非力でオンボロとなった先代のミラがいよいよ重故障という事態を迎え、買い替えを余儀なくされた時、とある中古車センターで見かけたのがプレセアでした。
カリーナEDクラスの所謂“スタイリッシュカー”という、今は亡きカテゴリーに属するこのプレセアは、居住性や操縦性よりも、いかにドレッシーな雰囲気を醸し出すかが主題の車でした。
定員5名での乗車はお世辞にも快適と言えない、そんな狭苦しい車でしたが、2名乗車なら快適なデートカーとして、私の良き相棒でありました。
女性ユーザーをターゲットとして売り出していた事もあり、外装はもとより内装も女性が使用する上での快適性を重視した造りとなっており、時まさしくバブル時代という背景も手伝って、オートエアコン等の快適装備も標準で設定されており、実用には申し分のない車でした。
マリンブルーメーターと称される、夜間メーター全体がブルーのまばゆい光に包まれるこのメーターが、優雅な雰囲気に華を持たせる粋な存在でありました。
走行性能については、あまり特筆できるものがありませんでした。
というか、安全面では両席エアバッグは勿論、ABSもオプションだった時代という事もあり、他車に遅れを取るものでした。
しかもブレーキの効きが良くなく、更にこのモデルに搭載されるSR18Diというエンジンの非力さは、少し盛り上がったスペースに駐車しようとすると、アイドリングだけではエンストするほどのもので、その割に燃費もリッター6.5kmほどしか伸びず、惨憺たるものでした。
それでもエレガントで色気のあるボディーラインに象徴されるプレセアの美しさは、所有感を高めるステキな車であった事を生涯忘れないでしょう。