W10データベース
投稿日 : 2009年09月23日
1
《モデル概説》
新型アベニールW10型系車は、従来のセダン派生車という開発方法を変更し、専用ボデーにより「ゆとり」「快適性」「積載性」を実現させたエアロフォルム スタイルの90年代のワゴンとして開発しました。
アベニールの語源はフランス語で「将来・未来」を意味します。クルマに対して多様さを求める人々が、この車を使う事により新しい世界が拡がるという意味を込めました。また、「未来に続く道」というアベニールの開発のねらいをデザイン化したエンブレムを採用しました。
ボデー形状は5ドアのみとし、全てDOHCを搭載しました。グレード名の「ei、bi:、si:」はそれぞれ英語の「A、B、C」の発音記号を意味します。
主な新機構・主要装備としては、
・フォグランプ
・ヘッドランプウォッシャー
・ファッションレール
・チルト機能付きサンルーフ
・ハイマウントストップランプ
・フレッシュベント付きオートエアコン
・カップホルダー、小物入れ
・ヘッドランプレベライザー
・ショルダー調整式フロントシートベルト
・リヤ3点式ELRシートベルト
・シートリフター(フロント)
・リヤスピーカー(リヤピラー装着)
・ラゲージボックス
です。
2
《ワゴン前期》1990.11~1992.12
発売後約半年の1990年11月に待望の4WDモデル、タイプ2.0si:アテーサを追加します。1991年1月には2.0si:にアメニティパックのオプション設定とタイプeiの内装色ブラウンの廃止が行われます。続いて2月にはオーテックジャパンから、タイプ2.0si:をベースに大型バンパー・フォグランプ・撥水シート等を装備した「リゾートエクスプレス」が設定されます。発売後2年を経過すると、2周年記念車という名目でタイプ2.0si:をベースにした特別仕様車「EXC(エクセ)」が追加されます。専用車体色のホワイトパール、エクセーヌシート等を特別装備。併せてタイプbi:の内装色ブラウンが廃止されます。
3
《ワゴン後期》1993.01~1995.07
発売後2年半が経過。4WDの追加や特別仕様車の追加等の細かい変更は行っていたものの、大きな仕様変更はされず。日産お得意の放置プレイ状態かと思われたアベニールでしたが、折からのRVブーム・ワゴンブームに対応出来る日産の数少ない車種ということもあってか、結構気合の入ったマイナーチェンジが行われます。
外観上の変更はグリルやサイドガードモールの色変更、バックドアモールの追加といった小変更にとどまります。エンジンはSR18DiがSR18DEに・SR20DEの5馬力アップ・CD20Tの追加といった大幅な変更。メカニズムは2WD車に日産お得意のビスカスLSDのメーカーオプション設定、SR20DE・CD20T車にフルレンジE-ATの採用とグレードアップ。内装関係は大幅なグレードアップが行われ、トップグレードには本革インテリア・パワーシートを装備したタイプ2.0ef(エフ)が追加されました。装備的に一番豪華なのがこの型の特徴でもあります。
特別仕様車が豊富に設定されたのもこの後期型の特徴。1993年5月には日産創立60周年記念特別仕様車、11月には同第2弾と仕様変更、12月には4WDの廉価仕様Salut!(サリュー!)の追加。明けて1994年1月には60周年記念車に代わり、タイプsi:リミテッドを追加。6月にはサリュー!の2WD版が追加されます。11月にはタイプeiの廃止を始めとする一部改良が行われます。
主な変更点としては、
1.1.8LのEGI化(SR18Di→SR18DE)
2.SR20DEの5馬力アップ
3.CD20Tエンジン搭載車の追加
4.SR20DE・CD20T搭載車にフルレンジE-ATを採用
5.タイプ2.0ef系(2WD・4WD・ディーゼルターボ)を追加
6.グリルの意匠変更
7.サイドガードモールの色変更(ブラック→グレー)
8.バックドアモールの追加
