先週日曜日、関西舞子サンデーの後片付けも早々に離脱、午後四時開場の
玉置浩二 プレミアム・シンフォニック・コンサート 2015
in フェスティバルホール
に行って参りました。
タイトル通り、玉置浩二が１人で交響楽団をバックに歌うという企画。
シンフォニーではなくシンフォニックとしているところもミソですな〜
（シンフォニー＝交響曲と言うてしまうと音楽学的定義とかややこしい話が出てくるので〜）
そもそも去年の10月に
声魂!! 玉置浩二×２大オペラ歌手×Ｎ響トップメンバー ～ 激突の夜 ～
という企画でこのフォーマットでコンサートをやってるのですが、言わば玉置の一枚看板で
しかも全国数カ所で行うのは初の試み。
2010年復活以降、この人（玉置浩二）が生きているうちに1回でも多く見ておこうと
決めたぼくですが、正直このフォーマットは「どうなんやろ？」でした。
というのも、安全地帯と言うバンドは１人の天才ボーカルをハイレベル且つ、非常に
信頼感で結ばれた楽器が全力で支えるというもの。
ソロのコンサートでも必ず安全地帯のメンバーの誰かは参加してるし、その他のサポート
メンバーも安全地帯メンバーに劣らない技術と信頼の人たち。
でも今回は初顔合わせのオーケストラと差しで渡り合わないといけない。
オーケストラにはもちろん指揮者がいるわけで、言わば船頭が２人いるようなことに
なってしまいかねない。
常にバックの「母のような眼差し」に守られてステージに立っている彼が一体どのような
パフォーマンスをするのか。
下手するとストリングスをバックにさらりと歌う感じのコンサートにもなりかねないのですな。
今回はこの位置から。
一番端っこw
開演前ですのでオケはだれも座っていませんが、このとおりフルオーケストラです。
このあと入場して第一バイオリン（コンサートマスター）にあわせてチューニング。
本格的なクラシックコンサートと同じです。
開演後指揮者が登場し、田園のシンフォニックアレンジをオケだけで演奏。
なかなか本格的なアレンジです。
テレビでストリングスバックに歌うのとはやはり訳が違いそう。
んーーーーーーーーーーーー
これだけパワー感のある（ビルボードライブ専属のオーケストラのようですが、○○市交響楽団
なんてのより遥かに上手いしオケとしてちゃんと鳴っている）オーケストラと、これまた
パワー全開の玉置浩二のボーカルが入って果たして音楽として成立するのだろうか？？？
玉置浩二登場。
え？別人？と思う様な佇まい。
三大テノールの１人が入って来たのかと思いましたよ。
指揮者とアイコンタクトをとって演奏が始まる。
ボーカル。。
むむ？？？
これはなんやろう？？
常に奔放な彼が細心の注意を払ってオケに寄り添っている。
いや、１つの音楽になろうとしている。
以前オーディオ誌のインタビューで小沢征爾が
「われわれオーケストラは如何にして音を混ぜようかと腐心しているのに
オーディオマニアは音を分解しようとする」
というコメントを残していました。
交わる響くと書いて交響曲。よく言うたもんです。
全ての音が１つの音になってナンボなわけなんですよね、このフォーマットは。
そのことを知っているのか。。はたまた本能で嗅ぎ取ってしまうのか。。
聴き込んでいる人間なら、彼が如何にオケの音と対話しながら慎重に慎重に
一音一音を発しているのかわかったことでしょう。
オケのスコアが全て頭に入っているかの様にどんな場面でも破綻するどころか
それしかないだろうというアプローチ。
オーケストラにポピュラー音楽の歌唱という本来違和感しか産まない組み合わせ
にもかかわらずそれはもう快感以外の何物でもない。
彼の「歌」の凄さが一番分かるのはアカペラです。
自分の歌唱だけに集中し、情熱を迸らせる。
バンドでもやはり彼の「歌」ありき。
なので彼がこれだけ他の音と１つの音になろうとしている様子は見たことがないのです。
もちろんそれによってオーケストラに埋没しているわけではりません。
指揮者を含むオーケストラと一体となりながらも確実に自分のプラン通りの
パフォーマンスを行っている。
完璧な正確さを誇った90年代前半の「絶頂期」と言われる時代よりも
さらに「血の通った」コントロールがされているように感じるのです。
ピークはアンコールの「田園」でした。
バンド、ソロを通じての最大のヒット曲ではありますが、ぼくはこの曲に対して
とくに思い入れも無く、むしろ何かとこの歌ばかりを聴かされるので正直お腹いっぱい。
ですが、曲がどうのとか関係なく、純粋に音楽で得られる感動そのものが胸に響いて
涙がさらさらと両頬を伝いました。
まるで玉置浩二と言うドライバーでホールという振動板をドライブして音楽を
奏でているかのよう。
理屈を越えてましたね。
フラメンコギタリストで最近玉置浩二との競演が多い沖仁。
彼の3/11のツイッターで東京のステージの感想がありました。
「沖仁 JIN OKI @junglejinjin · 3月11日
東京フィルをバックに歌う玉置さん@東京文化会館。玉置さん、また別人になってた。
一体何処まで行ってしまうんだろう。素晴らしいステージでした！」
「一体何処まで」いやまさにそのとおり。
スポットライトに照らされた彼は最早神々しく。
人生最高の音楽体験をした訳なのですが、
その夜じっくりと考えたことがあります。
いままでぼくは「天才」の仕業というものに対して凡人はただただ有り難く享受するだけで
良いと思ってました。
本当に優れた物は遥かに届かないもので、またそれを生み出す天才も孤高であると。
でも世の中にはそれよりも優れた物がある。
それは天才が凡人に寄り添った時に出現する。
何も考えず、ただただ幸福感にまみれるだけ。
人と共鳴しあえることこそ最高の体験なのだと。
万雷の拍手の中、楽団員の何人かが涙を流していました。
おそらくぼくと同じ体験をしたのでしょう。
その日だけ共演するプロの楽団員が涙するのを見たことがありますか？
この日の出来事はそれほどのことだったのです。
こういうのが用意されてるのもクラシックコンサート風で憎い演出です。
メルセデスとコラボ？？
関西舞子サンデーでフル回転で色々刺激を受けた後にさらにこんなことをしていたのです。
非常に濃密な一日でした。
実はもう一公演チケットを押さえてるのですw
その話はまた別の機会に。
銀婚式記念北海道ツアー ♯2（小樽編） 
