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2018年09月04日

リンカーン・コンチネンタル・マークV ~最後のカーテンコール~

(前回の「リンカーン・コンチネンタル・マークV ~コンチネンタル・マークV ~アメリカ製フルサイズ高級車の終焉~」の続きです)

 1979年のコンチネンタル・マークVは、フルサイズのプラットフォームをベースとする最後のパーソナルラグジュアリーカーでした。1979年6月8日、最後のコンチネンタル・マークVが組立ラインを出たとき、一つの歴史に幕が下ろされました。
 この大きな節目となるイベントを記念し、リンカーンはアメリカ製大型高級車の最後を歴史に刻む限定版として、リンカーン・コンチネンタル4ドアとコンチネンタル・マークVにコレクターズ・シリーズを提供しました。

 リンカーン・マーキュリー部門の副社長兼ゼネラル・マネージャーのWalt Obenは、リンカーンの顧客のために出版されていた、コンチネンタル・マガジン1978年秋号に掲載された顧客へのメッセージの中で、「伝統的な高級車の新車を望むなら、これが最終的な機会であり、長い間それを延期しないことをお勧めします」と述べています。

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1979年 リンカーン・コンチネンタル コレクターズ・シリーズ
(ホワイト)

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1979年 コンチネンタル・マークV コレクターズ・シリーズ
(ミッドナイトブルー・ムーンダストメタリック)

 コンチネンタル・マークVのコレクターズ・シリーズに与えられた特別装備は、前年のダイヤモンド・ジュビリー・エディションをほぼ踏襲していましたが、コンチネンタル・マークIIIへの回帰を意図してオペラウインドウが削除されたクォーターピラーと、ボディカラーのバリエーションが異なっています。
 ボディカラーは販売当初、ミッドナイトブルー・ムーンダストメタリック(3Q)とホワイト(9D)の2色のみで供給されましたが、生産終了間近の1979年4月にライトシルバー・ムーンダストメタリック(1Y)とダイヤモンドブルー・ムーンダストメタリック(38)が追加され、最終的に4色がラインナップされました。

 なお、ホワイトカラーのコレクターズ・シリーズ・マークVには、モールディングやホイールの色をゴールドカラーで統一したモデルと、ベースモデルと同じブラック/ホワイトのモールディングとミッドナイトブルーのホイールを装着したモデルの2パターンが存在します。
 これは、当初ゴールドでカラーコーディネートされたバンパー・モールディング、ボディサイド・モールディング及びホイールを装着して販売されていたものが、1979年1月の第3週頃以降、ゴールドバージョンの部品在庫が不足したことにより、ベースモデルと同じブラックのバンパー・モールディングとホワイトのボディサイドサイド・モールディング、ミッドナイトブルーのコレクターズ・シリーズと同じ紺色のホイールを組み合わせたモデルも並行して出荷されるようになったことによります。

1979年 コレクターズ・シリーズのカラーバリエーション
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      他にもホワイトボディーにミッドナイトブルーのトップやプレーントップを持つコレクターズ・シリーズが確認されています
      サイドモール・バンパーモールのミッドナイトブルーはブラックの誤りです

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1979年 コンチネンタル・マークV コレクターズ・シリーズ
(ホワイトボディにゴールドのモールディングとホイールを持つ車両)

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1979年 コンチネンタル・マークV コレクターズ・シリーズ
(ホワイトボディにベースモデルと同じモールディングとミッドナイトブルーのホイールを持つ車両)

 コレクターズ・シリーズの販売台数には制限が設けられておらず、色別ではミッドナイト・ブルー・ムーンダストメタリック:3,900台、ホワイト:2,040台、ライトシルバー・ムーンダストメタリック:125台、ダイヤモンドブルー・ムーンダストメタリック:197台、コレクターズ・シリーズ合計では6,262台が販売されました。

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1979年 コンチネンタル・マークV コレクターズ・シリーズ
(ライトシルバー・ムーンダストメタリック)

 販売価格はベースモデルの$13,067[$45,355]に対し約1.7倍の約$22,000[$76,365]に達し、前年のダイヤモンド・ジュビリー・エディションと同じく、この年のアメリカ製乗用車の中で最も高価なモデルとなりました。

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1979年 コンチネンタル・マークV コレクターズ・シリーズ
(ダイヤモンドブルー・ムーンダストメタリック)

 内装はミッドナイトブルーのKasman II高級布製バケットシートとセンターコンソールが標準装備となっていましたが、革製のシートを選択することも出来ました。この場合、ベースモデルのラグジュアリーグループ・オプションと同じツインコンフォート・ラウンジシート(色はミッドナイトブルーまたはホワイトから選択)が装備され、コレクターズ・シリーズ特有のインテリアが省かれるため、(安価な)マイナスオプションとして取り扱われました。

 また、コレクターズ・シリーズにはダイヤモンド・ジュビリー・エディションと同じく、パワームーンルーフと40チャンネルCBラジオを除く全てのオプションが標準装備された上で、下記の特別な装備が追加されます。

