2012年04月23日
PCを漁っていたら懐かしいものが出てきました。
数値は17年前のもの。
そういえば、この関連で17年で大きく変わったのは
・エンジンのバルブのリフト量とタイミングが可変になって、部分負荷効率が良くなった
・リチウムイオン電池ができた
・CVTトランスミッションができた
・火力発電の効率も5-10%位上がったとみていいのかな。。。。
てぐらい。
でも出てくるキーワードってあんまり今と変わってないなって思ってしまいました。
そういえば、電気自動車にガソリン税とか揮発油税とかの類がかからないのは税の目的が道路保全なんだからおかしいんだよなぁ。
税金とれないからって韓国のアルコール系燃料には文句言ってたくせに。
これもここ20年の話かな。
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1.1 序
近年、地球温暖化、大気汚染などの元凶として自動車が注目されるようになってきた。自動車がもたらす自然環境へのリスクは様々な面で大きなものがあるが、一方、鉄道のように莫大な設備投資を用いずとも既存の設備を用いて輸送を迅速に行うことができ、また、その自由な行動範囲をもつ自動車というものを今後使用せずに生活していくことは、現在では不可能であり、人間が自然と共存をはかっていくためには自動車の低公害化は避けて通れない道である。また、現在の自動車の熱効率は20%に満たないものであり、自動車という一つの熱エネルギー変換装置の高効率化が重要な課題となっている。
1.2 自動車の効率
ここで、なぜ自動車の熱効率が悪いのか、ということを考えるとその使い方に非常にムラがあるということがいえる。自動車の性質上、高速時の加速などで100馬力必要なときがあるにもかかわらず市街地においては時間平均で10馬力程度しか必要としない。また、高速定速走行時は高速道路上において乗用車で20馬力程度の出力で十分である。しかし、実際に100馬力必要なときもあるので、エンジンの最大出力は100馬力なければならず、平均出力とピーク出力に大きな差があるのが自動車である。
以上より、熱エネルギー変換装置である様々なエンジンは100馬力が出せるように設計されなければならないが、現在のエンジンは飛躍的な技術発展でもない限り100馬力の時の熱効率と10馬力の時の熱効率を同等にできず、また、最大出力より格段に小さい出力を得ようとした場合、どのようなエンジンでもその熱効率は悪くなる。
1.3 電気自動車
現在存在するエネルギーを仕事に変換する装置には、エネルギーの状態がどの種類かでそのエネルギーの変換効率に大きな差がある。よく使われている燃焼による熱エネルギーと酔うような方法で作り出された電気エネルギーについては、熱エネルギーは効率がいいエネルギー変換装置でも熱エネルギーの半分程度しか仕事に用いることができない。一方、電気エネルギーは、その9割以上を仕事に変換することが可能である。また、電気エネルギーは熱エネルギーと異なり、様々な手段で安易にエネルギーを保管する事が可能である。
ただ、電気エネルギーを得るためには物質からじかに電気エネルギーを得る燃料電池のようなものを使わない以上、現段階では仕事を電気エネルギーに変換しない限り得ることのできないエネルギー源である。なお、仕事はその9割程度を電気エネルギーに変換することが可能である。
以上より、自動車単体の熱効率の向上を考えれば、電気自動車にすれば飛躍的なエネルギー効率の向上が望める。しかし、自動車単体のエネルギー変換だけを考えた場合であり、そのエネルギーをつくりだし、自動車内に保管し、取り出すということを考えねばならない。また、エネルギーの保管にしても、化学バッテリーなどを用いると現在の2000ccクラスの乗用車に相当するものでバッテリーの総重量が500kgを超えてしまう。
電気自動車に蓄えるべきエネルギーをつくりだすことから考えて、電気自動車というシステムで考えた場合、発電所の熱効率、送電ロス、蓄電池の電力効率などを含めて考え、ガソリン、ディーゼル自動車と比較してみると、以下のようになる。
電気自動車の効率
発電所の効率:40%
送電変圧による損失:5%
充放電効率:80%
電動機の効率:最大98%
以上より電動機の総合効率:最大30%
ガソリン・ディーゼル自動車の効率
ガソリン発熱量:7840kcal/L (at 760mmHg,288.15K)
ガソリン密度:0.74kg/L (at 760mmHg,288.15K)
エンジン性能:210g/PS・h (最良点)
以上よりガソリンエンジンの効率:最大28%
軽油発熱量:8580kcal/L (at 760mmHg,288.15K)
軽油密度:0.825kg/L (at 760mmHg,288.15K)
エンジン性能:160g/PS・h (最良点)
以上よりディーゼルエンジンの効率:最大38%
