ブローしていたエンジンを直す必要がありました。
しかし、圧縮が0になっているエンジンを直すくらいなら、同型のエンジンに乗せ替えたほうが早いという事実に帰結することもまた必然でした。
車造りの作業工程は膨大です。
そして、僕は限りあるプライベーターリソースを、エンジンにはあまり注がないという事も決めています。
そんなわけで、エンジンは直すのではなく換える事にしました。
ドナーは元よりあるのです。
これです。
もともと、フレームを作るための、各部マウント等を採寸をするために、エンジンとミッションだけを単体で買ってあるのです。
(ドナーは車をまるごと用意しましたが、フレームを作るまではハーネス等もいらなければ、そのエンジンが動く必要は無かったので、採寸用のエンジンを別に用意したほうが都合が良かったのです)
採寸用ですので、マウント位置などが変わっては大変ですから、形式や年式が大きく変わることの無いように、ドナー車にあわせて採寸用エンジンもGF型の1500ccを選んで用意したはずでした。
年式も1年か2年しか違っていないはずでした。
見た目からして、インマニの形状がまるで違うことは、最初から気が付いていました。
ですが、気にしてはいませんでした。
スバルが、同形式でも年改によって補機類がコロコロかわっていくことは、ヴィヴィオの頃から承知済みです。
でも、
エンジンブロックやヘッドなどの基本形状は変わらないだろうと、信じていました。少なくとも、同世代の同形式であるならば。
その証拠に、エキマニはどちらのエンジンでも流用可能だったわけです。
だから、余計に信じ込んでいました。
インマニの形状は違うけど、
ついでにいうならヘッドカバーの意匠も違うけど、
シリンダーヘッドから下は一緒だろう
・・・と
はい、ここまで見事にフラグ立ててしました。
では、最後にそんな罠があるなんて思いもしないシロートが、頑張った軌跡を辿っていきましょう。
まず、エンジンを取り外すに当たって、繋がっている各部分を取り外す必要があるのですが、まぁこの辺りは楽です。
もちろん、エンジン動かしてたわけですから、燃料系もハーネスも繋がっているし、マウントだって繋がっていますが、現状の整備性の良さは、はおそらく往年のグループB以上ですので(笑)
その中でも、あると便利な便利道具の紹介をしておきます。
ホース外し。(正式名称忘れました)
あると便利です。硬ーく刺さったホース、簡単に抜けますし、プライヤーなどでぐりぐりしたりしないので、硬化したゴムホースを傷つけません。
値段もお手ごろなので、工具箱に1つ入れておくと、何かと役に立ちます。
さて、各リンクを外したので、エンジンを取り外します。
紅茶号のエンジン取り外し、全編通して10分ほどなんですが、長いので6倍速でご覧ください(笑)
便利道具その2
なんかこじるレバーセット(正式名称忘れました)
昔、職場の同僚が使っているのを見て、便利そうなので同じようなモノを買ってみたら滅茶苦茶便利でした。
いつもマイナスドライバーとかを使ってる人は、こーいう専用品を一式買い揃えておくことをオススメします。
マフラーのつりゴムとか、めちゃくちゃ簡単に外せます。
今回は、このレバーで固着したミッションとエンジンを切り離します。
これも、やっぱり長いので2倍速(笑)
さて、外れました。
ちゃちゃっと、インマニ等の補機類を外します。
今回は、このエンジンに、奥にある台車のエンジン(紅茶号から取り外したもの)から取り外したインマニ等を移植しようというのです。
もう頭の中では、ポン付けでいけるものだと信じて疑いませんでした。
むしろ、疑っていたのは、このドナーのエンジンも壊れてやいないか? という疑念です。
これだって、圧縮0なんてオチがあったら、もうぐんにょりです。
なので、ちょっと検査をします。
簡単な検査です。
クランクを、人力で回しても、一応圧縮は発生するんですよ。
それにしても、クランキングを手動でなんて、まるで原始時代の自動車みたいな気がしてきます。
いや、むしろこれは水平対向なので、レシプロの航空機でしょうか。
そんなわけで、4気筒全部チェックしたところ、一応圧縮は確認できましたので、ブローしてる心配はなさそうでした。
マイクロスコープを使って、内部も観察してみましたが、IN EXともにバルブ欠けもなさそうです。
とにかくカーボン汚れがすごいですが、それは無視します。
ついでに、面白い映像も撮ってみました。
エンジンのバルブというのが、いったい実際にどんなもので、どんな風に動いているのか。
整備士など業界人でもないと、なかなか拝めるものではないと思いますので、撮ってみました。
こんな風にバルブが上下して動いているわけですね。
バルブという部品は、シリンダーヘッド上方から、燃焼室までバルブの柱が貫通して設置されているものであることが、この画像からもわかります。
ということは、そのバルブの柱を伝ってエンジンオイルが流れすぎてこないように、その部分にもオイルシールが取り付けられているわけですが、そのシールに損傷や磨耗があると、そこからオイルが燃焼室に進入し、ガソリンと一緒に燃えて大量に消費されるようになります。
これが俗に言うオイル下がりといわれるものの一種です。
最近、某メーカーの某主力エンジンで妙に目に付くような気がしますが、ここで指摘するのはやめておきましょう....
