
登別近くの駐車場で車中泊し、翌朝次の目的地である小樽へ向かいました。
途中苫小牧や千歳、札幌を通過し札樽道に入り11時ぐらいに小樽に到着。
※今回はほぼ鉄分です
小樽というと運河を始め歴史的な建造物の数々が織り成すノスタルジックな町並みやガラス工芸品、ワインなどが有名な北海道を代表する観光地の一つですが、今回は時間的な制約もあり小樽市総合博物館に的を絞ることにしました。
小樽市総合博物館は「総合」と名がついているものの、展示物の9割以上が鉄道に偏っているという、鉄な方には絶好の、それ以外の方には(?)なスポットになっています。まあ少し離れたところに別館の「運河館」もありますがこちらは鉄分なしです。
そもそも何故鉄道に偏っているかというと小樽は北海道最初の鉄道である幌内鉄道(小樽~札幌)の起点であり、この博物館はその当時作られた手宮駅の跡地に作られた北海道鉄道記念館→小樽交通記念館を前身とするからで、鉄道記念物で国の重要文化財でもある機関庫等が車両の保存館として活用されています。
館内に入ると

北海道最初の鉄道の駅だけあって幌内鉄道が開業時に導入した蒸気機関車である「弁慶号」「義経号」の同型で妹分に当たる「しづか号」と当時の客車が中央エントランスに保存されています。
見ての通り一般的な日本の蒸気機関車のスタイルとは大きくかけ離れた、西部劇とかに登場するような形になっています。というのも幌内鉄道を始め北海道の開拓はアメリカの西部開拓をお手本に進められ、この機関車もアメリカから輸入されたものです(H.K.ポーター製)。
屋外展示エリアに出るとこの博物館の目玉でもある動態保存SL「アイアンホース号」が。

この博物館が小樽市総合博物館としてオープンするにあたり「しづか号」と同じメーカーでスタイルも近い蒸気機関車をアメリカのテーマパークでから購入し、構内を往復運転します。
機関車に合わせ客車もアメリカンなスタイルにまとめられていますが、整備性の問題からか燃料は石油(重油?)仕様になっています。
ちなみに往復運転で折り返す際転車台で機関車を方向転換するため館内には2箇所の転車台があります(機関庫に隣接するものは国鉄手宮機関区時代のもの、折り返し地点のものは小樽築港機関区で使われていたものを移設したらしいです)。

恒例(?)の記念撮影w
他にもこの博物館には様々な車両が保存されていますが全部掲載しようとすると5回ぐらいに分けなければならなくなるので今回は一部をピックアップしていきます。

国鉄が乗客が少ない簡易線向けに製造したキハ01系小型気動車(レールバス)のうち寒冷地向けのキハ03です。

北海道を代表する電気機関車ED76 500番台。ED76は九州でも走っていましたがこちらは耐寒・耐雪構造を強化しており全長が約18mとD級機でありながらF級機と同じぐらいになっています。

機関室内部。全国の保存機関車で運転席を見学できるところは結構ありますがここでは機関室内も見学できます。

運転席(制帽と時計は自分のです)

記念撮影w

マニ30。この車両は荷物車ですがかなり特殊な車両で積載する荷物は現金、つまり現金輸送車です。

荷物室内部。日銀マークが入ったパレットの上に現金箱が乗せられている(当たり前ですが中身は入っていませんw)
この車輌の積載量は約15t、1億円の重さが約10kg(1万円札)なので単純計算で1兆5千億円積載できるということになりますw

警備員室内の様子。これだけの大金を運ぶわけですから警備・防犯体制も万全で窓には特殊強化防弾ガラスを採用し外板も普通の車両に比べて厚く作られているらしいです。
警備員室には座席やトイレはもちろんA寝台並の寝台設備(オロネ24とかと同じ構造)、簡易的なキッチンまで備えられていました。
荷物車なので車掌室もありますが(国鉄の荷物車には車掌室の設置が基本だった、一部例外もありますが)荷物室や警備員室とは隔離された車端部の狭いスペースで折りたたみの椅子が1個と車掌弁など最低限の設備があるだけで(窓も普通のガラス)、この車輌のなかでは車掌は完全に部外者扱いである。
この車輌の現役当時は存在が公にされておらず、駅でこの車輌の近くをうろつくと警察に職質されたり、撮影したらフィルムやカメラをボッシュートされたり、撮影した写真を雑誌に投稿しようものなら編集部に変な圧力がかけられたりといろいろな逸話も残っています。
現在では現金輸送はトラックに置き換えられたため全車引退しここに保存されているもの以外はすべて解体されています。

北海道ということもあり除雪車も充実しています。画像は単線用ラッセル除雪貨車のキ100と複線用のキ550で、他にもキマロキ編成こそありませんがロータリー除雪貨車のキ600、マックレーのキ800、ジョルダンのキ700、さらにディーゼル除雪機関車のDD14とDD15が保存され、国鉄の代表的な除雪車は大体揃っています(さすがに苗穂の失敗作ことトキ15000にF86戦闘機のジェットエンジンを付けたやつとかは有りませんw)
屋内展示室にも除雪車に関する展示があります。

ED75 501。東北ではポピュラーだった電気機関車ですが、北海道の電化に際し1両だけ試作された車両でこれを踏まえてED76が投入されました。耐寒・耐雪構造のため普通のED75よりちょっとだけ全長が長いです。

敷地の端の方にある蒸気機関車資料館には蒸気機関車の部品類や整備に使う工具などが展示されています。スパナなどかなり大型のものもあり既製品がないため国鉄の工場や機関区で自作したものもあります。

こんなものもあります。軌道自転車です。これで痛チャリ作ったら面白いかもw

私が個人的に気に入ったのがこの編成、機関車はDD51でこれ自体はそんなに珍しくないですが・・・

後ろの客車はオエ61。脱線事故などの際に復旧工事とかで使う道具の運搬を担当する車両です。
形式からしてマニ60あたりからの改造でしょうか?

この、いかにも扉を鉄板で塞ぎましたって感じがなんとも・・・
その後ろにはもっとすごい車両が・・・

スエ78、オエ61と同じく救援車ですがこちらは戦災復旧客車である70系客車の一族です。戦災復旧客車特有の二段窓が特徴です。
台車は3軸のTR71で、戦前は1等車とか2等寝台車とかたいそうな車両であったことが伺えます。
同じ形式の車両が最近までJR東日本で動態保存されていてSLのイベント列車とかに連結されたりしましたが現在は引退し解体されてしまったためやはり現在はここでしか見ることができない貴重な車両です。

スエ78の車内。救援作業で使用される道具とかがぎっしりw

さらにその後ろにはクレーン貨車のソ30が、もちろん控車のチキもあります。トミックスから発売されているソ80はこれの改良型ですね。1970年代までは動力源に蒸気機関を使っていて炭水車もあったらしいですが後にディーゼルに換装されました。
オエ61やスエ78と合わせて、脱線事故の復旧救援編成が見事に再現されています。

こんな小物も・・・動かして遊べますw

鉄道よりもクルマが好き!という方のためにこんな展示もあります。軽自動車のハシリとも言うべき名車スバル360。他にも初代サニーなどもあります。

ここの入場券は硬券(中央)で、国鉄の駅の入場券を模したものになってます(たたしサイズは現在の短距離切符サイズ)。
他にもキハ82やキハ56系、キハ22、キハユニ25など貴重な車両がたくさん有り、鉄分の摂取に夢中になりすぎて昼食も忘れ気がついたら4時近くなってましたw
次回予告(一応次回で最終回の予定です)

電車なのにレールが・・・?