9.フロントスポイラーの追加(タイプsi:以上)
10.ボディカラーの変更
11.電子制御アクティブサウンドシステムを6スピーカー化
12.リモコンドアロック(赤外線式)の作動範囲拡大
13.オゾンセーフエアコンの採用(1993年11月以降)
14.金属ナトリウム封入エキゾーストバルブの廃止(SR20DE、1993年11月以降)
15.タイプsi:以上に残光式ルームランプの採用(1993年11月以降)
16.キースイッチ照明&シガーライターリング照明の廃止(1993年11月以降)
17.カセット一体型電子チューナーラジオの仕様変更(1993年11月以降)
18.電子制御アクティブサウンドシステムのリヤスピーカーをクロスカーボンから紙へ(1993年11月以降)
19.タイプbi:にCD20T車を追加(1994年11月以降)
20.プライバシーガラスの設定(1994年11月以降)
21.前席ヒーターシートの採用(タイプ2.0ef系、1994年11月以降)
22.バックドアフィニッシャーの採用(1994年11月以降)
23.白金プラグの廃止(SR20DE、1994年11月以降)
24.パナールロッドの取付位置変更(1994年11月以降)
です。
4
《サリュー前期》1995.08~1996.12
細かな改良は加えていたものの、スバルのレガシィやトヨタのカルディナといった競合車種の登場によって次第に影が薄くなっていったアベニール。特に2代目に移行したレガシィには何を持ってしても歯が立たない状態でした。台所事情からか、フルモデルチェンジをするわけにはいかない日産は、現行車の大幅変更(ビッグマイナー)をしてしばらくしのぐことを選択しました。
このビッグマイナーではリヤセクションをごっそり変更し、アベニールの特徴でもあった上部が丸いリヤゲートを廃します。ガラスハッチを採用したリヤスタイルは、テールランプの処理が2代目レガシィそっくり…と陰口を叩かれまくりました。後期型の末期に「Salut!(サリュー!)」という意味不明な名前のグレードを追加したわけは、このビッグマイナーで判明します。ビッグマイナーと共にグレード名を一新、通称名を「アベニール サリュー」に変更します。日産(販売マニュアル)によると、「新登場感を出すための名称変更で、単に車名を呼ぶときは『アベニール サリュー』と呼びます」とのこと。
フルモデルチェンジ並のスタイル変更を行ったアベニールですが、それだけにとどまらずSR20DET+アテーサ(GTターボシリーズ)搭載車を追加します。また、室内もインパネをP10プリメーラと同じものに変更し、コストをかけずに新登場感を出します。さらに運転席SRSエアバッグを全車標準装備するなど、現代的な配慮も行われています。
登場5ヶ月後の1996年1月にはお買い得仕様のサリューG・サリューG GTターボを追加。装備的に中途半端感の強かったサリュー!系とは違い、サリューX系の廉価版として設定されます。サリューG系の登場後しばらくして(1996年4月)ラルゴハイウェイスターが当たったのに調子こいた日産が「エアロRV」シリーズの一環として、オーテックジャパンから「エアロエクスプレス」シリーズを発売します。1996年9月には、年明けに行われる仕様変更を控え、話題喚起のためにシリーズ最上級グレード、「サリューXリミテッド」「サリューX GTターボリミテッド」が追加されます。
主な変更点としては、
1.スタイリッシュなワゴン専用ボディーを採用
2.コックピット感を強調した新インストルメントパネルを採用
3.ハイパワーエンジン車(SR20DET+アテーサ4WD)を新設
4.リヤガラスハッチの採用
5.ラゲッジルーム電源ソケットの採用
6.運転席SRSエアバッグの標準設定
です。
5
《サリュー後期》1997.01~1998.08
