2013年06月13日
ゴルフRはファクトリーチューンドのスポーツ4WD車です。そういうクルマを購入して燃費を云々するのはヤボな話ですし、無理をしてエコランをするつもりもありませんが、そりゃ誰だって燃費はいいに越したことはありませんよね。納車後4,000km余り乗ってぼちぼちクルマにも馴染んできたところなので、ちょっと燃費を知りたくなりました。まあ全く期待はしていませんけど(笑)。

ゴルフというかVW車にはメータークラスターに平均燃費を表示させる機能があります。これまで乗っていたBMW E46にも平均燃費表示の機能はあったのですが、VWの場合、エンジンを切って暫くすると平均燃費をリセットする方式になっています。途中コンビニやサービスエリアに寄って休憩したりしてもリセットされることはありませんが、目的地に着いて暫くエンジンを切っていると(2時間)リセットされるので、ある程度まとまった距離(行程)の燃費を知ることが出来るというものです。もちろんすぐリセットしたければステアリングリモコンのボタン一発でできます。
BMW E46のときは自動リセット機能はなく、手動でリセットするまで延々と平均燃費を計測し続けるというものでした。また手動でリセットするときもボタン操作を複数行う必要があったため、結局面倒になり普段は見ることもありませんでした。なのでVWの平均燃費計はなかなか便利な仕組みになっていると思いました。
さらにこの平均燃費計は二種類用意されていて、ひとつは前述の自動リセット方式、もう一つはずっと平均燃費を取り続けるという仕組みになっていて、切り替えて表示することができます。みんカラの燃費記録は満タン計測を基本としていて燃費計での結果をそのまま入力する方式ではないためこのタグは全く使っていません。
さて、このみんカラの愛車紹介で紹介している過去の愛車たちについても大雑把な燃費はおおよそ覚えています。振り返ってみましょう。
最初のスカイラインジャパン2000GTターボの時は、5速MTレギュラーガソリン仕様でおよそ7km/Lでした。このときは比較的交通量の少ない郊外のバイパス道路を片道10km通勤として毎日乗っていました。年間で約2万㌔は乗ったと思います。大都市近郊のマイカー通勤でしたので短距離とは言えない乗り方でした。当初日産は2000GTターボはターボなしの2000GTよりも燃費が良いなんて宣伝していましたけど、全く嘘でしたねこれ(苦笑)。クルマ好きの間では、ターボで圧縮するとインテーク側の温度が高くなるので、燃料のインジェクションによる気化熱で冷却するから燃料を増量するんだ(=燃費がよくないんだ)なんてむちゃくちゃな説明がまことしやかに語られていたものです。
ひとつ飛ばして3代目のBFMRファミリア4WD GTXは1.6L DOHCターボでしたが、これも5速MTレギュラーガソリン仕様でおよそ8km/Lでした。スカイラインの時と同じ使い方で、年間走行距離もだいたい同じくらいでした。高速では9km/L以上走ってはくれましたがそれでも10km/Lまで届くことはなかったと記憶しています。ですから長距離旅行に使用したときもガソリン補給は8km/Lを目安に考えていました。山岳・雪道走行も頻繁に行いましたので、長距離ドライブでは携行型の補助ガソリンタンクをトランクルームに置いていたのが懐かしい思い出です。
その後住宅の購入をしたため住む場所が変わり、小さな市へと引っ越しました。ちょうどそのころから続けて3台BMWに乗りました(期間にして20年余りにななります)。モデルはBMW E36 320i、E36 328i、そしてE46 330iです。それぞれ排気量こそ異なりますが、NA6気筒DOHC・5速ATでハイオク仕様でした。燃費的には3台どれも似たようなもので街乗り短距離(4-5km)だと5km/L台と散々な燃費でした。街の郊外で10km程度乗ると7.5km/L程度で、実はこの値が最も平均的な燃費であったと記憶しています。高速ではE46 330iの場合確実に9キロ台には乗り、時には11km/Lまで伸びることもありましたが、10キロを超える燃費はめったに記録しませんでした。この3台はいずれもATですがほとんどDレンジで運転しての話です。