【外装】
 ・オペラウインドウを持たないランドゥトップとCollector's Seriesのスクリプト
 ・コーチランプを内蔵したランドゥルーフモールディング
 ・クリスタルゴールドのフードオーナメント
 ・ゴールドカラーのフロントグリル垂直バー
 ・―――〃―――のフロントグリルオーナメント
 ・トリプルバンド・ペイントストライプ
 ・フェンダールーバーエッジ部のメッキ加飾
 ・カラーコーディネートされたトランクリッドのコンチネンタルスペアタイヤ部のパッド(ダイヤモンドブルー及びライトシルバーの車両はミッドナイトブルー)
 ・――――――〃――――――トランクキーシリンダーカバーのバイナルインサート
 ・――――――〃――――――バンバーのバイナルストリップ
 ・――――――〃――――――サイドモールのバイナルインサート
 ・――――――〃――――――タービンスタイルアルミホイール

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クォーターピラーに表示されるコレクターズ・シリーズのスクリプトとコーチランプ
(以下の写真は筆者所有車を中心に掲載)

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クリスタルゴールドのフードオーナメント

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ゴールドのフロントグリルオーナメント
(ベースモデルでは赤色です)

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フェンダールーバーエッジ部のメッキ加飾

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コンチネンタルスペアタイヤ部のパッドとキーシリンダーカバー部のバイナルインサート

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エンジンフード上のトリプルバンド・ストライプ

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トリプルバンド・ストライプはデカールではなくペイントで描かれます
(ベースモデルでは端部のグラフィックがデカール、ストライプはローラーによるペイントです)

【内装】
 ・Kasman IIマジェスティックベロアを使用したスプリットバケットシート(※1
 ・ ――――――――――〃――――――――― ドアトリムとクォータートリム(※1
 ・ ――――――――――〃――――――――― ピラーガーニッシュとリアトレイ(※1
 ・革張りのダッシュボード
 ・―〃―のセンターコンソール(※1
 ・―〃―のシートサイドとバックシェル(※1
 ・シートバックのアシストストラップとマップポケット(※1
 ・黒檀木目柄のシートバックインサート
 ・――〃――のインストルメントパネル
 ・――〃――と特別なオーナメントを持つステアリング
 ・――〃――のドアアッパーガーニッシュ
 ・――〃――のインサート付きイグニッション・トランクキー
 ・――〃――のライトスイッチ・ワイパースイッチ・シガライターノブ
 ・ベースモデル(18オンス)の2倍の密度を持つ36オンスカットパイルカーペット
 ・各ペダル類のメッキ加飾
 ・リアシートセンターのアームレスト(※1
 ・トランクルームの18オンスカットパイルカーペット
 ・トランクリッド裏の18オンスカットパイルカーペット
 ・オーナーズプラーク
 ・センターコンソールアームレストに収納された傘
 ・革張りのオーナーズマニュアル
 ・革張りの工具セット
※1:革製インテリアを選択した場合装備されません

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センターコンソールを備えたKasman IIマジェスティック・ベロアのスプリットバケットシートと黒檀木目柄のインストルメントパネル、特別なオーナメントを持つステアリング
(ベース車両はウォルナット柄です)

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黒檀木目柄のドアアッパーガーニッシュと
Kasman IIマジェスティック・ベロアを使用したドアトリム

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ホワイトの革製インテリアを選択したコレクターズ・シリーズ・マークV
(この場合、上記のセンターコンソール、バケットシート、ドアトリム等は装備されません)

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革張りのオーナーズマニュアル、傘とトランク右側に固定された革張りの工具セットなど

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トランクリッド裏の18オンスティファニーカットパイルカーペット

 コンチネンタル・マークV コレクターズ・シリーズはアメリカ製フルサイズ・パーソナルラグジュアリーカーの最後のカーテンコールでした。

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この美しさは永遠に人々の感動を呼び起こします

 ミシガン州のウィクソム組立工場のある従業員は、最後のコンチネンタル・マークVを送り出したその夜、帰宅して妻に「物語の章の最後のページを見た」と言い、続けて「残りの部分に読むだけの価値があるかどうか分からない」と語ったといいます。

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閉鎖されたミシガン州ウィクソム組立工場

 人々が自動車に対して求める高級という価値観は急速に変化し、1950年代から四半世紀にわたり続いてきた、アメリカのフルサイズ・パーソナルラグジュアリーカーという文化は1970年代の終わりと共に消え去りました。

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文化は消滅しましたが、その魂は世界中で生き続けています

※文中[ ]カッコ内の価格は米国のインフレ率により2018年現在の貨幣価値に換算した価格です。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 5回に分けてコンチネンタル・マークVの歴史と、その背景について書いてきましたが、このテーマはこれで終了です。
 内容の殆どはアメリカのWebサイトの受け売りで、下手な翻訳と国語力の無さで、大変読みづらい文章となってしまったことをお詫びいたします。
 このつたない文章が、日本国内のコンチネンタル・マークVを愛する方々の知識として、少しでもお役に立てば幸いです。
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Posted at 2018/09/04 17:17:17

