2015年09月01日
東京五輪エンブレム 使用中止について
この問題に関してはある程度の結果が出てるまで触れずにおりましたが。。
どうやら使用中止を発表したようですね。
これは非常に大問題です。
いろいろマズいのですが、ここは「デザイン」という知的財産に関しての
問題について書きます。
まず件のエンブレムデザインですが、数々の専門家が発言されているように、
少なくともベルギーの劇場エンブレムの盗用では全くありません。
やってることが全く違うので。
しかし
ぼくが初めてこのエンブレムを見た時、「これはまたなんちゅうベタなもんを選んだのか」
と思いました。非常に簡単な構成要素でカラーもまた然り。
強いて言えば黒を大胆に中央に配してしかも面積も大きいというところが思い切ったな、
というくらい。
その時点で「これは何かに似ている」とか言われそうという発想には至りませんでしたが、
「よくはできているけど、どこにでもありそう」とハッキリ思いました。
でもねぇ。。
シンプルでうつくしい造形というものはシンプルであればあるほどその要素もシェイプも
わかりやすく、また、同じ様な形になって行くもの。
「まーしゃーないわなー」という思いが、自分の中で盗用問題に発展する可能性に
考えが及ばない障壁になったと思います。
ベルギーの件で盗用指摘された際、デザイナー氏の説明は明解で、国の対応も
まずまず良かったと思います。
そりゃまあれが似てるこれが似てるなんて出て来ても仕方ないデザインではあります。
でもこれをパクリと言うてしまうと、新しいロゴやエンブレムのデザインなんて
出来やしません。
そもそもイマドキのデザインなんて「〜風で」って発注されているものが世の中の
ほとんどのはず。
ましてやグラフィック、しかも象徴性を求められるエンブレムなんてものは
極力構成要素を削ぎ落して純化していく作業。さっきも言いましたがある程度は
似て来て当然なのです。
どっかのデザーナーが「これをパクリと言われたらデザインなんて出来なくなる」と
発言してましたがその通りかと。
なのでこれは国の名誉を掛けて貫き通さねばならなかったわけです。
と こ ろ が
佐野ちゃんはやらかしてくれます。
サントリー相手のでっかい仕事であれはあかんでしょwwwwww
もうこれはなんでアカンとか言いません。
あり得ません。
さーこっから本格的に佐野チャンのあら探しが世界中で始まります。
その後の展開はみなさんご存知の通り。
使用例に無断使用した画像は決定的でしたな。
あれって○シーが付いてる部分をカットして使ってるそうです。
もう事務所の基本体質が大胆なんです。
いやそらね、プレゼン用の素材なんてぼくらレベルの仕事やったら「ネットで拝借」
なんてありますよ。(もちろんコピーライトついてるようなものはたとえ2〜3人の目しか
触れない様なものにでも使いませんがね)
こういうイメージの商品で、なんてのは客先からもバンバンでてくるし、
イメージを出せと言われたらぼくらでもやります。やってない人なんかいません。
まーでも世界中が目にする資料にそんなん使ったらあかんでしょ。
どこまでが良くてどこからがあかんかって言う線引きの問題で、
彼らはそれを大きく越えてしまってる。
今回の決断が苦渋の決断だったのか、はたまた単にビビっただけなのかわかりませんが、
こういう「事態」に陥ったら中止せざるを得ないと思います。
危機管理の感覚として真っ当かと。
し か し
決断した人たちは今後のことを考えてるのでしょうかね??
発端としてパクリ疑惑があったエンブレムを取り下げたのです。
「こんだけ後から後から色々出て来るようでは対応しきれん」ので取り下げた
のでしょうけれど、みんなそう見てくれますかね?
むしろそう見ない様にする連中ばっかりやないですか?
「あいつらちょっと似てるって言うたら折れよるで」と世界中に烙印を押されちゃいましたね。
こりゃ訴訟大好きな人たちの恰好のエサですな〜〜
これはちょっとした危機ですよ?
「知的財産」ていうのは物的資源の乏しい日本と言う国に於いては高い意識でもって
保護されるべき物。
そのようなものを危機的状況に結果的にさらすことになった佐野チャン、ヤバ過ぎです。
なんでこんなことになったのでしょうね?
ぼくはこう思ってます。
杜撰な教育
ぼくらの頃は完全にそうでしたから戦後の教育のなかで副教科的なものは
非常に軽視されてきたと思います。
とくに音楽と美術に対する国民の教養レベルの低さは超絶クラスです。
結果、なにが優れているのかジャッジ出来ない土壌が出来上がってしまった。
もちろん、作る側は作る側の矜持というものがあるはずなのですが、
それを評価するもの、発注する者のレベルに合せて行かないと「デザイン」なんてもの
では食って行けないわけです。(そこがアートとデザインの違いですな)
そしてそういう環境の中で仕事してると、今回の佐野チャンのように
やっていいこと、いけないことの分別がつかなくなる。
麻痺して来るのです。
あーあ とうとうここまで来ちゃったか って感じですね。
そういうぼくの中にも「麻痺」あったわけでね。。。
ぼくが佐野チャンと同じ立場だったら似た様なことをやってたかもしれない。
(サントリーのみたいなのは天地がひっくり返ってもやらないですがwwwwwww)
今後は作る側がどれだけ意識を高めていけるかってとこだけに掛かって来ますな。
受け皿の方のレベルが上がるなんてことはぼくが生きてるうちには起こらないんで。
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Posted at
2015/09/01 15:25:48
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