135フォーマットで育ったレンズには、やはりフルサイズが似つかわしい。
そんな夢を見させてくれたのが、リコーのGXR+A12ユニットでした。
仕事がら、このボディのコンセプトには、かなり興味があったのですが・・・
設計が奇抜すぎたのか、あるいはA12ユニットの仕様が限定的すぎたせい
なのか、やはりプアマンズ・デジタルライカには、なりきれませんでしたね。
(やはりフルサイズ版のA12ユニットを、出していただきたかった・・・)

A12ユニットとGXR。
GXRを囲む昨今の状況は、かつてのコンタックスG1/G2が置かれていた
状況に、よく似ています。いや、固有のレンズマウントを持つことがなかった
という点では、もっと厳しい状況なのかもしれません。かつてのG1/G2が
そうであったように、GXRが中古市場で二束三文で取引されている現状には、
胸が痛みます (>_<;)
リコーがA12ユニットで、ニッチの市場に挑んだことは、賞賛に値します。
でもニッチの市場を技術で切り拓こうという試みは、やはり失敗に終わる例が
ほとんどで、時間ないしお金で解決できてしまうケースの方が、はるかに多い。
撮像素子の大型化・低コスト化とマイクロレンズ技術の進歩が、GXRが
乗り越えようとした課題を、あっさりと解決しつつ、あるように見えます。
(ソニーのα7Sがまさに、この生態系でのニッチを占めようとしています)

在りし日のGXR。Hologon 16mm F8 Mマウント改とともに。

ともに時代を乗り越えようとした、GXRとGレンズたち。EVFと一緒に。
(ん?これはひょっとして GXR=Gレンズ×RICOH だったのか?)
● 墓碑銘に代えて (Wikipedia より抜粋)
このカメラの最大の特徴である世界初の「ユニット交換方式」とは、ボディは入出力機能(ボタンと液晶画面)にフラッシュ等の補助メカニズムを付加したI/Oモジュールに他ならず、レンズはおろかイメージセンサーすら搭載されていないという奇抜な設計である。カメラとしての実質機能は全て交換ユニット側に集約されているが、カメラユニット側だけでなく本体側にも画像処理エンジンを搭載している。そのためカメラユニットを外した状態で本体の電源をオンしても動作は可能であり、撮影したデータを表示、加工するなどがボディ単体でも行える。
この「骨組み」とも言えるボディに対して、レンズ、イメージセンサー、画像処理エンジンを一体化したカメラユニットを、本体にスライド挿入して使用する。トータルではやや大型のコンパクトカメラとなり、背面液晶かオプションのEVFを用いて撮影する。
ユニットとボディ間の接続は完全なデジタル信号通信であり、従来のレンズ交換方式のような光学的な意味での外寸規格は存在しない。そのためセンサーサイズやフランジバック、或いはセンサーへの光線入射角度に至るまでユニットの裁量で自由に決める事ができ、デジタルカメラの中でも極めて設計自由度が高い。
反面、共用部品とすることのできたセンサーなどが、全てレンズとユニット化されるため、部分的なアップデートが不可能である。実質的には、ユニット一つごとが特殊化したカメラを一台分設計するのに等しく、ある意味ではレンズ交換式カメラの特徴であった、「レンズの資産価値」を重視するメリットを完全に捨てたともいえる。リコーの主張によれば、一体型の専用設計にすることでレンズ、センサー双方を完全に最適化、ユニットを小型化できるとしており、これがGXRの長短所両面での著しい特徴となっている。
GXRよ、夢を見させてくれてありがとう!