
多数の死者を出したカスリーン台風による
利根川決壊洪水を機に、100年に一度の
大水害治水と、首都圏最後の水ガメとして
利水のための一大事業としてスタートした
八ッ場(やんば)ダム計画から57年目の年。
ダム建設の是非をめぐり 関東自治体のみ
ならず、長い反対闘争の末、国との約束と
して受け入れを決めた地元の苦悩が報道
されているのを見て、私なりに雑感を (汗)
八ッ場ダム:地元怒りの声 国交相中止明言で(毎日新聞)
八ッ場ダム:国交相が視察 「建設中止は白紙に戻さず」(毎日新聞)
鳩山新政権の下、専権の前原国土交通大臣と地元との軋轢が深まっている。 今まで国の
直轄公共事業というと、 地元民による 「 建設絶対反対 」 といった光景が当たり前だった。
しかし、八ッ場 ( やんば ) ダムの場合は、 国の直轄事業としては、珍しいケースに見える。
そこには、八ッ場ダム建設にまつわる歴史の紆余曲折が、横たわっているからなのだろう。
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水没予定地区から移転する住民や、付け替え県道、付け替え国道、JR吾妻線の新軌道
その他関連するトンネル工事、新しい橋脚工事等進捗している印象があった。 総事業費
およそ7割がたをすでに費やし、 いよいよ、 ダム本体の工事がはじまろうとしていた矢先。
政権交代によって、政権党マニフェスト履行大原則のもと 八ッ場 (やんば) ダム建設中止
がいち早く打ち出され、無駄な公共事業はすべて執行中止という。またしても地元住民を
翻弄するような事態にもなっているが、
政策変更の犠牲者といって過言ではないと思う。
さきの選挙では生活重視、国民重視を謳っていた民主党政権内の誰一人として、異論を
唱える人がいないのが不思議だが、政権マニフェストの呪縛、独裁だとは思いたくはない。
八ッ場 (やんば) ダムの完成を前提にしている利根川流域の暫定水利権が大きい埼玉県。
同じ民主党出身の上田知事は建設中止方針の撤回を求めており、 その理由は、おそらく
埼玉県の主な取水は荒川水系だけでなく、
利根川水系にも頼っているところがあるからだ。
利根大堰から取水する農業用水、同じく利根大堰から取水する
武蔵水路 ( 荒川水系への
補填誘導水路 )に頼るところが大きい。
中止によって暫定水利権がなくなると、渇水時、いち早く利根大堰での取水が制限される。
埼玉県には、そういう水利危機感があるためだと思う。八ッ場 (やんば) ダム建設に伴って
今まで負担してきた費用が返還されたとしても、のちの水利権を不安視するのは、利根川
に依存する他自治体も、事情は同じなのだろうか。 中止に賛同する都県自治体は皆無だ。
中止によって保障返還や付帯費用を含めた総事業費は、かなり増大することは目に見えて
いても、事業中止という全国初のモデルケースとして新政権は見ているフシがある。中止に
よって、建設継続を上回る多くの税金を投入することになっても、かまわないとのだというの
ならば、何のための無駄使いの排除なのか、その疑問はつきまとう。
所詮、私もダム建設反対の市民団体も人ごとのように論じている。一番の被害者は長年の
闘争の末、 国との約束に一抹の希望を見出していた地元の方々だ。 政権が変わったこと
で国との約束を庇護にされた地元民にとっては、 マニフェスト至上主義の独裁事態に翻弄
されているように見えるのは、私だけであろうか。
中止にとってかわる治水利水面での早急な代案があるとは思えないが、 マニフェスト至上
の 「
中止ありき 」 ではない白紙状態から、 もう一度、腰をすえてジックリ話し合ってほしい。
国が国民の生命と財産を守ることの意味、国との約束の意味も思慮しながら、大局的合理
主義の冷徹さで臨んでいる前原大臣の手腕が、 そして新政権の手腕が今、問われている。
何事も納得ゆく道筋を見出すのは容易ではないし、 予算の優先順位、税の配分、バランス
などは、専門的知識の優れた官僚であっても政治家であっても、その大局的判断は難しい。
ダム中止による税金投入の上乗せ、将来への負担など、 高速道路無料化も含め、民意は
どう感じているのだろうか。
・・・というぐあいに、マジに書いてしまった(^^ゞ
Posted at 2009/09/26 21:35:29 | |
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