昨年はEpisode7、今年はROGUE ONEと、同じように年末にSW作品を観て一年の映画鑑賞の〆となりました。
個人的恒例の鑑賞のまとめを。
16年の劇場鑑賞作品は合計18本。
前後篇タイトルが2作品あったので正味16本となりました。
近年で一番少ない劇場鑑賞となります。
しかし、劇場へ足を運んだ回数は毎年の鑑賞回数と変わりません。
今年は複数の作品を何度も劇場へ観に行きました。
その結果、新作劇場鑑賞数が激減した訳です。
誰もが言ってるように、今年は映画の当たり年。
特に日本映画は大豊作。
更にはアニメーション映画という分け方をすれば、今年は1984年のアニメーション映画のカンブリア爆発期に匹敵するエポックメイキングな年でした。
てな訳で、記憶に残った作品を順位不動でつらつらと挙げてみませう。
『ちはやふる』上の句・下の句
映画当たり年の前半を代表する青春スポーツ物の傑作。
エンターテイメント性や映画ならではの演出や手法などのバランスでは、今年いちばんまとまってる作品ではないかな。
『アイアムアヒーロー』
個人的にすきだなぁ、コレ。
こういうストーリー展開も可なんだと日本の映画製作会社の多くが気づいてくれれば、世界マーケットに出せる作品が増えてくると思います。
秘めた可能性なら今年一番の作品かも。
『怒り』
まさに役者の演技で魅せる日本映画の王道路線を継承する一本。
宮崎あおいと妻夫木聡の演技は抜きん出てました。
とくに宮崎あおいの演技は白眉。
『ローグ・ワン』
昨日観てきたばかりなので、細かいことを話すとネタバレしてしまうので多くを話せませんが、深読みすると、現代アメリカの抱える病理に踏み込んでいるように見えます、SW映画で。。
この物語の前までは、反乱軍は(帝国に対しての)反乱分子、いわばゲリラだったのね。
この物語の後から反乱分子たちは反乱軍としての自覚と使命に目覚めたわけだ。
スパイ・暗殺・破壊工作などの汚れ仕事を遂行してきた名もなきローグたちの、志しある行動によって。
『君の名は。』
この作品だけ、映画と云うかパッケージングの評価になってしまう。
とても良くできています。 『ヒットするための手立て』をすべて行ってます。
この作品を一言で言い表すと『パッチワークの大作みたいな作品』
あえて元ネタが判るように配しておきながら全体像は完全にひとつの作品として出来上がってる。
年齢の高い観客には、ノスタルジーな感動。
若い世代には、新しいアーキタイプが生れた感動。
全方向に抜け目なく配慮した作りです。
個人的にこの作品の幹となっているのは、岩井俊二監督作品『Love Letter』だろうな、と感じます。
オリジナル的な要素も各所にあり、特に神社の奥の院の描写は、クレーターの中と云うだけでなく、
尾瀬ヶ原の立ち入り禁止地帯の最奥に在るという岩塔ヶ原をインスピレーションさせてくれます。
この監督には、パッケージングに拘らない次作を期待します。
『シン・ゴジラ』
作品別の感想ブログにも書きましたが、昭和29年公開の初代ゴジラがビキニ環礁沖水爆実験の恐怖と日本全土に降り注いだ空襲の追体験を意識して作られ、今回はフクイチ原発災害と東日本大震災を意識して作られたのは間違いない事実。
大災害を前にして強いリーダーシップの登場、の希望と願望を具現化してくれました。
でも、初代ゴジラと違い根本的な部分で問題があると、自分は思います。
戦争体験は当時の日本人のすべてに共通する事ですが、大震災は地域によつて温度差があるのではないでしょうか。
遠く離れた地域では、正直、TVの中の出来事。
かたや、トラウマとなって触れて欲しくない地域。
この温度差が、この作品の問題点のように思ってます。
『この世界の片隅に』
大豊作の16年映画の真打。
間違いなく映画史に名を刻む大傑作。
二年続けて映画史クラスの作品が登場した事にただただ感涙。
感想を述べる事自体が非常に難しい作品なので、追加の感想はやめときます。
ただ、初見時に「感動した」と記してますが、間違った表現でした。
あまりにも激しくココロの奥に衝撃を受けたので、カラダが自浄反応を起こした結果、感情失禁のように涙が溢れ出しました。
呆然自失のような状態でやっと席から立ち上がり、ふらふら駐車場へ戻り、車の座席に座りドアを閉め、とりあえずの安全な自分だけの空間に身を置いたら、涙が噴出してしまった。
これが真相。
映画初見時は原作未読でしたが、3回鑑賞してから原作読みました。
クラウドファンディングに参加した方は、それを一生の自慢にできるでしょう。
正直、羨ましい。
でもこの映画は原作未読で観た方が良い。 映画観てから原作読むのが最良の観方です。
映画鑑賞してから原作読むと、更に映画がどれだけ凄いかよく解ります。
原作に忠実と云われているようですが、全然全然、見た目は忠実ですが削除したセリフ、追加したセリフ、改変したセリフ等々、片渕須直監督作品と呼ぶのがふさわしいほど監督のメッセージ性が強まっている事が判りました。
個人的に、すずさんに惚れてしまいました(^^;
見た目おっとりのほほ~んキャラですが、内面は結構複雑でドライ。でもけっしてその内面を表わすことをしない強さを持っている女性。
そんな彼女が劇中唯一、誰にも影響されずに自分の言葉でココロを現したシーンがあります。
それが↑に貼った画像。
この画のなかだけでも多くの情報があります。
寒椿、花嫁衣裳、すずさんの台詞、背景の海・・・
とにかく作品の中に詰まってる情報量がすごい。
初見の感想ブログに、自分の言葉が見つからないまま『映画文学の最高到達点』と記しましたが、
わりかし的を得ているように思います。
文学作品のように、いろいろな角度から観ることができ、色々と解釈できる幅を持った懐の広い物語です。
さて、来年はどんな映画に出会えるだろうか、楽しみ楽しみ♪