い縮れ麺の味噌ラーメンしか好きではなかった私が、ストレート細麺のとんこつラーメン好きに昇華するきっかけを作ったお店です。
開店時のマスターを見掛けなくなってのち、厨房が今のメンバーに固定するまでは、行く度に塩加減や麺の茹で加減が異なる不安定な時期が続きましたが、現在は開店当初かそれ以上の水準をキープしています。
メニューはラーメンとご飯のみ。餃子やら炒飯やらに現を抜かさず、ラーメンに的を絞っているのが潔い(厨房が狭いだけという話もありますが)。
えぐみ臭みはありませんが、濃厚なまでに白濁したスープには透明な脂の層。これが蓋をして、替玉を食べおわるまでスープを冷ましません。それが証拠に丼から湯気が殆ど立ちません。
箸を手にスープから麺を掬い上げると、私の好みで「針金」に仕上がった細麺にスープが十分絡み、刻んだ葱の甘みと一緒になって喉に流れ込んでいきます。
このお店の核心であり見所でもあるのは、狭い厨房故に間近で見ることができる「網捌き」。麺を私の好みの茹で加減にピンポイントで調整する妙技です。
お湯たっぷりの釜の中で自由に泳ぎ回る麺を、客の好みに合わせた茹で時間内に手早くまとめ上げて平網に載せ、空中で回転させながらチャッチャッチャッチャッと小気味良く水切りをします。この手際良さは、私が訪問した他のどんな店よりも見事です。もはや名人芸の範疇。
長浜・博多ラーメンを食べてきた経験上、網捌きの上手い厨房に不味い店はありません。
逆に網捌きが下手、または長浜ラーメンを名乗りながら平網を使わず、深い網に麺を閉じ込めゆで麺機で調理する店に、美味い店はありません。
麺の水切りがへたくそだったり深い網を使っていたりすると、麺自体が水っぽくなりがちでスープが薄まってしまいます。替玉なんて言わずもがな。
加えてゆで麺機をつかうと、麺に十分湯が行き渡らずに茹で上げ時間が長くなるためか、「バリカタ」「針金」など硬茹での状態を安定的に提供するのが難しいようです。
普通、ラーメンはスープの良し悪しが最も重要ですが、長浜・博多のラーメンに限っては「麺の茹で方」も最重要。
だってスープは、有名店のスープであってもお土産ラーメンのレトルトパウチで十分再現できますが、おいしい九州ラーメンのお店の麺の茹で加減は、家庭の厨房ではどうしても再現できません。
濃厚なスープと、名人芸に裏打ちされた絶妙な茹で加減の麺。これそ美味しいラーメン。一度ならず折に触れお試し下さい。
住所: 東京都中央区銀座3-11-10 橋下ビル1F
電話 : 03-5565-1838
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