今回はいよいよブーストコントローラーの配管方法について深掘りしていきます。
これまで排気バイパスバルブについて考察していきましたが、その理由はこのバルブを制御しているアクチュエーターNo.2をブーストコントローラーで制御する=排気バイパスバルブVSVから制御を切り離すかどうかを検証する為です。
これはあくまで個人的な意見ですが、吸排気をチューニングしている場合はアリと考えます。
その理由は後で述べます。
もちろんノーマル同様プライマリー側のウエストゲートバルブで制御=ウエストゲートバルブVSVのみを切り離しブーストコントローラーで制御するのは正解です。
ここからは仕様に左右されますので、結果的に故障のリスク増大やデチューンにつながる可能性がある為、よく検証の上参考にしてください。
排気バイパスバルブ用アクチュエーターNo.2もブーストコントローラーで制御する配管方法をアリとした理由ですが、ポイントはフル過給時のオーバーシュートの発生です。
当方の車両の仕様の場合、エアクリーナーはHKSのキット(吸気温度上昇防止の遮熱、整流対策済み)、第一触媒はSARD製メタルキャタライザー、マフラーはアミューズ製チタンフルストレート(第2触媒レス、フロントパイプ径変更)、トラスト製インタークーラー、ピックアップパイプ整流板加工といった感じで吸排気に関してはノーマル車と比較してもほぼ抵抗のない=過給圧、2次排圧共にタービン負荷が少ない条件となります。
ここでは点火系、燃料系はもちろん強化済みノーマルではない条件での仮定です。
さらにトムスのTEC2の特性共相まってフル過給時の過給圧はとてつもないスピードで一気に上昇する為、ブーストコントローラーでオーバーシュートまでも完璧に制御するのはなかなか至難の業ではないでしょうか。
ダイナパック等のシャシダイが常備で季節ごとに毎度セッティングでき、サーキット等で実走によるリチェックできる環境でない限り自分の場合は厳しいですね。
資料やらログやら有識者様の方々のネットの情報等を参考にさせていただき、最初はセカンダリー側の過給圧制御が単体でできればいいのでは?と
考えたんですが、資料の通り排気バイパスバルブではセカンダリー側のウエストゲートバルブとしての役割を有していません。
むしろこのバルブに関しては、おそらくある一定以上の過給圧がアクチュエーターNo.2にかかるまたはバルブ本体にタービンからの2次排圧がかかることでほぼ開きっぱなし制御であると思われます。
今までの考察をふまえて整理すると、セカンダリー側が助走運転に入るとプライマリー側の過給圧が排気バイパスバルブによって抑圧(逃す)され、セカンダリー側の過給圧がプライマリー側の過給圧に追いつき→超えると排気制御弁→吸気制御弁が順に開き、一気に両方のタービンがフル過給するので、吸排気共に抵抗(配管内でふん詰まりになる状況)が少なければ少ないほど、さらにブーストコントローラーの精度が高ければ高いほどプライマリー側のウエストゲートバルブの容量が過給圧上昇に追いつかない状況、つまりターボ1個→2個に切り替え時の過給圧の上昇をより過敏にしてしまっているのではないかと考えます。
シャンパンの栓を抜くような感じで、ギリギリまでセカンダリー側の制御によってエキマニから両タービンまでの1次背圧とセカンダリータービン後の2次排圧がジワジワ上昇し、排気制御弁が開くことで一気に2次排圧が解放されてよりタービンが加速して回るといったところでしょうか。
そこで着目したのは、常時ツイン化の状況下での過給圧制御と旧HKS配管での制御、有識者様の方々が公開されているプライマリー側の過給圧のピックアップのレスポンス向上配管なるものです。
常時ツイン化の状況での過給圧の上昇は3500回転を超えたあたりから一気にスムーズに最大過給圧まで上昇するイメージです。過度なオーバーシュートはしにくいのではないかと思います。どちらかと言えばきれいに最大過給圧で安定しているイメージです。
多少の誤差はあるでしょうが、それぞれのタービンが同時に立ち上がり、過給圧、2次排圧共に均一に上昇する為だと考えます。
しかし常時ツイン化ではせっかくのシーケンシャルターボの低速、低回転からのトルクある加速を
殺してしまっています。
そこでプライマリー側のピックアップのレスポンス向上配管です。
これは排気バイパスバルブの制御を切り離してセカンダリー側の助走運転をさせずにプライマリー側でまずフル過給させる為の配管方法です。
排気バイパスバルブ用のアクチュエーターNo.2のニップルとバキュームトランスミッティングパイプNo.4のホースを取り外しメクラキャップを行うのは、プライマリー側では最大加給圧に達しないため、プライマリー側のウエストゲートバルブ制御用VSVは開きっぱなしとなり、バイパスしていることでエアチューブNO4 からの圧を逃がしつづけるので、セカンダリを開くために圧を溜めるプレッシ ャタンクには圧が貯まらずに、セカンダリが開かなくなってしまうからです。
メクラキャップをすることで、 オンリープライマリー領域でセカンダリータービンを助走運転させないで、 1次背圧を100%プライマリータービンの加給に使うので、 プライマリー領域においてブーストのピックアップが格段によくなるという配管方法です。
ターボ1個→2個の切り替え時に過給圧が一時的に下がる為段つきが通常よりも大きくなるとされています。
そしてこの配管方法を活用してブーストコントローラーでの過給圧制御を行う方法が旧HKS配管方法です。
この配管方法によりウエストゲートバルブ制御用のアクチュエーターNo.1と排気バイパスバルブ制御用のアクチュエーターNo.2もブーストコントローラーでの制御となり、シーケンシャル制御は純正VSV制御となり、シーケンシャルターボの恩恵を受けつつ、プライマリー領域で最大過給によるブーストのピックアップレスポンス向上→最大過給時は常時ツイン化と同様となります。
先日も書きましたが、旧HKS配管では排気バイパスバルブアクチュエーターNo.2の片側のニップルをメクラキャップして圧抜け又はVSVを切り離すのかどうかは資料がなかった為不明です。
旧HKS配管方法をできる限りバキュームトランスミッティングパイプラインを上手く活用してシリコンホースの使用頻度を減らした独自の配管方法を実車にて試験的に試してみようと考えています。
ここまで3回にわたり長々と考察してまいりましたが、シーケンシャルターボの特性をうまく利用して安定したブースト制御ができれば、長く安心して楽しめる良いエンジンです♪
余談ですが、単体点検の資料に記載がある通りアクチュエーターNo.1とNo.2では制御圧に約1㌔程度差が設けられています。
それぞれのアクチュエーターの耐久最大過給圧は1.4㌔未満と同じですので、調整時はこの値を超えないように気をつけないとアクチュエーター又はタービンの破損に直結するということですね。
以上、ブーストコントローラーの配管方法についての考察でした。
あとは実践あるのみ。また実車作業とその後の経過に関しては後々ご報告させていただきます。