
昨日のブラジルGPで,見事にバトンがチャンピオンを決めました。
昨年12月にHonda F1が電撃的に撤退を発表し,このチームの将来がわからない状況がしばらく続きました。
オフシーズンの間はこのチームが参戦危機にさらされていたため,マシンの開発やテスト走行ができず,マシンの戦闘力など誰もが期待していなかったはずです。
あえて言うなら,2008年途中からHondaはRA108の開発を止め,2009年のRA109の開発に力を注いでいたそうなので,正直に昨年よりは少しよいぐらいと思っていました。
私は,ずっと応援し続けたHondaがF1から撤退してしまった今,その意志をしっかりと受け継いでくれているであろうバトン・バリチェロと,ブラウン率いるこのチームがとにかく2009年にF1グリッドに並んでいてほしい,ただそれだけの願いでオフシーズンのF1ニュースの動向を見守っていました。
3月にロス・ブラウンがこのチームのオーナーとしてすべてを引き継ぐことが発表され,バトンやバリチェロをはじめ,このチームの多くのスタッフ達が無職を免れたのです。
RA109になるはずだったBGP001シャシーに,メルセデスエンジンがきちんとマッチングするのか不安には思いましたが,そんなことより参戦してくれるだけで喜びを感じていました。
そして,新体制・ブラウンGPとして決まった直後のテストで,連日のトップタイムをマーク。
2009シーズンは,ともすると優勝を狙えるマシンに仕上がっているかもしれないと,希望を与えてくれました。
そして,開幕戦で圧勝。
私は2006年ハンガリーでバトンがHondaで勝利したとき以上に喜びや魅力を感じました。
Hondaの意志を受け継ぐ者が逆境を乗り越えて成功を手に入れているのですから,喜びも半端ではなかったです。
しかも,それが一度で終わるのではなく,次戦も勝利したり,その後も4連勝を重ねたり……。
どん底から這い上がったバトン/ブラウンが,F1で勝利をするだけではなく,勝利を重ね,世界王者に登りつめていく……。
しかし,ここで長い試練が訪れるのです。
いくら逆境を跳ね除けたとはいえ,そう簡単にF1のタイトルは獲れない。
もっと,もっと価値の高いものであると思い知らせるかのように。
以下,中盤戦から後半戦にかけて,ブラウンGPが苦戦した原因を自分なりにあげてみます。
①まずは,開幕戦後のブラウン・メルセデスの優位性がなくなり,レッドブルをはじめとする周囲に技術的に追いつかれてしまったこと。(特にFIAによるダブルディフューザーの承認)
②次に,ブラウンはガソリン満タンでコンスタントに速いペースで走ることを得意とするため,逆に一発の速さには欠けていたこと。
序盤戦は優位性から予選でも速かったが,中盤戦からはその優位性がないため予選で前へ行けず,決勝では前の車を抜く一発の速さに欠けるため,遅い車を抜きあぐねて勝利を逃す。
③ヨーロッパラウンドの冷涼な天候。ブラウンはよくいえばタイヤの攻撃性が低いためタイヤにやさしく,悪く言うとタイヤが温まりにくいという特性があったように思われること。気温が高いレースでは,ブラウン本来の速さが光るレースが多かったことがそのことを証明していると思う。
ライバルのレッドブルは,タイヤへの攻撃性が高く,タイヤが温まりやすいため,雨のレースでは速いことが多かった。
④バトンのドライブスタイルが超スムーズであること。アラン・プロストやデーモン・ヒルのように,タイヤにやさしい走り方が却って災いして,タイヤが温まりにくくタイムアップできなかったように思われる。
⑤ブラウンGPのマシンのセットアップが敏感であること。ちょっと調整したり,タイヤを替えたりしただけで,マシン特性が変わりやすかったのではないかと考える。敏感すぎるというか……。
他のチームもそうだろうが,そこまで敏感ではなかったみたいな……。
上記にあげた5つの要因が苦戦していった理由と考えて,2009シーズンを見てきました。
バトンはとやかく言われ始めましたが,冷涼な気候でなかったなら,さっさと決まっていたのは間違いなかったように私は感じます。
不甲斐なレースはスパでの1戦のみ。
あとはできる限りのことをして,1点でも多くポイントを獲ろうと貪欲にドライブしているように見えました。
いつ,守りのレースをしていたのか,そう言っていた人たちに教わりたいですね。
チャンピオンっていうのは,一発の速さでカッコよくオーバーテイクするだけではなく,コンスタントに速く走ることが要求されると思います。
気がつけばそこにいる……みたいな。
しかし,昨日のブラジルGPでは何度もオーバーテイクを決めたし,ベッテルには一切抜かす隙を与えなかったし(ピットでは抜かれましたが),とても見ごたえのあるレースをしてくれたと思います。
14番手からスタートしての5位は十分すぎです。
2007,2008年のHondaでの不甲斐な2年間,オフシーズンの撤退発表によるチーム存続の危機というどん底を味わった人たちが,他チームの猛追を振り切って見事にワールドチャンピオンを獲得してくれました。
バトンの何度もガッツポーズする姿や満面の笑みは,私に大きな喜びや希望を与えてくれました。
「人生どうなるかわからないよ。決してあきらめたらいけないよ。」
今年の彼らの偉業から,日頃,自分が忘れかけている何かを学ぶべきだと大いに実感しました。
とにかくバトンやブラウンGPからはたくさんの勇気をもらいました。「ありがとう」って思っています。
働ける喜びをかみ締めて,また明日からがんばるぞ!
土曜が出勤だったため,月曜の今日は代休でたっぷりとF1観れて本当によかった!
Posted at 2009/10/19 16:09:38 | |
トラックバック(0) |
F1 | クルマ