では今回のゴルフ Rではどうでしょう。もちろん前述のように特にエコランをしたわけではありません。
結論としては確実にBMWよりも燃費は良好です。いや、0-100kmを5.5秒(欧州仕様車だと5.2秒)、SS1/4マイル(0-400m)を13秒50で走り切るハイパフォーマンス車としては上出来の部類に入る燃費かも知れません。
具体的には、街乗り短距離(走行4-5km程度、Dレンジ)ではやはり燃費は悪いのですがだいたい6-7km/Lあたりのようです。エンジンスタート直後100m走ると平均燃費の表示が始まりますが、その時点では2.3-3.7km/Lと驚く低さ(苦笑)。走るうちに例え多少の渋滞だろうが信号待ちがあろうがどんどん燃費計の値は上昇していきますが、燃費が上がりきらないうちに短距離区間を走りきってしまい、結局6-7km/Lまでしか伸びません。
今度は一般道をおよそ10km程度Dレンジのまま走ると、交通の流れがスムーズであればほぼ9.5km/L前後を毎回出せるようになりました。このところ平日では毎日この程度の燃費を記録します。この距離でもまだ燃費計の値は上昇途中にあると思われ、もう少し長い距離であればさらに平均燃費は良くなる可能性もあります。
行程中、信号のタイミングや交通状況が良かったときには10.5km/Lまで走ってくれました。
同じ路をその半分程度Sレンジやパドルシフトや一時マニュアルモードにして胸の空く加速を堪能しますとさすがに燃費は落ちますが、それでも8.5km/L程度は常に乗るかなと言う感じです。全てをSモードやマニュアルモードにしたことはないので、これらのモードについての燃費は計測していません。
その後、MMIに燃費表示を一切出さず赴くままの運転(一部を除き基本はDレンジ)をして、10km経過後表示させてみるとやはり9.5km/Lでしたから、最近ではこのあたりの燃費でこのクルマを走らせているんだと言うことがわかりました。ただこれはあくまで私の生活環境という条件での実測値です。新車を下ろしてからちょうど4,000㌔というところですが、明らかに燃費的には向上している感じです。
今度は高速道路での燃費ですが、Dレンジのままクルーズコントロールを使い100km/hプラスα程度の速度で走っていれば、現在のところ13km/Lオーバーを記録しています。速度域は変わりませんが、クルーズコントロールは解除して時折追い抜きをするなどでパワーバンドに乗せて走ったときでも10-11km/L程度の燃費は出せるようです。高速道路の走行距離はおよそ50-70km程度でのことです。
現在平均燃費計2(総平均燃費)の方は前回のリセット後およそ2000km程度の走行になっており、その平均燃費は8.5km/Lと少し低めな表示が出ています。これは私の乗り方として短距離の方が多く、ときどき加速感を味わっちゃったりしていることを示しているのだと思います。まあ、楽しまなきゃ何のためにこのクルマを買ったのか、意味がありませんから!
いずれにしても、私のいままでのクルマ歴と燃費の記憶から考えれば、所有歴の中で最もハイパフォーマンスなクルマが最も平均燃費が良いという結果が出たわけで、これはたいへんよろしい(笑)。今どきのクルマで燃費ヒトケタは論外でしょ、と言われそうですが、これだけの動力性能とシャシーを持ったクルマがここまで燃費を出せると言うことは結構すごいことなんです。そう言えばガソリン給油時にいれる量も以前(BMW)より少ない気がします。やはりこのクラスでもダウンサイジングの効果はきっちり出せているというべきなのでしょう。
先日試しに我が家のクロスポロくんでメーター平均燃費を測って見ました。クロスポロ(6R)は現行のモデルで、オーソドックスな1.2L TSIエンジンです。測った区間が異なるので条件は違いますが、我が家の駐車場から走り始めて平均燃費計に表示が出始めた段階(100m走行)でいきなり7km/Lを超えてます。ゴルフRじゃ全く歯が立ちません(苦笑)。 さらに走るうちにぐんぐん燃費が上がり、およそ10km程度走った頃には燃費は13.5km/Lに達しました。もっと続けて走ればより一層燃費は上がりそうでした。なんてこった、1.2TSIってやっぱり燃費はすごいんだな~と今更ながら感心しきり。もちろんこれはエコランではなく普通にDレンジと一部Sレンジとの組み合わせです。ちゃんとターボを効かせた加速もしてこれです。最近の原動機の技術進化をつくづく感じました。
