
先日のフレンチフレンチ幕張の会場で「冬キャンプ」が話題にあがり、その中で薪ストーブ・キャンプに興味をお持ちの方が何名かいらっしゃいましたので、これまでの私の経験をまとめてみることにしました。
これから薪ストーブ・キャンプを始めてみようという方にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。
まず主役の薪ストーブを紹介します。
私が愛用しているのは
ホンマ製作所の
APS-52。同社の時計型薪ストーブをアウトドアで使いやすいように改良したセット品です。長脚がついているので芝の上で使用しても芝を焦がすことがありません。
APS-52の基本セットを組み立てた様子。
このようなプラスチックケース(18Lの灯油用ポリタンクが4本入る汎用品)に入った状態で送られてきました。煙突は本体の中に入っています。
薪が燃えているときに炎が見えた方が断然楽しいので、オプションの
ガラス付き替え扉に交換しています。
APS-52は鉄製なので、使っているうちにどうしても錆が出てきてしまいます。そこで錆を落とした後、耐熱塗料で黒く仕上げました。
薪ストーブのメンテナンス記事
キャンプに使える薪ストーブは、国内だと今回のホンマ製作所(新潟)や北海道の
新保製作所が有名です。いずれも煙突規格がφ106mmなので、少し大きなホームセンターであれば比較的容易に部品を手に入れることができます。確かテンマクデザイン(WILD-1)の
iron-stove改もφ106mm規格の煙突が使えたはずです。
快速旅團の
薪ストーブKen-Gや、小川キャンパルの
ちびストーブも人気がありますが、これらは煙突の内径が細いため、煙突を延長しようとすると専用品を使う必要があります。また細い煙突は着火から安定燃焼に移るまでにちょっとしたコツが必要となるため、やや上級者向きといえると思います。
さらに本体がコンパクトな分、キャンプ場で販売している一般的な薪(40cm前後)が入りきらないことがあります。あらかじめ短い薪を準備するか、ノコギリ等で短く切らなければなりません。(ナタやオノで乾いた薪を横に割るのは至難の業)
同じ理由でヨーロッパ製の
カッコいいストーブを使いこなすにも知識と経験が必要となります。
では薪ストーブをスクリーンタープ(テント)内にインストールする方法をご紹介します。
薪ストーブを運転している間は煙突がかなりの高温になります。この煙突にスクリーンタープの幕が触れてしまうと一瞬で溶けてしまいますので”幕よけ”を用意して幕が煙突に触れないようにします。
まずはじめに幕よけの構想から。
幕よけとしての本来の機能のほか、収納性や組み立てやすさをも考慮してアイデア・スケッチを重ねました。その後、PC上に図面を起こして設計の妥当性を検証したら製作作業に移ります。
ホームセンターの木工室を借りて板をカット。
仮組みした幕よけ。(折りたたんだ状態)
展開するとこのような形状になります。穴に直接触れないように煙突を通して使います。
薪ストーブのユーザーは皆さん幕よけに工夫を凝らしていて、材質、形状・・・さまざまなものを見ることができます。
PL法がらみなのか分かりませんが、少なくともメーカーから販売されるようなシロモノではないのでほとんどの皆さんは自作されています。
幕よけの製作記事
実際に幕よけを使用している様子。表面にはクリアラッカーを塗っています。
最初の頃は煙突の固定に工事現場で使う「ロープ杭」を使っていました。今はスノーピークの
パイルドライバーを使っています。煙突をパイルドライバーに固定する方法は針金を巻くだけ(笑) 近いうちに専用の「クランプ」を作りたいところです。
また煙突は2本目と3本目の連結位置に張り綱を結び、テントと反対側に軽くテンションをかけるように固定しています。これで万が一煙突が倒れたとしてもテント側へは倒れないはずです。
