オートモビルカウンシル2018、日本車編です。やっとアップします。今回、日本車の展示もずいぶん増えていました。
== トヨタ ==
クラウン RS-L(1956年)
左ハンドル、輸出仕様の初代クラウンです。RS-LのLとはLHD(左ハンドル車)のこと。
初代クラウンには左ハンドル仕様のRS-Lもあり、当時アメリカ領だった沖縄などへ輸出されました。この綺麗にレストアされた個体はどこ向けだったのでしょうか。なお、アメリカ本土向けのRS-Lは世界で6台しか残っていないそうです。うち国内には2台のみで、その1台はトヨタが所有しています。
メガウェブ展示車です↓
700台に満たない台数がアメリカ・カリフォルニアに輸出されたものの、現地ではさんざんな酷評だったといいます。フリーウェイの合流に乗れない、とか…
それが今ではトヨタのセダンといえばアメリカのベストセラー。先人たちの努力には頭が下がります。
コロナ(1967年)
小さなセダンですが、できるだけ立派に、一人前に見せようとするデザイン。決して悪くありません。上品さも感じます。
特に斜め後ろからの見栄えはなかなかです。
パブリカ・スポーツ(レプリカ)
「ヨタハチ」の原型となった、1962年のショーカー。「航空工学でクルマを造れ!」というかけ声だったとのこと。
スライド式のキャビン、というかキャノピーですか。雨の日には大変なことになりそう…
ただこの、どんなアイディアでもカタチにしてやろうという意欲は素晴らしいと思います。実際、いまこうしてカタチとして残っているわけです。
スポーツ800(1968年)
この小ささ。それなのにこの存在感。小さな宇宙船のよう。
色がシルバーなのも宇宙船っぽい。
エンジンルームはぎっしり。
そういえば、前の車を買うときディーラーの店長さんに車で迎えに来て頂いたのですが、道中、目の前の交差点をシルバーのヨタハチが。大いに盛り上がりましたね。
この車の再来とも言える「SFRコンセプト」
2015年の第44回東京モーターショーに登場し大いに期待を集めたものの、残念ながらお蔵入りの模様…
2000GT スピードトライアル(レプリカ)
1966年に、谷田部の自動車試験場でFIA公認スピードトライアルをした車。「3つの世界記録と13の国際記録を樹立」といいますから相当です。
そういや2000GTといえば浮谷東次郎。1966年は彼の死の翌年です。
2000GT(1969年)
これは後期型ですね。2000GTはいつ見ても美しい。
今なお一目置かれる傑作デザインだと思います。
7(1969年)
トヨタが手がけた本格レーシングカー。車名は当時のFIAレギュレーションから。2000GT同様、ヤマハの協力を得て生まれた車。
当時のことはまったく分かりませんが、サーキットではプリンス/日産のR380などと火花を散らしていたんでしょうね。
トヨタブースから離れ少し歩くと、こんな初代
チェイサーが。
どこの旧車専門店かと思いきや、この車を仕上げたのはネッツトヨタ富山です。驚きます…
1978年、昭和53年式とのこと。派手ですが、ほどよくまとまっている。
ネッツトヨタ富山ではレストア事業もやっているとのことで、パンフレットも頂きました。トヨタ車だけではなくポルシェ911やカルマンギア、MG-Bまで手掛けています。凄い…
トヨタ車買うならネッツトヨタ富山で!(爆)
== 日産 ==
MID4(1987年)
3リッターV6をミッドシップに積み、4WDと4WSを組み合わせるという、まさにハイテクの塊。プロトタイプも造られ(この車です)、東京モーターショーで展示され好評を博したものの「高価になりすぎる」という理由で市販化は中止。もし実現していたなら、まさに「技術の日産」を象徴するクルマになったはず。非常に残念です。
しかし、技術面やデザインは後年の日産車に活かされました。技術面ではZ31フェアレディZやR32スカイラインGT-Rへ。スムーズな内外装デザインは「ART FORCE」シルビアへ。
このリアスタイルにはインフィニティQ45との共通点があります。
もしくはNSXとも共通したアメリカンな雰囲気も。ハイマウントストップランプの位置もアメリカン。ドラマ「マイアミ・バイス」に登場したアメリカ仕様のフェラーリ・テスタロッサがこんな感じです。
セドリック・スペシャル(1964年)
この初代セドリックはトヨタブースでの展示。第1回東京オリンピック聖火搬送車!