ところで、ゴルフの取扱説明書にはきちんと燃費(燃料消費量)について記述されています。それも日本以外の仕様車やエンジン仕様、ミッションの仕様を含め一覧表になっています。この表では欧州の規格による燃費計算がなされたもので、市街地、郊外、複合の3種類が掲示されています。
ゴルフR(ABA-CDLF DSG仕様)の場合、市街地燃費は11.2L/100km = 8.93km/L、郊外燃費は6.8L/100km = 14.7km/L、複合では8.4L/100km = 11.9km/Lと記載されています。
これらの運転モード(規定:EU715/2007、EEC80/1268)についての定義は細かくあるのでしょうが、要は市街地の場合エンジンをスタートさせ発進して0-50km/hでの走行。郊外はすべてのギアを使いながら0-120km/hでの走行、複合は市街地モード37%、郊外モード64%の計算だと書かれています。これら欧州地域での公称燃費データは、日本国内の10/15モードに比べてより一層実際の運転に近い値が出ると言われています。日本国内での走行を考えると、市街地・郊外ともに車速が高すぎるような気がしますが、私の居住地あたりを考えた場合、EU規格である市街地データをこちらの"市街地/郊外複合"、郊外地データはこちらの高速道路、複合データは一般道+高速道路の複合であるというふうに置き換えて見てみると、ほとんど実測値も公称値に近いデータとして得られることがわかり興味深いです。
もちろんこの公称値も(恐らくは)決してアクセルをベタ踏みしていることはないと思うので、Dレンジのシフトで燃費優先のデータ取りをしているとは思います(笑)。ですからまあゴルフRとしての燃費はこのあたりかなと納得しました。
でもVWってちゃんとしてますね。覚えてないけどBMW E46のときには取扱説明書に書いてなかったような気もしますけど、あのときはまともに読んでなかったからな~取説(苦笑)。欧州では公称値を取説にきちんと載せるように指導しているのでしょうか。なぜならそこには燃費だけでなくCO2排出量とかも掲載されていますから。
納車後既に4,000㌔走ったゴルフRですが、その距離を乗り換える前のBMW E46 330iで走ったと比べて考えると、最近の燃費をベースにすれば燃費の差はリッター2kmもあるので、ゴルフRに乗り換えたことでガソリン消費量はこれまでで112㍑程度少なくて済んだという計算になります。ガソリン代に換算すると150円/Lとして納車後3ヶ月間で16,800円もおトクだったということです。年に直せばなんと67,200円にもなるんですね! それでいてE46 330iよりも明らかに性能は高いですし安全性も高いです(設計が新しいんだから当然ですが)。繰り返しますが現行車種の中でもゴルフRは比較的高性能車に属していると思います。いままで意識していなかったのですが、このバランスって結構凄いことなのかも知れません。
あまり燃費のことばかり気にしてると折角の性能をスポイルしたような使い方になりそうなので、この話はこのあたりで終わりにしようと思います。
Posted at 2013/06/13 16:03:35 | |
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VWゴルフR | クルマ
2013年06月06日
コンピュータの世界でサイバーテロや犯罪の恐怖に晒される事件が頻繁にニュースを賑わせています。様々なサービス運営企業のサーバーがハッキングされ、大量のID、クレジットカード情報やパスワードが盗まれて悪用されるだけでなく、国家機密などの重要情報が盗まれたり、末端では個人のパソコンに保存してある情報が、スパイウェアやアドウェアによって個人の意志に関わらず勝手に抜き取られてしまったりしています。これらのサイバー犯罪とその対策は互いに進化を繰り返しており止まることを知りません。
これと自動車の話では何が関係するの?
