こんな非常事態では、フェイクニュースに気をつけねばなりません。
ですから、公的機関や信頼できる専門家の情報を参考にするべきです。
ですが、盲目的に信じてはいけません。
どんな情報源も、ホント?と疑いを持って、自分自身でも検証してみないとだまされます。
で、今日はそんな一例を皆様にご紹介。
(近日中に訂正・更新されることを祈ります)
https://jeaweb.jp/covid/glossary/index.html
一般社団法人 日本疫学会 新型コロナウイルス関連情報
感染症疫学の用語解説
これは、信じますよね。
信じたいですよね。
でも、信じられないことが記載されています。
今日も話題になった、再生産数の解説。
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この基本再生産数(R0)は、感染症がどのように完全に感受性である(その感染症がそれまで広まったことがない、免疫を持たないということ)人口集団において、広がっていくかについての係数であり、1人の感染者が平均して何人に直接感染するかという人数のことです。
感染者ひとりが何人に感染させるか?については、感染症が拡がり、次第に人々が免疫を得始め、時間の経過とともに、完全に感受性を持つ人は減少します。結果として再生産数*は感染症の広がりとともに低下します(収束する)。
新しい感染症がある集団に持ち込まれた場合、感染が広がる可能性については次のように考えられます。
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[New] 再生産数
実効再生産数と呼びます。感染が拡がったことのない、もしくは全く免疫を持たない集団に感染が入り込んだ際の感染性を基本再生産数(R0)と呼ぶのに対し、その集団全員が必ずしも感受性ではない場合(感染が流行中である場合や、感染が拡がり、免疫を持つようになったひとが増えている段階やワクチン接種が拡がっている状況)での感染性の指標を実効再生産数(effective reproductive number: R)と呼びます。
R0とおなじく、R値が1未満であれば、感染は終息してゆきます。
2020年3月9日の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議による「新型コロナウイルス感染症対策の見解」(リンク先:https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000606000.pdf)においては、現在、の実効再生産数(R)は、1程度で推移していると報告されています。(3/11/2020掲載)
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R0 < 1 の場合: 感染の流行は、拡がりません(感染者ひとりがひとり未満の人数に感染させる)
R0 = 1 の場合:拡大も終息もせず、地域的に流行し続ける(ひとりの感染者がひとりに感染させる)
R0 > 1 の場合:流行の拡大(ひとりの感染者が複数に感染させる)
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2020/05/01 17:00(日本時間)のコピー
実効再生産数の定義、あたりまでは、いろいろ論文を読んでみても正しそうです。
で、問題は最後の部分。
R0<1とかR0=1とかの基本再生産数の説明をしてくれているあたり。
R0 = 1 の場合:拡大も終息もせず、地域的に流行し続ける(ひとりの感染者がひとりに感染させる)
ちょっと待って!
拡大しないってマジ??
一人が一人にしかうつさないとき、何が起きるか、冷静に考えてみてください。
誰にでもできる思考実験をしてみましょう。
100人の人を一列に横に並べてください。
最初は一番右の一人だけが感染しています。
なので感染率1%
右の人から順にすぐ左隣りの人にだけ、1時間ごとにうつしていきます。
100時間後には一番左の人にまでうつっていますよね。
100人全員が感染者です。
感染率100%です!
この間に、どの人も自分の左隣りの一人にしかうつしていませんよね。
とすれば、日本疫学会の定義ならば、再生産数は1です。
それでも、確実に、あっという間の100時間後には、なんと感染率100%に達してしまいます。
にもかかわらず、日本疫学会は「R0 = 1 の場合:拡大も終息もせず、地域的に流行し続ける」のだそうです。
残念ながら、日本疫学会の水準はこの程度のようです。
念のため、R0<1の時も計算してみませんか?
だって、「R0 < 1 の場合: 感染の流行は、拡がりません(感染者ひとりがひとり未満の人数に感染させる)」って、もはや信じられませんからね。
今度は、ちょっと面倒ですが、10000人を頭の中に用意してください。
100人×100人で並んでもらいます。
一番右の一人×100人が最初の感染者です。
今回も最初の感染率1%でシミュレーションスタートです。
R0=0.7で検証しましょう。
一回目で、100×0.7なので前から70人だけがすぐ左の人(右から2人目)にうつします。(合計100+70=170人 ⇒ 1.7%)
二回目で、70×0.7なので前から49人だけがすぐ左の人(右から3人目)にうつします。(合計170+49=219人 ⇒ 2.2%)
二回目ですでに2倍以上!
って感じでどんどん計算していくと。。
小数点以下も足していくと、一番左の人に行くころまでに、333人に感染。
3.3%の感染率になります。
って、3倍以上に拡大しているじゃん。
もちろん、13回目くらいでうつすのは一番前の一人になって、ほぼ感染は収束するんですけど、拡大しないわけではないんです!
R0=0.7でも最初が1%まで蔓延している状況だと3.3%になってしまうんです。
もしも最初が2%の場合は、どうなるでしょう??
10000人を前後に200人×左右に50人に並べて、一番右の人200人が感染していると最初が2%の感染ですね。
これって、1%の時の結果を2倍にして、50回まで繰り返せばよいわけです。
なので、R0=0.7では、最後には6.6%!
先日、慶応大でのコロナ以外の入院患者の感染率は約6%という報道がありましたね。ということで、最初が6%の場合も計算してみると。。。
同じように1%の結果をだいたい6倍にすればよいわけなので、R0=0.7 では
マジ? 3.3%×6 = 19.8%!?
しかも、気を付けなければならないのは、最初の一回目や、2回目の時の増え具合。
6%の1.7倍、2.2倍になるのですから、いきなり10.2%、13.2%に急増するわけです。
これはマジでヤバいです。
この病気は、退院できるまでの期間が長いので、病院もホテルも溢れます。
東京の人口1200万人として最終で2割の240万人感染。
医療崩壊が起きないとして、今と同じくらいの死亡率1%が維持できたとして、東京だけで2.4万人の死亡。。。
でも、日本疫学会は、「R0 < 1 の場合: 感染の流行は、拡がりません(感染者ひとりがひとり未満の人数に感染させる)」と断言しています。
日本疫学会の、少なくともこの解説を書いた人や校正した人が、「専門家会議」の委員でないことを祈ります。
今日の専門家会議の説明ではR0=0.7というのですから、このままではかなり先行きが怪しい、ということを理解しておいたほうがよさそうです。
ところで、↓こちらの情報源の方や、その関係者たちが専門家会議のメンバーならば、少し安心できます。
https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~inaba/inaba2009_actuary_manuscript.pdf
「完全に根絶しようと思ったら、R0 をかなり1より小さくグーッと押さえないとだめです。」という記述があるので、専門家会議の方針とはずいぶん違いますね。
この人が専門家会議のメンバーならばよいのですが、そうではなさそう。
ちょっと心配です。