この車両を所有しているのは日産ですが、「1960年代を代表するクルマ」ということでメーカーの垣根を越えた展示がされています。素晴らしいことです。
同じ1964年式の
セドリック・スペシャルは、別のショップからも。
2,800ccの直列6気筒エンジンを積んだ国産車は、当時まさに「スペシャル」だったのでしょう。
NISSAN Formula E
今年12月に開幕の「ABB FIAフォーミュラE選手権」、日産はこれで参加するとのこと。活躍を期待します!
ダットサン1000 セダン(1958年)
レーシングカーつながりで。いっきに60年さかのぼります。これは「富士号」と名付けられたラリーカー。1958年のオーストラリア一周ラリーに参戦した車。ほかに「桜号」もあります。
伝説の車と言って良いでしょう!
安価だが頑丈、しかもスポーティな車として世界を席巻したブランド「DATSUN」
最近、日産はそれを復活させました。しかし、あろうことか格安車用として。結果けっしてうまくいっていません。いったい何をしているんだ?
と、毒づくだけではアレなので(笑)
180SX
カーセンサーブースから。1991年からの中期型ですね。これだけ綺麗なワンエイティを見たのは久しぶり。当時にタイムスリップしたかのよう!
== ホンダ ==
ホンダブースでは歴代レジェンドが並んでいました。
初代レジェンド(1985年)
とてもシンプル。当時は「大きなアコード」などと揶揄されていましたが、今みると非常にプレーンで好ましい。しかしマイナーチェンジで厚化粧を。「日本車あるある」というべきか…
リアスタイルは確かに「大きなアコード」ですな…
2代目レジェンド(1990年)
ボディ、エアバッグなど安全性を強化した2代目。
新聞広告ではクラッシュテスト時の画像を載せていました。あれは衝撃的だった。
当時、日本車いや日本人の「安全性軽視」が浮き彫りになっていました。それに対するホンダの回答でしょう。
こうしてみると、たった5年での進歩と変貌は凄いものがあります。
4代目レジェンド(2004年)
3代目はありませんでした。こちらは4代目。
もう14年も前なんですねぇ。LEDのリアランプがとても綺麗な車です。
5代目レジェンド(2014年)
2年のブランクを経て国内市場に復活した現行モデル。しかし、残念ながらほとんど売れておらず、存在感も希薄です。国内登場からもう4年経つということを意識している人なんて、ほとんどいないでしょう。
失礼ながら、デザインにはBMW7シリーズ(F01)からの非常に強い影響を感じます。それ以前に、初代の「大きなアコード」感だけ無駄に受け継いでいませんかね…
== マツダ ==
マツダは、ファミリアからつながる一連の小型ハッチバックを展示。
ファミリア 1500XG(1980年)
5代目にして初めて採用した前輪駆動。
「赤いファミリア」といえば、これでしょう!
日本カー・オブ・ザ・イヤーの第1回受賞車。売れに売れ、カローラやサニーより売れたこともあった。今のマツダの「赤」へのこだわりはこの車に端を発するのでしょうか。
323 4WD 1600(1991年)
この車は、フィンランドの博物館に展示されているものだそうです。今回のショーのために、はるばる空輸してきたという!