今日時点ではまだあまり心配するような事にはなっていないと思いますが、これだけコンピュータ制御が進化を続ける車両技術にとって実は近いうちに大いに関係することになると思います。
すでに現代の最新技術では、クルマの制御はもはや電子制御技術に頼らないと生きていけないとすら思えるほど高度な進化を遂げています。車両に搭載されているマイクロコンピュータの数も少なくとも数十個にのぼり、それらの多くは互いにCAN(Controller Area Network)と呼ばれる車両内のLANで結ばれています。車両の中には複数のCANバスが敷設され、制御する箇所の状況や変化を情報として流し、代わりにコマンドを受け取ってしかるべき制御を互いに連携しながら行っています。
今やドライバーがアクセルを踏み込んだり緩めたり、シフトレバーを操作したりする操作は機械的にクルマを操作するのではなく、情報としてコントローラが受け取りエンジンやトランスミッションを制御するようになっています。ハイブリッド車や電気自動車ともなると、クルマの基本要素である走る・曲がる・止まるといったことさえすべてがコンピュータで制御されているのです。CAN-BUSによる連携プレイによってドライバーの意志(操作)とクルマの置かれている具体的な状況とを組み合わせて、かつてないほどドライバーの欲しているクルマの挙動へと結びつけることが出来るようになってきているのです。さらにそうした操作・挙動を学習・記憶することによって、そのクルマは徐々にオーナーの特性を盛り込んだクルマへと変化していくようになっています。
さらに半導体メモリの進化による大きな記憶容量によって、運転中に起きた様々な問題、動作不具合の記録とか異常なデータなどを逐一記録しておくことで、クルマの整備に関しても飛躍的に向上しています。そしてそれはディーラーの整備用コンピュータからメーカーに吸い上げられ、問題箇所の集計であるとか解決への糸口を探したり、むろんクルマの開発部門へのフィードバックとして生かされつつあります。
現在自動車産業や電子通信業界ではテレマティックス(Telematics)という用途技術に対して期待が高まっています。テレマティックスとは自動車の電子情報機器を携帯電話回線などを経由してブロードバンド接続させることで、より一層のリアルタイム情報処理を目指そうというものです。クルマは動的なものですから、いつ・どこで・何が起きるか分かりません。高度化したクルマの制御機器は開発者の知らないところで予期しない不具合(バグ)が出て乗員を危険な目に遭わせるかも知れないのです。少しでもそういう可能性・リスクを低減させるためには、クルマが整備入庫したときにだけデータを吸い上げるのでは間に合わないかも知れません。メーカーにとってみれば、ダイナミックにデータを取得し続けることはこれからのクルマの安全管理上欠かせないものになるかもしれないのです。さらに販売納車された膨大な台数のクルマがどのような走り方をしているのかという、ビッグデータを取得することでその時代に即した新しいクルマの開発にも役立つでしょう。その一方でクルマの所有者にとっても、出先でクルマが故障して途方に暮れるという可能性が少しでも減ることは有り難いことですし、さらには最新のランドマークとカーナビを結びつけることで、より便利な周辺ガイドや渋滞情報、天気予報などさまざまな便利情報をリアルタイムに入手できるためものすごく便利になることは想像に難くありません。先般猛吹雪での閉じ込めにより痛ましい事件があったことを思い出しますが、テレマティックスによりこうした危機的状況に際しても的確に救助やサービスを受けることが出来るのも大きなメリットと言えます。
ここまではいい話ですが、これから少し怖い話になっていきます。
このテレマティックスを最大限活用するためには、クルマの情報を必要に応じて細かくサービス提供者に対して送信しなければなりません。それはつまりCAN-BUSとブロードバンドが互いに接続されていることが必要になってきます。サービス提供者とは一般の民間サービス(天気予報など)もあるでしょうし、クルマメーカーやディーラーサービスなどもあるでしょう。さらに将来は公的なサービスともつながる可能性が大きいですし、果ては救急救命や救難救助、地域の病院ネットワークなどともサービス提供を行っていくのかも知れません。
しかし、極端に言えばテレマティックスによるブロードバンド接続されたノードをハッカーが見つけたとすると、そこに設置してあるはずのファイアーウォールさえ突破できればハッカーは容易にリモートで特定の(しかも現在走行中の)クルマのCAN-BUSに入り込むことが出来ることになります。CAN-BUSに一度入り込んでしまったら、基幹部分を乗っ取ってしまうことすらできるかもしれません。