ビッグマイナーが当たり、それなりに好調だったアベニール サリューシリーズ。さすがに発売から7年を経過し、現代の水準に照らし合わせると商品力の低下は明らか。新型W11登場を控え、現代に追いつくべく安全装備の強化とライバルに対抗して商品力強化を行うための最後のマイナーチェンジ。
1997年8月にはモデル末期のお買い得仕様としてサリューG系ベースの「サリューリミテッド・サリューGTターボリミテッド」が追加。1998年1月にはSR18DE搭載のサリューXをベースにした「サリューリミテッド」が追加され、売り切りモードに入ります。
また、サリュー前期の途中から追加され好評を博したオーテックジャパン扱いの「エアロエクスプレス」シリーズはエアロのデザインを全面変更。丸型4灯式ヘッドランプを採用するなど、精悍なスタイルを得て継続設定。同様に初期型から設定されている「リゾートエクスプレス」も継続設定。これらオーテック扱いの車種は当初サリューGベースで登場したものの、サリューリミテッドシリーズの登場に伴いベース車がサリューリミテッドベースに変更されます(リゾートエクスプレスのCD20T車はサリューXのまま)。ステッカー以外の見分け方は、運転席ピラーにアンテナがあればサリューG、ガラスアンテナであればサリューリミテッド。
ちなみに、エアロエクスプレスのIとIIの差はダウンサスとマフラー。アルミはどちらもオプションで、標準車であればエアロコテコテなのにホイールカバーという出で立ちです。
主な変更点としては、
1.ABS・デュアルエアバッグの全車標準装備
2.ドアミラーカラード化(一部グレード)
3.サイドガードモールカラード化
4.フルホイールカバー、アルミロードホイールの意匠変更
5.ボディカラー変更
6.シート生地・ドアトリムの変更(一部グレード)
7.オートエアコンの意匠変更
8.本革巻ステアリング&シフトノブ&パーキングブレーキレバーの採用(一部グレード)
9.ホワイトメーターの採用(一部グレード)
10.S.F.H.C.・ワイパーデアイサーのメーカーオプション設定追加
11.KENWOODサウンドクルージングシステムにスーパーウーハーの追加
12.センターコンソールマルチホルダーの廃止
です。
6
《カーゴ前期》1990.11~1992.12
新型アベニール カーゴW10型系車は、従来のセダン派生車という開発方法を変更し、専用ボデーにより「ゆとり」「快適性」「積載性」を実現させたエアロフォルム スタイルの90年代のカーゴとして開発しました。
アベニールの語源はフランス語で「将来・未来」を意味します。クルマに対して多様さを求める人々が、この車を使う事により新しい世界が拡がるという意味を込めました。また、「カーゴ」とは「積み荷・貨物」を意味し、バンの新しい呼称です。
ボデー形状は5ドアのみとし、ガソリンエンジンは全てDOHC、ディーゼルは新開発の2.0Lを搭載しました。
主な新機構・主要装備としては、
1.フォグランプ
2.ハイマウントストップランプ
3.カップホルダー、小物入れ
4.ショルダー調整式フロントシートベルト
5.シートリフター(フロント)
です。
発売後約半年の1990年11月に待望の4WDモデル、L・LX・LX-Gを追加(5MTのみ)します。
7
《カーゴ中期》1993.01~1995.07
ワゴンのマイナーチェンジと同様、カーゴにも一部改良が加えられます。
外観に大きな変化はありませんが、ワゴン同様リヤウインドウ左端の「NISSAN」ロゴがなくなり、ライセンスプレート上部中央にCIマークのラベルが貼付されるようになります。また、1993年11月以降は「Avenir CARGO」という車名ラベルが「Avenir」のみに変更されます。車体色は2色を廃止し、1色を追加します。その他改良はワゴンのマイナーチェンジと同様に行われていきます。
主な変更点としては、
1.GA16DSエンジンに電気式フルオートチョークの採用
2.防錆性能向上(ステンレス材の採用)のため、エキゾーストシステムの変更