ランティス タイプR(1992年)
懐かしい…
同じ名前なのに2種類のボディタイプを持っていたランティス。私は、断然こっちのほうが好きでした。「タイプR」、ありましたねぇ。このボディに2リッターV6という。一度、乗ってみたいなぁ。
そして、
魁コンセプト
去年の第45回東京モーターショーに出ましたね。
次期アクセラはこんな感じになるはず。楽しみです。
== スバル ==
スバルは、4WD(スバル的にはAWD)の歴史を歴代4モデルでたどろうという趣向。
まずは1972年に登場した、この
レオーネ4WDエステートバン
この野暮ったさの極みみたいなデザイン。味があります。ありすぎます(笑)
これは初代アウトバック!ではなく、
グランドワゴン(1995年)です。
初代レクサスLS(セルシオ)やマツダ・MX-5 ミアータ(ロードスター)同様、この車も世界的に影響を与えた日本車の1台でしょう。既存のワゴンモデルの車高を上げオーバーフェンダーなどで飾り、クロスオーバーSUV的に仕立てた車の嚆矢と言えます。
初代フォレスター。1997年にスバルが万を侍して登場させた専用ボディのSUVですね。
この初代も人気を得ました。会社の同僚にもこれを買ったヤツがいました(笑)
そして
5代目フォレスター。最新型ですね。
極めて保守的なフルモデルチェンジですが、個人的にはなかなかだと思います。
○○(以下略)や○○○(以下略)を買うなら、断然こっちでしょ(爆)
スバルといえばカーセンサーブースに
アルシーネSVXが!
見てくださいこの内装。今の車より豪華だな(汗)
当時の富士重工業の役員車(社長車?)になったという話を読んだ記憶も…記憶違いかも知れませんが(汗)
今回の「オートモビルカウンシル2018」では、今まで登場していなかった国内メーカーの車もありました。これらは主催者ブースでの展示なのですが、本当に気が利いています。主催者自らショーを盛り立てようという気概を感じます。そういや、新旧アルピーヌA110を並べた展示も主催者によるものでした。
== 三菱 ==
コルト・ギャラン(1969年)
この、ヘッドライト前のスリットはいかにもアメリカ車的ですね!
リアスタイルもアメリカン。
== ダイハツ ==
コンパーノ・スパイダー(1965年)
対してこちらはイタリアン。モデル名からしてイタリアン。
あれ?このリアスタイルってなんだかロールス・ロイス・コーニッシュにそっくりじゃないですか?
もちろんダイハツが先です(笑)
== いすゞ ==
ベレット 1500デラックス(1966年)
ベレットといえば「ベレG」は何度か見たことがありますが、この一般ファミリー向けベレット(しかもATです)は初めて見ました。本当に貴重です。
ご近所に、ずっといすゞ車を乗り継いでいた方がいます。フローリアン後期型から歴代ジェミニへ。フローリアンは、あのシックスライトデザインや大きなフロントグリルを見て、子供心に「ガイシャみたいだ」なんて思っていましたね。その方も、いすゞが乗用車事業より撤退してからはカローラに乗り換えました。
== 日野 ==
コンテッサ 1300クーペ(1965年)
ミケロッティデザイン。エンジンは後ろ。独創的で、美しいクーペです。
当時の日野ファンは、「車はリアエンジンに限る!」なんてトヨタファンや日産党を相手に力説していたのかな(笑)
先の大戦での敗戦から、そして焦土と化した国土で、必死に這い上がってきた日本人。当時の日本車からも、決して大げさではなく「復興の喜び」「発展への熱意」を感じます。しかし、いつの間にかそんな記憶も忘れ去られているのではないか。それどころか、最近は母国日本市場を軽視するようなネガディブな動きばかり目立つ。トヨタすら、合理化に突き進み車種の大幅削減に踏み切るという。閉塞感を感じます。
いま、日本メーカーは
「これぞ我らのクルマ!」というメッセージをどれだけ発しているでしょうか?
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以上、オートモビル・カウンシル2018でした。
次回も楽しみです。話によると、次回2019は4月開催だとか?
あっという間じゃないですか(笑)