薪ストーブの上では鍋やケトルを使うことができて便利ですよ。
初の実戦投入
テント内で薪を燃やすので、念のため一酸化炭素警報器(COモニタ)を設置しています。しかし今まで薪ストーブが原因で警報が鳴ったことはありません。正常に燃えている時は、ストーブ前面の空気取り入れ口から煙突を通って外に空気の流れができるため、煙がテント内に流れ出ることはまずありません。(煙突に強風が当たると、風向きによってはわずかに逆流することがありますが・・・)
それより炭を燃やした時の方が確実に一酸化炭素が発生しますね。テントの外で炭を燃やしていたら、一酸化炭素が風に乗って警報器を鳴らしたことがありました。なので閉めきったテント(スクリーンタープ)の中で炭を燃やすのは絶対にやめた方が良いと思います。
一晩で使う薪の量は普通に使って2~3束。ガンガン燃やすともう少し消費します。
スギなどの針葉樹は、勢いよく燃えるのですぐに暖かくなる反面、燃焼時間が短い傾向にあります。
一方、ナラなどの広葉樹はゆっくりと長時間燃え続けます。可能であれば両方準備しておくのがベストです。
またオガライト(ブリケット)と呼ばれる「おがくず」を棒状に圧縮成型した木質燃料も使えます。これは本当によく燃えるので、いざという時に追加すると一気にテント内の温度が上がります。ただしストーブの温度が上がり過ぎるため、オガライトだけを連続して使いすぎるとストーブを痛める・・・らしいです(?) あくまでもウワサですが。
一晩使っただけで煙突の内側にはススがたっぷり付着します。
でもストーブ本体の中の灰は思いのほか少なく、2晩使ってもコップ1~2杯程度です。
薪ストーブの威力は素晴らしく、外気温度がマイナス10℃でも・・・
テントの中は30℃だったりします。Tシャツでも暑いくらい(笑)
薪ストーブの威力 その1
薪ストーブの威力 その2
わが家の薪ストーブ一式。標準で付いていた煙突2本に5本追加して運用しています。ちなみに煙突は「半直筒」と呼ばれる455mmのタイプ。910mmの「直筒」の方が安定しますが、収納性を考慮して半直筒を選びました。
一般に水平方向に対して垂直方向は2倍以上の長さが無いと十分な煙突効果が得られないとされています。わが家の場合は水平2本×垂直5本なのでこの条件をクリアしています。
西湖で薪ストーブキャンプ その1
西湖で薪ストーブキャンプ その2
わが家のスクリーンタープはモンベル・
アストロドーム。これにモンベル・
ムーンライト7型テントを連結して冬場のキャンプを楽しんでいます。
アストロドームには3ヶ所の出入口があり、1つはムーンライト7型との接続、もう1つは薪ストーブの煙突出口に使うので、出入口は1ヶ所となります。
薪ストーブを運転するとアストロドーム内は十分に暖かくなりますが、連結しているムーンライト7型の方はというと・・・ ポカポカというわけにはいきません。
ストーブから距離があるのと、燃焼に使う空気の流れの上流にあることが主な原因と思われます。外気への放熱もあるかもしれません。
なので薪ストーブを消して就寝するときにはそれなりの防寒シュラフが必要となります。今後はサーキュレーターなどを用いてアストロドーム内の暖気をムーンライト側へ回すことができれば解決するかもしれません。
恒例の年越しキャンプ その1
恒例の年越しキャンプ その2
こんな感じで試行錯誤を繰り返しながら毎年薪ストーブ・キャンプを楽しんでいます。
今まで20泊くらいしましたが、ポイントさえ気を付ければ決して危険なキャンプではないと思っています。暖かいテントの中でゆっくり炎を眺めるのは心が落ち着いて格別ですよ~♪ お酒も美味しいし(笑)
薪ストーブ・キャンプは最初ちょっとだけ敷居が高く感じますが、やってみると意外と何とかなるものです。
今年の冬、薪ストーブ・キャンプに挑戦されてみてはっ!?