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2020年11月08日 イイね!

ファーストクライマーは誰だ⁉『剱岳‐線の記‐』

ファーストクライマーは誰だ⁉『剱岳‐線の記‐』めちゃくちゃ面白い著書に出会いました。
髙橋大輔 著
『剱岳 線の記 平安時代の初登頂ミステリーに挑む』

書店の山岳地図コーナーで気になる山域の地図を立ち読み(立ち広げ?)していた時に、同じ棚に登山記やハウツー本と一緒に並んでいた本書。
帯紙のコピー文に惹かれて衝動買い。
読み始めたら面白くて止まらずにあっという間に読み終えました。

日本山岳史最大のミステリーに挑んだ本書は、著者が本文で
『山岳小説の傑作〈剱岳‐点の記‐〉が在ったからこそこのミステリーに挑戦できた。云わば本書は〈剱岳‐点の記‐〉のスピンオフ作品である』
と非公認のスピンオフ宣言をしています。

この本を楽しむには、まず〈剱岳‐点の記‐〉を知らなければなりません。
日本山岳小説の最高峰
新田次郎 作  剱岳‐点の記‐



日露戦争直後の1907年(明治40)年、最後に残った日本地図の空白地。前人未到で、また決して登ってはいけない禁足地として恐れられていた北アルプスの剱岳(標高2999m)の登頂に挑んだ測量官の物語。
日本陸軍参謀本部陸地測量部(現・国土地理院)の柴崎芳太郎率いる測量隊が、設立間もない日本山岳会との初登頂争いをしながら命がけの剱岳初登頂に臨む。
そして苦難の末 1907年(明治40年)7月13日未明
遂に柴崎隊は 剱岳の絶頂に立つ。
初登頂を成し遂げたのだ。
ところが、彼らはそこで信じがたいものを発見した。
山頂で彼らは、古代の仏具を発見したのだ。
置かれていたのは、錫杖頭と鉄剣だった。
柴崎隊よりはるか昔、千年も前に既に剱岳の山頂にたどり着いていた者がいた…

〈剱岳‐点の記‐〉の中での日本山岳会との初登頂争いは史実ではなく新田次郎の創作であるらしいですが、ホントの登頂争いは既に千年も前に決していた、と云う事実のオチが深い余韻を残す傑作山岳小説です。

ルートが整備され足場も設置された現在でも険峻として知られる剱岳。
千年前の平安時代に、登山装備もほぼ無いに等しい条件で、誰がどの様に剱岳の絶頂に立ったのか?
『剱岳のファーストクライマーは誰なのか?』
柴崎隊が山頂で錫杖頭と鉄剣を発見した時から、日本山岳史最大のミステリーが始まりました。


本書は、このミステリーに正面から挑んだノンフィクションです。
この謎解きが明瞭でテンポ良くグイグイ引き込まれます。
著者の事を全く知りませんでしたが、有名な探検家です。
この時代に〈探検家〉なんで肩書、えらく胡散臭い匂いを感じますが、正真正銘の探検家でした。
『米国のナショナルジオグラフィック協会から支援を受け、ロビンソン漂流記のモデルとなったアレクサンダー・セルカークの住居跡を世界で初めて発見した』
その探検隊のリーダーを務めていたのが本書の著者。

ホンモノの探検家の探検手法が、とてもシンプル。
5W1Hを設定し、其処に仮説を当てはめストーリーを仮設定(点と点を結んで線化)
そして実証。
剱岳の地元・富山県内各所に残る各ジャンル毎の古い文献や、在野の郷土研究家への聴き取りを丹念に行い、仮説を立てては修正して核心へ迫っていきます。
5W1H
・いつ
・誰が
・どこから、どのように
・どこに(山頂の錫杖頭発見ポイントが現在不明となっている)
・何の目的で

そして浮かび上がってきた岩峅寺・芦峅寺を中心とした立山修験とは別系統の、
富山県上市町を中心とする剱岳修験。
剱岳を〈地獄〉と捉える立山修験とは真逆で、剱岳を〈豊穣の霊山〉と捉える上市町エリア。
そこが現在も登山口となっている《剱岳・早月尾根ルート》
しかし、この尾根はいま現在さえ『飲料水確保』が大変なルート。
そして古地図から浮かび上がる古の登攀ポイント『ハゲマンザイ』
ギャグのような登攀ポイントから更に古の氏族『万歳氏』が浮かび上がる。
平安後期に、後の武士の元となる、貴族・高僧たちの有事の担い手だった万歳氏。
山頂で錫杖頭が発見される事例は、剱岳以外の山でも有ったと云う。
仏具である錫杖頭を山頂に奉納する事は、即ち仏教(密教)での開山であることは間違いない。
しかし、山頂から〈鉄剣〉が発見されたのは剱岳のみと云う事実。
鉄剣は何を意味するのか?
日本で剣から発想する事は、平安後期に生まれた武士階級。


点と点が結ばれ線となり、そこからストーリーが浮かび上がってくるワクワク感が本書最大の醍醐味。
そして、実証。
古地図の登攀ポイント・ハゲマンザイから剱岳に登頂できるか?
登山のプロではない探検家が登攀に挑みます。


実在する本物の探検家という職種は、ほとんど民俗学者と同義なんですね。
丹念な調査と実証(フィールドワーク)
著者が最終的に提示した5W1Hの、〈いつ・だれが〉は今後の追研究などを待つ必要があるかもしれませんが、〈どこから・どのように〉は、著者が探し当て実証した古登山道で確定していいのでは?

本書は、説得力あって読み易い山岳ノンフィクションです。
興味があればぜひ
『剱岳‐点の記』から読み、点を線に繋いでください。
Posted at 2020/11/08 23:18:34 | コメント(0) | トラックバック(0) | これは! | 趣味

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何シテル?   11/01 14:21
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