アラビアのオレンスのブログ一覧

　実家の庭の草取り等のため土日を泊り込みで長野県南部にある実家で過ごした。11時には出發しなひと渋滞に遭遇するのでと急ひで道具やゴミを自動車に積んでひと段落と思つた瞬間キーがポケットになひことに気づひた。ラゲッジーコンパートメントにキーを入れたまま蓋を閉じてしまつた。
　妻が JAF の会員なので、JAF に電話するやうに指示したが、ぜんぜんつながらなひと云ふ。そこで私が6秒に壱回ほどの頻度でリダイヤルしてみたところ僅か弐分たらずでつながつた@1005。住所を伝へるとコールセンターのおねいさんは的確に場所を特定し近所にゐたJAFロードサービス車に連絡したやうで、電話が通じてから僅か 30分ほど@1035で JAF のロードサービス車が到着した。始めは70分かかるとそのおねいさんは云つてゐた。始めに長い時間を通知しておき、あとでそれより短い時間で到着しカスタマー満足度を稼ぐ戦略かと勘ぐつた自分を少し恥じた。ロードサービス車は近所で壱件仕事を終へ基地に帰へる途中だつたとのことだ。
　真夏の昼に厚手のオレンジ色のカバーオールを着た JAF のおじさんをみてはたしてだうやつて鍵をあけるのか不安であつたが、彼はピッキングツールを使ひ弐分弱で鍵を開けた。ここまでは電話が繋がつてから僅か30分であまりの速さにをどろいたが、その後の作業説明や伝票への記入などで意外にも10分ほど要したのが予想外だつた。実家を出発したのが 1045。
　そのおじさんは 「JAF に電話してもなかなかつながらなひ」と云ふ苦情を多く聞いてゐるらしく「つながらない際には直接ここ(彼はJAFから依頼を受けて出動した独立業者)に連絡すれば、すぐに出動でき、JAF 会員なら対処後にJAF 扱いにすることが可能」と説明してくれた。(有)緑屋の Nさん、だうもありがたう。
　妻がJAFを利用したのは過去30年間に弐回のはずで、それまでに支払つた年会費から今回の壱件のコストを計算すると6万円に相当するが、「業者を探す手間なくとにかくJAFに電話する」といふアクションで問題が解決するビジネスモデルとしては上出来と判断した。

　本日埼玉県秩父郡の山奥にあるスポーツ施設に行つた帰り道の細い道路で、黄色のロードコーンを弐個置き、しかし正式な通行止めの表示無しの状態で、農家の若妻ふうの女性が立ち迂回をせよと云ふ場面に遭遇した。
　正式な通行止めの表示が無ひのは「素人の仕業」に思へるが、犯人はそこをねらつて警備員風の人物でなく農家の若妻風人物をあへて配置し通行者の警戒心を低減しやうとした可能性もあつた。
　とりあへずその女性に指示にしたがひ迂回路を進んだが、「この道は行き止まりになつており、釜や鉈で武装して手ぬぐいで頬被りした数人の農民におそわれる」のではなひかと云ふ危険を感じた。私の自動車にはテロリストが欲するに違ひなひ、日本では調達困難な武器が、載せてあり、最近世界のあちこちでテロリストの活動が活発なので、かような危険を感じた次第だ。
　敵は「数人の農民なのかまたは ISIS の戦士なのか」などとそれに対する対応作を色々想像しながら超高警戒度で迂回路を進んだ。農民でも ISIS の戦士でもなくはたまたたぬきやキツネではなひかとも想像し、宮沢賢治の小説の現代版の主人公になつた気分まで薄々感じた。
　迂回路が本道にやがて合流した。そこで見たものは、近所の住民による道路整備のための通行止めを思わせるものだつた。單なる道端の草取りのための通行止めのやうだつた。とは云へ、ターゲットは私のやうな小者でなく他の重要人物で、かれの誘拐であつた可能性ははらいのけられなひ。
　近年久々に味わつた緊張した數分であつた。