さて、ドナーエンジンの無事を確認したところで、さっそく移植を開始します。
さきほどやった、インマニ外しの工程を、もう一度繰り返すだけですので、すぐに取り外し作業は終了しました。
そして、本日の作業も終了致しました。
インマニ付かねぇ(´・ω・`)
シリンダーヘッドの吸気側。
まったく違いました。(;´Д`)
このエンジン、完全に別物でした。
・・・もっと早く気付くべきでした。
いや、もうちょっと調べるべきだったか。
ちょっと、安易に考え過ぎました。
元から、おたがいのエンジン形式のフルネームは確認していたのです。
ドナーに使った採寸用のエンジンはEJ15"1"
そして、紅茶号に載せたのはEJ15"J"
車検証の形式上はどちらも同じEJ15ですが、その次が数字とアルファベット。
これだけで、スバルに詳しい人ならだいたい予想が付きましたが、僕はそこまでスバリストではありませんでした・・・
前途しましたけど、さすがにシリンダーヘッドは同じだろうとたかをくくっていたのです。
(だって、そうしないと補修部品のストックに困るじゃん)
同じGF1で同じEJ15なのに、途中からシリンダーヘッドが激変するスバルさんまじパネェ
一応、これらの形式の違いを前もって調べてはあったんですが
http://takumi-oil.ru/impreza-wagon/
どちらも、GF1であることに慢心していました。
ここで、もう少しつっこんで調べていれば、ある事実に気が付いたはずなのに。
この両者はどちらもGF1であることに間違いはないのですが
実は車両形式が違いました。
え? 形式はGF1なんでしょ? 同じでしょ?
・・・と思うじゃん?(´・ω・`)
でも、実は
EJ15JまでのGF1は
E-GF1
そしてEJ151のGF1は
GF-GF1
だったのです。
もう、これを見た瞬間、
あ、そりゃ無理だわ(´・ω・`)
と観念しました。
自動車の改造車検を少しでも齧ったことのある方なら、よくご存知でしょう。
車両形式の
E-
と
GF-
これは、自動車の排ガス規制の世代が大きく変わったことを示しています。
E-は、昭和53年規制
そして、GF-は数々のバブル期生まれのスポーツカーを闇に葬った、平成の排ガス規制に対応していることを表しています。
輸入車なんかだと、この辺の区分が曖昧でE-でもGF-でもまったく同じ車で、年代によってはE-ついた固体よりGF-ついた固体の車体番号の方が古いなんて事例(うちのポルポルがこれ)もありますが
こと、日ノ本の国産車でこれが違ったら
そりゃエンジンはまるで別物ですわ
∩(・∀・)∩オテアゲ
それにしても、スバルさんにはモデル末期に次世代用の新型エンジンを先行投入する慣習がありますけど、それはこの時代から既にあったんですねぇ・・・
このEJ151系は、おそらく次代のGD・GG系のEJ152となら互換性があるんでしょう・・・
もう、こんなトラップだらけの年改なんて大嫌いだーーーーーウワァァ-----。゚(゚´Д`゚)゚。-----ン!!!!
そんなわけで、紅茶号のエンジン修理は、この時点でいきなり躓いてしまったのでした。orz
5月も末のお話です。
続く