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この記事へのコメント

2018年9月5日 7:08
いつも楽しく拝見しております。
ここまで調べるのに相当な労力がかかったのではないでしょうか。今まで海外のサイトも見てきましたが、マークVに関する説明としては最も詳細だと思います。参考にさせていただきますね。
コメントへの返答
2018年9月5日 10:34
 おつかれさまです。
 昨日は台風直撃でヒマになったので、ダラダラ書いてたらものすごい長文になってしまいました。

 コレクターズ・シリーズは、商業的に成功したダイヤモンド・ジュビリー・エディションを継続して販売したかったフォードが、マークV最終年度にかこつけて設定した、というのが本当のところだと思います。

 そのためマークVIになってからは、(装備はかなり簡素化されてしまいましたが)シグネチャー・シリーズとして、通常ラインナップの最上級グレードに組み込まれてしまいましたよね(サンダーバードのダイヤモンド・ジュビリー・エディションも、1979年以降ヘリテージとして通常ラインナップになりましたし)。

 しかし、細かいところを見ていくと、コレクターズ・シリーズはダイヤモンド・ジュビリー・エディションからコストダウンされた部分(フロントグリルカラーや内装色の単一化、ランドゥトップやサイドモール・ホイールカラー等の限定、シートのバックレスト中央付近の刺繍の有無)もあって、カラーバリエーションの多さを除き、ダイヤモンド・ジュビリー・エディションが最も贅沢なコンチネンタル・マークVであったと思います。
2018年9月5日 22:42
こんばんわ!
今回もじっくりと読ませて頂きました。

トリプルバンドストライプはコレクターシリーズのみだったんですね。
2本の物と違いが分かってスッキリしました♪

詳しい内容で、勉強になりました★
コメントへの返答
2018年9月6日 8:13
 おはようございます。

 マークVのストライプは色々なパターンがありますが、デザイナーズシリーズを除き、ベースモデルは基本的に下記の状態で販売されたと思います。

・1977~1979年を通じて、ボディサイドのストライプは、先端が槍の穂先に似たグラフィックのデュアルバンド・ストライプ(先端部のデカールは現在でもebay等で販売されているのを見かけます)

・1977年のみ、エンジンフード上のエッジと、トランクのコンチネンタルスペアタイヤ部の輪郭にデュアルバンド・ストライプ(この部分のストライプは1977年モデルでしか見たことが無いです。これがないモデルもあるのでオプションかもしれません。)

 また、トリプルバンド・ストライプはダイヤモンド・ジュビリー・エディションとコレクターズ・シリーズ特有の装飾ですが、ダイヤモンド・ジュビリー・エディションでは、3本のストライプのうち中央と両外側で色調が異なる、非常に凝ったデザインになっています。

 これらのペイントストライプは流石に筆書きではなく、並列したローラーを使用して描いていたようですが、それでも至近で観察すると、微妙な波うちや塗膜の盛り上がり等、現代の車にはない工芸品のような味わいがあります。
2020年6月1日 22:45
初めまして。古き良き時代のビッグアメリカンクーペへのほとばしる愛情、思いが非常に感じられる、読み応えのあるブログですね‼吸い込まれるように拝読いたしました。
小生、当時のアメ車の知識が殆どなく、それでいて「やっぱアメ車は巨大で押し出しの強さが感じられる70年代!」という強い思い込みがあり、そのイメージにぴったりなのがマークVだと思うのです。
素晴らしいコンディションの個体を手に入れられて羨ましい限りです。
なかなか目にすることはない時代の車両、チャンスがあれば生で拝見したい車両です。
愛車紹介も含めてとても勉強になりました。
コメントへの返答
2020年6月2日 9:01
はじめまして。
コメントありがとうございます。また、大変読みづらい文章にもかかわらず読んでいただき、どうもありがとうございます。

アメリカ車の歴史の中で1970年代はマッスルカーの馬力競争が頂点を迎えた1972年以前の輝かしい初頭と、それ以後の様々な規制(排ガス・燃費・安全)への対応に苦しんだ暗黒の時期に二分されているように思います。

マークVはそんな暗黒の1970年代後半に生まれながら、1980年代の幕開けに繋がるクリーンでスクエアな外観テイストが盛り込まれていて、良くも悪くも過渡期にあったアメリカの自動車を取り巻く環境をよく表しているなーっと感じます。

プロフィール

「@デジT さん
コメントありがとうございます。このようなバカげた車が販売されることは今後ないでしょうねー」
何シテル?   01/26 08:26
ごくフツーのしがないサラリーマンです。 少し前まで軽くて速い車が好きだったのですが、いつの間にか趣味で所有する車が2台とも「フレーム構造、車重2t超、規格灯丸...
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