なお、これに機械損失などが加わって自動車は動いたときの効率が得られるが、最大効率でみる限り電動機に効率の利点がないことがわかる。ただ、部分負荷などを考慮すると多少電動機の方が有利であり、さらに、電動機はそれ自体が発電機となりうるので、減速時にエネルギー回収ができる。現在、蓄電装置に各種の問題があるが、蓄電装置の損失が減っても、ディーゼルエンジンをうわまる効率を得ることは不可能であろう。さらに、地球温暖化の原因とされている二酸化炭素の発生量についても、熱効率に大きな差がない以上、火力発電を用いるのであれば変わらないと言うことになる。ディーゼルと比べるのであれば、逆に地球環境に悪いということがいえる。ただし、窒素酸化物に関してはこの限りではない。
ここで、総合的な熱効率が同じであると考えた場合、電気自動車の利点は、
・電気エネルギーを得る場所が固定されているので汚染物質の処理がしやすい。
・発電には火力、水力、原子力、風力、太陽熱など、多様なエネルギー源を使用できる。
・駆動がモーターによるので車内外が非常に静かである。
・電動機が定出力特性をもつので、自動車の使用状況に適合している。
という点がある。過去において夢とされていた原子力自動車、現在開発が進められているソーラーカーなどが、発電所を経由することでシステム上においては安易に成立させることができる。
欠点として
・自動車が静かになるので逆に住宅地などでの飛び出し事故が増える可能性がある。現在のように多少うるさい方が視覚に頼らず自動車の存在が確認できるので安全性は高い。
・バッテリーの性能が2~3年で落ちてしまい、その都度大量のバッテリーを交換しなければならないという状態が発生するため、ユーザーが、かなりの出費を余儀なくされる。
これは、消費者にかなりの負担を与え、電気自動車の普及の足かせになる。そこのところをメーカーなり行政なりがカバーしていかない限り、現在の消費者個々の意識に大きな変化がない限り、電気自動車を選択する消費者は少ない。
・バッテリーの成分は化学的に不安定なものであり、廃棄される大量のバッテリーをきちんと管理しないと別のところで新たな公害源となる。これはまた上で述べたように2~3年ごとにバッテリー交換をすることから、電気自動車が普及すればするほど大きな問題となってくる事は自明である。現在はその数量が少ないので廃棄リサイクルが成立しているが、現状でもそのためにメーカーが負担している費用は莫大なものであり、消費量が車両1台あたり100倍以上になることを考えると、バッテリーの廃棄、リサイクルは重要な問題となる。
・自動車事故に際してバッテリーの量が現在より大幅に多くなることから、バッテリー破損の確率は高くなり、バッテリー内容物による乗員及び環境に対する被害が大きい。破損しないようにしようとすればバッテリーの重量は重くなる。
・電気自動車が大量に普及するためには現在のガソリンスタンド並の数の充電設備が必要になり、新たな発電所や送電設備が必要となる。
このことに対しては、深夜電力や、電力消費のピークをはずせば新規の設備投資をする必要はないということもいわれている。しかし、電気自動車への充電がサービス業としておこなわれる、または、家庭の電源からおこなわれる以上、電気自動車ユーザーが充電したいときに充電するという条件で考えるのが妥当であり、また、深夜や電力ピークをはずした時間帯に自動車を運転しなければならないこともあり、それら自動車は充電する時間がないという状態が生じる。また、高速道路上や渋滞路上でガス欠で止まるようなユーザーが多いことからわかるように、ユーザーの燃料の残量に対する管理意識はそれほど高くなく、普段我々がガソリンスタンドでガソリンを入れる感覚で充電できなければ電気自動車の普及は望めない。つまり、充電時間を深夜などに限定することは、電気自動車の普及を考えるなら正反対の思考であり、充電時間を制限しないのであればそれなりの設備投資が必要であるということである。
そこで最近、バッテリーの量を減らして、その分小型の発電機を積んだハイブリット車が注目を集めつつあるが、これでも、大量のバッテリーを積んでいる。これは中・大型乗用車(普通車)では市街地走行などで瞬間的に30~50kWの出力が必要になるのでバッテリーのパワー密度から次のような計算によって必要重量が決まってしまうためである。
鉛バッテリー
パワー密度:120W/kg
質量:250kg~416kg
もしくは、もっとパワー密度の大きな
ニッケル・カドミウムバッテリー
パワー密度:170W/kg
質量:176kg~294kg
が必要である。なお、このときのエネルギー容量は
鉛バッテリー:8.75kWh~14.6kWh
ニッケル・カドミウムバッテリー:8.8kWh~14.7kWh
となる。この最低限度での容量で1015モードでみると10kWhで50~75km程度走ることができる。よって、発電機を積んだところで、その発電機が常に動いているわけではないので力に見合った電力を供給するために、普通車でも200kg程度のバッテリーは必要であるということになる。
Posted at 2012/04/23 00:18:52 | |
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