吸気口面積に合わせたエアクリーナーの加工
目的 |
チューニング・カスタム |
作業 |
DIY |
難易度 |
  中級 |
作業時間 |
1時間以内 |
1
K&Nエアクリーナーへの交換後、全体的なドライバビリティと燃費は向上したのですが、冬場の冷間でのアイドリングの状態がいまいち良くないのが悩みの種となりました。
冷間始動性とファーストアイドルは特に問題ないのですが、水温計が少し動き始めて、水温計が完全暖機になるまでの間、少し長めの直線をパーシャル開度で走った後、クラッチを完全に切ってブレーキだけで減速に入ると、そのままエンジン回転だけがストップしてしまう事が多くなったのです。再始動はすぐ出来るのですが、止まるたびにアイドリングストップが発動するのでは正直不便。
感覚としては、キャブヒーターの付いてないバイクで、アイドリングが十分上がらずにストールしてしまう状態に似ています。
冬場だけノーマルに戻しても良いのですが、街乗り16km/Lを狙える燃費の良さや暖気後のキビキビした走りはやはり捨てがたいので、真冬の今の時期に調整だけでどうにかならないか検討しました。
2
冷間始動が問題ないという事は、オートチョークはちゃんと生きている。
完全暖機時に問題なく、プラグの焼け具合も少し薄めになった程度という事は、メインジェット系列の燃調もそれほど極端にはずれていない、と思う。
水温計の針が少し動き始めたところで調子が悪くなるので、オートチョークが解除され始めた時のスローの燃調がズレ気味なのかもしれません。
写真で示した位置で特に悪くなるので、寒冷地仕様のサーモを入れる事で、完全暖機と調子が悪い領域の間のマージンが多少広がります。これで少しだけましになるのですが、残念ながら完全ではありませんでした。
3
本来はオートバイのようにスロージェットの交換か、パイロットスクリューまたはエアスクリューの調整でスローの燃調をいじるのが一番なのですが、整備解説書にはオートチョークの開度とファーストアイドルの調整しか書かれていなかったorz ので、ひとまずファーストアイドルの調整で様子を見てみる事にします。
ミニキャブの3G83のキャブは、スロットルの手動開閉レバーの横にあるこのスクリューを締め込む事で、アイドリング回転数が上昇します。
一度完全暖機にした状態で車を止め、1 1/2回転締め込みました。まだGX号にはタコメーターが無いので、回転音とエンジンの振動、後付けの負圧計の指針表記だけが頼りです。1回転では負圧計のIDOL領域に指針が入らず完全暖機時に回転や振動がやや不安定になり、1 3/4回転では今度は冷間始動のクランキングがやたら長くなってしまうので、その中間を取った所で落ち着きました。
GX号は何も問題ない状態なら真冬の朝でも冷間始動はクランク1回転ですぐにエンジンが始動するので、この辺りの調整はとても微妙です・・・。
4
上記のアイドリング調整でだいぶマシになったのですが、それでも「暖機運転の時冷間から10分近くアイドリングで放置した時」や「気温が0度以下、かつ完全暖機前に直線を2km位ノンストップで走った時」など、非常に厳しい条件の時にエンストの症状が出るので、いよいよ他に根本的な原因があるのではと思い、虱潰しに原因を探っていきました。
永井シリコンはノーマルに戻しても症状に変化がなく、デスビキャップとデスビ本体のエアベントにも詰まりの症状が見られないので、デスビ内部の結露でもなさそう。
最終的に行き当たったのは、エアクリーナーボックスの形状と、K&Nとノーマルのエアクリーナー形状のミスマッチの可能性です。
ミニキャブのエアクリーナーボックスは、通常の冷気のインテークの他に、フラップが可動して触媒周辺からの熱気を吸い込ませるウォームエアインテークが備わっています。これにより、完全暖機までのアイドリングの安定や、冬季のキャブレターアイシングの防止を図っているのです。
余り詳しく動作間隔を把握している訳ではないのですが、少なくともこのフラップが全開の時にはコールド側の開口部+ウォームエアの開口部分の断面積でエアが入ってくるはずで、中途の部分にこれよりも断面積の狭い部分があると、その分吸気量に制限が掛かってしまう事になります。
インテークの中途が開口部より膨らんでいる分には、流速が遅くなるだけで済む(場合によってはチャンバーの役目も果たす)のですが、中途が開口部よりも狭くなると流速は速まりますが、その分ロスも増える事になります。
5
ミニキャブのK&NはパジェロミニやNBOXなどと共通ですが、このK&Nは基本的に「平面の部分を使って」吸気する構造になっており、濾材の側面側は全てゴムの側壁で塞がれています。
一方、ノーマルの濾材は側面の部分が露出しています。ミニキャブのエアクリーナーボックスとインテークパイプも、どちらかというと濾材の側面方向からエアを吸わせるような構造になっている感じ。
この部分が塞がれている事で、下手をすると開口面積がかなり減ってしまっている可能性も考えられたのです。
6
そこでエアクリボックスとK&Nの各部を実際に測定して、どの程度開口面積が残っているのか計算してみました。
ひっどいポンチ絵ですが、aがK&Nの各部の寸法、bがエアクリボックスの寸法、cがK&Nをはめた時にボックスに残る隙間、dがインテーク開口部の寸法、eがウォームエアインテークの開口部の寸法。
重要なのはcで、K&Nを規定通り差し込んだ時にはゴムの隔壁の影響でかなり開口面積が減っている事が分かります。計算上は3900mm2は隙間が空いているので、インテーク開口部分の1810mm2は満足しているのですが、ウォームエアの開口部分の約2800mm2を足すと、約710mm2開口部が不足しています。
7
これを埋め合わせるには、K&Nの側壁にΦ13のドリル(約110mm2)で7個穴を開けるか、710mm2分、長方形状に側壁を切り取るかのどちらかを行う事で、全ての開口部分の断面積が確保されます。
8
ドリルを使う事を想定したのは、側壁が1cm近くとやたら分厚い事と、ゴムの内部にメッシュ状の物体が沈澱しているのが見えたので、濾材と同じ金属メッシュだと切り取りが出来ない為・・・でしたが。
結果的にはメッシュ状の物体は只の布製メッシュだったので、カッターのみで切り取りが出来ました。
・・・最初、ドリルで穴を開けた時、余りにも呆気なく貫通したので隣接する濾材のメッシュを片側だけですが、僅かに破損してしまいました・・・orz。
最初からカッターで地道に切って、ドリルを使うのは金属メッシュだった場合の最終手段にしておけば良かった。
こんな感じで側面に穴を開けてウォームエア分の気道を確保してあげたところ、それまでアイドリングスクリューがノーマル+1 1/2回転で丁度良かったのが、1 3/4回転同様の「開きすぎでストールや冷間始動性悪化」という症状を示し始めたので、スクリューを半回転戻してノーマル+3/4回転にしたところ、完全暖機までの間は少しアイドリングが落ちて苦しそうな場面もあるのですが、冷え込みが一掃キツくなったこの時期の早朝でも、直線走行後のストールなどの不具合が激減し、丁度良い感じになりました。
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