3.GA16DSエンジン搭載AT車にABS・ビスカスLSDのセットオプション設定
4.サイドドアビームの採用
5.LXのブルーガラスを廃止
6.VXに集中ドアロックを採用
7.VXの助手席ドアグリップ部にパワーウィンドウスイッチを新設
8.VXにリモコンドアロック(赤外線式)を採用
9.AT車にフットレストを採用
10.シートベルト警告灯の採用
11.後席左右席3点式シートベルトの採用
12.VXにリヤヘッドレストの採用
13.Lにリヤヒーターダクトの採用
14.ハイマウントストップランプを全車にメーカーオプション設定
15.新型AM電子チューナーラジオ・AM/FM電子チューナーラジオの採用
16.CD20エンジン搭載車にNOx総量規制対応モデルの設定(1993年11月以降)
17.LX-G・VXのブロンズガラスをブルーガラスへ変更(1993年11月以降)
18.パワーウィンドウの30秒タイマーシステムの廃止(1993年11月以降)
19.LX-G・VXにオゾンセーフエアコンの採用(1993年11月以降)
20.VXにグローブボックスランプの採用(1993年11月以降)
21.キースイッチ照明&シガーライターリング照明の廃止(1993年11月以降)
22.パナールロッドの取付位置変更(1994年11月以降)
23.助手席シートベルトのテンションリデューサー機構の廃止(1994年11月以降)
24.エアコンのコントロールフィニッシャーの意匠変更(1994年11月以降)
25.ライト消し忘れ・キー抜き忘れ警報音をチャイムからブザーに変更(1994年11月以降)
です。
8
《カーゴ後期》1995.08~1999.08
ワゴンの車名変更を伴うビッグマイナーチェンジと共に、カーゴにも一部改良が加えられます。
このマイナーチェンジでワゴンは大きく姿を変え、車名も「アベニール サリュー」として一新を図りますが、カーゴは外観の変更はなく、初期型から一環した外観を貫き通します。「レガシィのパクリ」と叩かれまくったサリューのスタイル(特にリヤ)よりも、この「縦目」のリヤスタイルの方がアベニールらしいとの声も多く聞かれます。後に、縦目時代のアベニールがスムージング・ドレスアップのベースとして大人気を博しますが、ワゴンのタマが無くなるに従い、カーゴまでもがドレスアップのベース車として使われて行ったのでした。
ワゴンは1998年10月をもってW11型「アベニール」へとフルモデルチェンジされましたが、カーゴはそのまま残されました。W11をワゴン専用ボディにするのかと思いきや、1999年9月にはW11型のカーゴに相当する「エキスパート」が発売されます。車名は変更したものの、中身は全くのW11型。せっかくワゴン専用の「サリュー」になってそれなりに人気を博したというのに、またもやバンとボディを共用化し、ワゴンのアベニールの方はその完成度にもかかわらず惨憺たる販売台数に堕ちて行ってしまっています。
主な変更点としては、
1.LXの廃止
2.運転席SRSエアバッグシステムを全車にメーカーオプション設定
3.全車にグリーンガラスを採用
4.VXの集中ドアロックから車速検知式オート機能を廃止
5.デュアルシートリフターの廃止
6.新型ルームランプの採用
7.バキュームポンプの駆動方式を補機ベルトから噴射ポンプタイミングベルト駆動に変更(1996年11月以降)
8.熱反射ハーフミラーガラスのブロンズガラスをグリーンガラスに変更(1996年11月以降)
9.UVカット断熱グリーンガラス装着車のフロントガラスにロングライフ撥水ガラスを採用(1996年11月以降)
10.CD20型のインテークマニホールドとインテークマニホールドコレクターを一体化(1997年1月以降)
11.寒冷地仕様車にワイパーデアイサーをメーカーオプション設定(1997年1月以降)
です。
関連コンテンツ
関連リンク
おすすめアイテム
[PR]Yahoo!ショッピング