タイトル画像を見て、左右のエンジンの違いにすぐに気付いた方はかなりのロータリー通です。
そうです!
左が10A、右が13Bです。
10Aのジャンクパーツをオブジェにしていることは以前にも記事にしていましたが、この度ついに念願の13Bのパーツを入手することができました。
10Aと13Bの違いは、ローターおよびローターハウジングの厚さの違いです。
10Aが60㎜で、13Bが80㎜です。
ローターの偏心量はどちらも15㎜で、ローターハウジングの内径は同じです。
排気量は、1ローターで10Aが491㏄で、13Bが654㏄になります。
レシプロで言うと、偏心量がストローク、ローター厚がボアにあたりますので、13Bは10Aのボアアップ版ということになります。
10Aは、コスモスポーツを初め、ファミリアやサバンナにも搭載されました。
13Bは、あらゆる車種に搭載され、多くの仕様があります。
今回入手した画像右のパーツが、どの車種のものかすぐにわかった方もなかなかのロータリー通です。
そうです。
RX-8(SE3P)用の13B-MSP(RENESIS)です。
左の10Aの下部にある排気ポートが、右の13Bでは塞がれています。
マツダの歴代市販ロータリーエンジンはペリフェラルポート排気を採用してきましたが、RX-8の13Bのみサイドポート排気です。
エンジン名のMSPとは、マルチ・サイド・ポートの頭文字です。
サイドポート排気の実現は多くの技術的困難があったそうですが、燃焼効率や排気効率を向上させ、燃費や排気ガスの浄化にも効果がある優れた技術です。
残念ながら、RX-8を最後にロータリーエンジン搭載モデルは販売されていません。
1967年に販売が開始されたコスモスポーツに搭載された、マツダ最初のロータリーエンジンである10Aと、2012年に生産が終了したRX-8に搭載された、マツダ最後のロータリーエンジンである13B-MSP。
マツダの最古と最新のロータリーエンジンのパーツを入手するという念願がついにかないました。
リーディングとトレーリングのプラグ位置はほとんど同じのようです。
ハウジングを比較すると、10Aの方はアルミ砂型鋳造品で表面がザラついており、非常に軽い。
一方で13Bの方はアルミ・ダイキャスト製で、無駄な肉はそぎ落とされた複雑な造形をしており、精密に鋳造されていることがわかります。また、質量感もあってアルミの密度の高さが伺えます。
だるま落としのようにローターを3つ積み上げてみましたが、上からコスモスポーツ(L10B)用10A、RX-7(FD3S)用13B-REW、RX-8(SE3P)用13B-MSPの各ローターです。
10Aと13Bのローターの違いは一目瞭然ですが、RX-7用とRX-8用のローターの違いは、主にローターリセス(燃焼室のくぼみ)の形状です。
FDの13B-REWはターボ車なので圧縮比は9.0ですが、RX-8の13B-MSPは自然吸気で圧縮比は10.0です。
ちなみにコスモスポーツの10Aは自然吸気で圧縮比は9.4です。
また、ローターの製造精度も大幅に向上し、10Aのローター側面のおむすびの頂点近くにある重量バランス調整のための丸い削り加工跡が13B-MSPにはありません。
同じ13Bでも、FD用と比べてSE用ではローターの工作精度が上がっており、強度に関係のない無駄な肉が削がれて軽量化もされています。
ちなみに13Bのローターが金色をしているのは、防錆のアルマイトメッキがされているからです。
13Bのローターは、どちらも深い傷が入っており、ブローしたエンジンから下したものであることが想像できます。
再使用不可能なジャンク品であったお陰で、ヤフオクで非常に安く入手することができ、オブジェとしては十分な品です。
マツダ初の市販ロータリーエンジン10Aとマツダ最後の市販ロータリーエンジン13B-MSPを並べて飾り、一人悦に入っています。
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コスモ生活 | 日記
Posted at
2022/04/17 15:26:56