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ここ1週間ほど前から、早朝の散歩に出ると、冬のにおいをはっきりと感じることが多くなってきました。初夏から初秋にかけては、青空が広がっても日長霞がかかったままで中々拝めない白馬連邦も、お日様が上がるとまるで手に取れるかのような距離にくっきりと浮かぶ日も増えてきています。
朝の散歩は、この時期が一番気持ちいいです。
真冬の雲ひとつ無いはずの天候でも、早朝は山からミルクをどろりと垂らしたような雲が立ち込めます。雨上がりの平野部では、時折高度10～20m付近でふわりと漂う雲が浮いていたり（本当に手に取れそうな距離です）、山のガスが降りて来たりしますが、東側の美ケ原方面から日が昇ると、村の周囲を覆っていた雲やガスは、まるで「霧散」という言葉がぴたりと当てはまるように、ものの10分ほどで瞬く間に晴れてしまうのです（画像は「霧散」の様子）。そして、雲ひとつ無い青空の向こうに、青白く光る白馬連邦が幻想のように浮かび上がり、見る者にとっては畏れと敬いと憧れの念を抱かせます。

私の住む村は、山岳県長野において最も広大な平野部である松本平の西端に位置しており、村の総面積の1/3が平坦で広大な農地、2/5強が原野・山林という恵まれた環境にあります。驚くことに、この割合は村史始まって以来殆ど変わっていません。
それでいて、バブル崩壊以降は事業所の数が減りつづけているお隣の松本市を尻目に、事業所数、人口、村の税収は右肩上がりを維持しつづけているという、全国的にも珍しい村です。当然、合併ブームに乗ることはなしに、独自路線を歩みます（松本市は喉から手が出るほど我村が欲しいみたいだが）。

最近実家の両親が（特に母親）、「そろそろ自分たちも、いつ寝たきりになるのかわからないよ。そうしたらどうするの？」等と聞いてくることがありますが、「こっちに来ればいいじゃん」と答えます。すると、「年取ってから寒い所は嫌だよ」などとゼイタクなことをぬかしますが、私だって今さらこんなに素晴らしい土地を去りたくはありません。だいたい、長野県は沖縄に次いで全国第二位の長寿国で、老人医療費は最も少ない県。寝たきりになることもなく元気な人がいきなり死ぬので、「ピンピンコロリ」と言います。
せせこましい箱庭的な土地と家に縛られ、常に体のどこかの不調を訴え心配しながら余生を送るよりも、私の住む村に来て畑を耕し、「ピンピンコロリ」と逝ってしまうのが一番良いと思うんだけどなぁ。

とは言え、確かに両親の高齢化という現実が目の前に突きつけられつつあるのはあまり良い気がせず、目下の心配事ベスト5ではあるのですが、早朝の冬のにおいを嗅ぐと、やはり「千葉なんかに帰れるか」と思う日々であるのです。
大体、千葉なんかに帰ったら、エスクで林道行くのも苦労しそうだ・・・！それが一番嫌だったりするなあ（笑）。