イオン狭山(旧カルフール狭山)

　フランス資本のハイパーマーケットチェーン｢カルフール｣が、国内4番目に開店させた店舗。
　カルフールの日本撤退後も、イオングループにより｢カルフール狭山｣として運営されてきたが、ブランド使用契約の終了と共に｢イオン狭山｣へ変更。同時期に旧ジャスコ・旧サティもイオンブランドに統一されたため、看板の表記では他の店舗と区別が付かなくなってしまった。

　ポイントサービスや電子マネーは、カルフール時代からイオングループとの統合が進む一方で、輸入食品を豊富に取り揃える方針はそのまま。確かにワインやチーズの品揃えは、他のスーパーにはない充実度を誇る。
　最初に出店した千葉県幕張や大阪府和泉の店舗では、フランス流の運営をそのまま踏襲したため、明らかに手の届かない高い棚や圧迫感の強い陳列方法が不評だったが、狭山の開店時にはそれらを改良し、より日本人に親しみやすい店舗レイアウトとしたそうだ。
　それでも、緩やかなスロープ状のエスカレーターやベルトコンベア式のレジ台、ローラースケートを履いて店内を巡回する店員など、旧来の小売業にはなかった特徴が見られ、利用客の注目をあつめた。
　集客面だけでなく、雇用の面でも地元在住の主婦や高齢者をパート従業員として積極的に採用することで、地域に根付き店舗周辺全体の経済底上げも狙っていたという。

　狭山の前年に開店した南町田などでも、オープン当初は周辺幹線道路が｢カルフール渋滞｣するなど大きな反響を呼んだ。しかし程なくして、当初は目新しかったフランス風の雰囲気が飽きられ、またカルフールの出店と前後して国内流通大手も大規模なショッピングセンター開発に乗り出したため競争が激化。2000年の進出から僅か4年で、カルフール本社は日本市場に見切りをつけ撤退している。
　10店舗以上の出店を目指しながら、実際に開店したのは8店舗のみ。うち、南町田など2店舗はイオン引受け後も売上げが芳しくなく、閉店されてしまった。



　カルフールで忘れられないのは、南町田の屋上駐車場で、MLのオフ会を開いた際のこと。
　フランス人の責任者らしき男性と、通訳の日本人が我々に詰め寄ってきて、｢ここで何をしているんだ｣と捲くし立てた。

　フランスのスーパーだから、ちゃんとフランス人も居るのねと妙な感心をしつつ詳しく話を聞くと、同じモデルのメルセデスが大量に集まっていたので、店舗に無断で販売会でも開いているのかと思ったようだ。
　サイトを通じて集まった友人同士で話をしているだけです、と説明したが、通訳が下手くそで伝え切れなかったか、｢オフ会｣なるイヴェントをフランス人が理解し得なかったか、何れにしてもフランス人責任者は納得してくれない。
　営利目的の集まりではなく営業行為は一切しないこと、ちゃんと買い物をして帰ることを約して、何とか全員退去は免れた。


　もしかしたら、フランスの領土にアメリカ製のドイツ車が大挙して圧し寄せたことそのものが気に食わなかったのかもしれない。
　日本に居ながらアメリカから輸入されたドイツブランドのクルマに乗り、出掛けた先でフランス人からクレームを受けるという、国際的な体験をさせてもらった一日だった。
住所: 埼玉県狭山市上奥富1126-1
電話 : 04-2969-7700