『思い出のマーニー』

何故だろう？
この原作、読んだ記憶がないのに、知ってた。
ソフトSF（SMじゃないよ）や幻想文学モノに嵌ってた中学～高校の頃にこの原作に感動した記憶が鮮明に蘇りました。

映画化にあたり、北の大地・北海道に舞台を移したのは成功しています。
凛とした空気感が伝わるのは制作スタジオのクオリティの高さ故でしょう。
原作の質に助けられた感がありますが、とても楽しめる作品です。
蛇足の様なシーンをそぎ落とせば、もっと完成度が上がったのに勿体ない。
たとえば、
ラストのいちばん重要なシーン
義母が養女であるヒロインを育てる為の給付金を受けとっている事を告白する場面などは、義母に全てを語らせずにヒロインに遮らさせ
「いいの。すべて知ってる。いままでありがとう、おかあさん」
と言わせるだけで、余韻と言葉の重みが更に増したものを。

あまり「ジブリブランド」という区分けをしたくはないのだけど、この作品は近年のジブリ作品が封印してきたカタルシスを復活した事に意義があると思います。

いま、時代はカタルシスを求めていると感じてます。
某氏から「３．１１以降ファンタジーを作る事が難しい時代になった」的な発言がありましたが、そんな事はないと思います。
逆に時代はファンタジーを求めていると思います。それが現実逃避ととらえられても、作為的だととらえられてたとしても。
いっときでも疲れたココロの浄化が必要な時代になっていると、『アナ雪』が体現していと思います。

この作品はココロの解放というカタルシスをクライマックスにもってきた良作でした。
（原作に大いに助けられてますが）