
アルピナB10に首ったけの日々ですが。
もうひとつの名車を紹介します。
実用車として購入したメルセデスコードネームW201こと190D 2.5turboです。
これが、今まで乗った数々の中でも最高ランクのお気に入りとなっています。
どこがいいといえば、まず、ディーゼルエンジン。これは目からウロコものです。
まず、燃費がいい。街乗りで10km/L以下はまずならない。高速で15km/L以上、この間はなんと17km/Lを記録しました。2.5リットルのATでは相当いいですよね。軽油に安さもあってお財布が助かっています。
これは、ディーゼルエンジンの優れた効率の賜物です。ガソリンエンジンに比べて30%効率がよいので、同じ排気量なら軽油の安さと合わせて半分の油代ですみます。
パワーもターボにより、125hpでトルクは23.5kgあり、車重が1350kgなので十分な性能です。
それから、ほとんど故障しません。ガソリンエンジンでは、スパークプラグでガソリンに点火しないといけないのですが、ディーゼルエンジンでは圧縮による自然発火なので厄介な点火系がありません。それに、空気とガソリンを混合するのに微妙な調整が必要でこのコントロールに高度な制御系がいります。
ディーゼルエンジン、特にこの頃は、軽油を噴射するるだけなので機械(燃料ポンプ)が割と単純です。
だから、故障はめったに起きないと自信を持って言えます。
古い車が好きで、なるべく故障に悩まされたくない、そして、燃料代も節約したい人にはピッタリだと思います。
さて、今度はW201そのもの、素晴らしさを紹介します。
メルセデスはかつて、車には考える最善のものしか採用しないといった極端にコストがかかった車作りをしていた時代がありました。車好きの方は聞かれたことがあると思いますが、いわゆる、「善か無か」の時代です。
その頃メルセデスは、Sクラス、ミディアム(現Eクラス)の中型車しか作ってなく、小型車を作る(コストダウンする)ノウハウがありませんでした。なので、中型車を基本に、その部品を流用しサイズを収縮した小型車を開発しました。それが、W201、現Cクラスです。
先づはボディーです。その当時は、本格的なボディーの強度をシュミレーションするコンピュータもなく、強度の限界設計なども十分でないため、メルセデスが目指す完全なボディーを得るためには、過大な強度を持たせざるを得なかったとようです。それに加え、耐久性の基準も高かったので、余裕のありすぎる金庫のような高い剛性のあるボディーになりました。
後部ドアのドスッという締まり具合は今の車には無いでしょう。現在の車は限界設計に基づく軽量化であの音は再現出来ないと思います。
Sクラスの縮小版なので、同じ材料であれば小さな箱の方が強度が高い理屈から、名車W124(Eクラス)よりも剛性は高いといわれています。自分も両方乗ってみましたが、190の方が分があると思います。
ベンツは永遠に機能するのが車だとおもったのか、それに見合う作り込みは、尋常でありません。サスペンションのアーム、そのカバー、エンジンやシャーシのアンダーカバーなど、無駄なくらい立派です。ドア内張の分厚いパッド、スプリング多用した多層構造のシート(現在のシートは単層ウレタン)などなど、作業を頼んだカーステ業者さんがこんだけしっかり作ってあれば音がいいはずと脱帽するほどです。
車を知った人には、あれも、これも、呆れるほどしっかり作れていることの発見があるでしょう。それが楽しいです。
そんなかんだで実用上せいぜい30万キロ持てばいい車に本気で100万キロ持つように作られたようです。今ではあり得ないほどの過剰品質です。
メカニズムはでいえば、現在の車の主流になるマルチリンクを最初に採用しています。基本設計は今だに変わってないそうです。このサスペンションは30年前に設計されたのですが、現在のものと味付けは多少変わっても性能はあまり変わっていません。というか基本設計が同じなので劇的に変わるはずがあり得ません。今乗っても遜色がないのはうなずけます。これだけで、どんだけ本気で開発し、どんだけ優れたものか分かるとおもいます。
それから、最後の利点ですが、純粋な機械製品であること。この頃のメルセデスは、故障の原因となりうる電子制御は避けてなるべく機械による制御をしていました。なので、BMWでは電子制御が当たり前ATも純粋な機械式であり、燃料噴射装置も半機械式でした。この車はディーゼルなのでただの機械ポンプですが。
今の車は、コンピュータ化してるので、ほとんどの故障はコンピュータ診断をしないと判明しません。耐久性では繊細なチップの塊がそんなに持つように思えませし、コンピュータの心臓部なんぞ、数年で性能が半減します。例えば、5年前は使われていたWindowsXPを今じゃわざわざ使う人がいないですよね。そんな電子部品で構成されたのが今の車なんです。
そんなわけで、確かに、新しいメルセデス車に乗ると随分良くなったと感じますが、5年後はどうか、20年後はどうかと考えると今のW201ほどの魅力はまず望めないと考えてしまいます。 急速に劣化するのだと思います。
W201やW124などの角目ベンツと呼ばれる過剰品質のメルセデスは、20年経った今でも、あり得ない質感を保っています。全くすごいと感心します。多分30年後も凛としてると思います。
もう一つ良さを思い出しました。機能性です。それはコンパクトで見切りのいいボディー(運転席からボディーの端が見えます)とちょっと上から視界が開けるコマンドポジションによる運転のしやすさです。今のメルセデスは失われています。
ハンドリングも、そのコンパクトなボディーからヒョイヒョイと反応してスポーティーな感じがします。BMWから乗りかえても唯一許せるメルセデスだと自分は認めました。
このようにディーゼルによる高燃費、故障の少なさ、高いボディー剛性、劣化しないハードウェア、運転し易さ、安い価格などなど。
W201 190Dターボは最強な実用車と思ってます。これに変われるだけの価値のある車は自分には見つけれません。
みなさんにオススメできるW201ディーゼルですが、残念ながらターボはまずありません。ただのディーゼルであれば多少ありますが、あまりに遅いです。
そうするとオススメ出来るのはW124の3.0Dターボです。これは、直列6気筒完全バランスエンジンを搭載した日本でも比較的よく売れたモデルです。150hp、27.5kgで確か0-400m 17.5秒、最高速200kmだったと思います。ベンツのディーゼルは性能がぜんぜん違います。5気筒でもすごいので6気筒なら間違いないと思います。
探せばまだありますので、見つけたら買いですね。
いっておかないといけないことがありました。都心や京阪神などのディーゼル規制地域では乗れませんので。
BMW好きな自分にとって、メルセデスベンツは、押し出しが強く苦手で避けたい車でした。
しかし、古いベンツにはそういったオーラが薄くなって、ただの高品質な車となり、気兼ねなく乗れます。
いいものは、いいです、ベンツが苦手な人もぜひ体験してその世界を知って欲しいです。
長々とお付き合いいただきありがとうございます。