一例ですが、昨今ECUやATチューンなどが盛んになりつつあります。コーディングと呼ばれる機能設定用の記憶領域のデータ変更や、エラーログのリセットなども行われるようになりました。メーカー側ではデータの暗号化処理などプロテクトに取り組みだしてはいますが、それもどんどん破られているのが実情です。パソコンと異なり固有のパスワードで保護することの出来ないクルマのコンピュータやLANは、一度市販されれば破られるのは時間の問題でしょう。なぜかと言えば世の中に使われているあらゆるコンピュータは、エミュレータという開発用の装置を接続するだけで、その道の専門家であれば容易に内部のソフトの解析が出来てしまうからです。それはいくらソフト(プログラム)を暗号化しても分かってしまいます。市販車のコンピュータをエミュレータに接続すればいいだけなのですから。
もし悪意あるサイバーテロやハッキングからテレマティックスの仕組みを悪用してクルマに入り込んできたとしたら、実際にどんなことが起きるのでしょう?考えたくもありませんが、すこし大げさに想定しておきましょう。もっとも軽いパターンで、クルマの軌跡や走行している現在地情報、行き先などを盗まれたり、ナビに登録した地点や検索履歴、ハンズフリーの電話帳などを盗まれたり、いわゆるプライバシーが侵害されます。最悪のパターンですとCAN-BUS情報を操作されることで、いきなりメーターがでたらめの表示を始めるとか、センサー情報を攪乱されることでエンジンがオーバーヒートする、空燃比がでたらめになってエンジンの調子が悪くなるなど故障を引き起こされたり、踏んでもいないアクセルを操作されて急発進・急加速したりクルーズコントロールの設定を変えられてしまうなどドライバーの意志や操作を遮って勝手にクルマが暴走を始めることすらもあるかもしれません。コンピュータをハックされると言うことは、ドライバーやパッセンジャーの命を脅かすことすらも可能なのです。
しかもたとえリアルタイムにハックされなかったにしても、時限爆弾型のウィルスを仕込まれて、特定の車種が特定の日時に一斉に暴走を始めるというような深刻なサイバーテロすら考えられます。恐ろしいことですが、テレマティックスによるIP接続さえ出来ていれば、技術的には可能なことです。クルマ発売後すぐには脅威は少ないでしょうが時間が経てばハッカー達はクルマの制御システムを解析し、そのクルマのセキュリティ・ホールを見つけ出します。常にメーカー系列のディーラーサービスで整備を受けていればクルマのコンピュータをバージョンアップできますが、一般の民間整備工場で整備されたクルマはバージョンアップなどできないでしょう。そうした古いソフトのままのクルマがずっと長い間ハッキングの危険にさらされながら市中を走り続けることになるのです。サイバーテロを仕掛ける悪意ある人々にとっては、特定の車種で100%不具合を起こさせる必要はなく、例えば日本中の各地でとか世界中の各地で特定のクルマが何台も一斉に不具合を起こしたというだけでも、大パニックを起こすことに間違いないでしょう。
またテレマティックス機能を持っていないクルマであっても、第三者の手で悪意のあるECU/ATチューニングが行われた場合、似たようなことがオフラインでもできてしまうのです。悪意あるプログラムは実行後跡形もなく証拠を消してしまうようにも作れますので、タチが悪いです。とくにクルマの基幹コンピュータは、たとえ全損事故などで車体が原形をとどめていないような状況でも唯一生き残るように設計されていますので、最も悪意の標的になる可能性が高いと言えます。
もちろんクルマのメーカー各社だけでなく政府機関もこうした可能性に気付いてはいるようです。テレマティックスや車載コンピュータに対するセキュリティー、被害を最小限(表面のみ)にとどめるためのファイアーウォールなどについても研究が進められています。しかし現時点でこれだけ簡単にROMチューンができてしまっている現状と、CA-BUSへの容易なアクセス方法が分かってしまっている中では、それらを扱うことのできる人々の『良心』だけによって支えられているといっても過言でないかも知れないわけです。そして怖いのは、現時点でコンピュータのセキュリティーが不十分かもしれないクルマが殆どを占めるなかで、その多くはこの先まだ10年近くもどこかを走り続けることになるということなのです。
LTEなど携帯電話回線のブロードバンド化がもの凄い勢いで進んでします。テレマティックスに対する通信業界の期待度も高く、特別なコストで安価にサブスクリプションを提供する動きにあり、普及が進むことは間違いのないところです。整備やオーナーの利便性を損なうことなく、このようなサイバーテロの脅威に対していかに車両を安全に守っていくのか、たいへんに重要な課題と言えるでしょう。
Posted at 2013/06/06 17:46:02 | |
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