2026年01月30日
エンジンオイル選びで迷子にならないために
「何から考えるか」の話
エンジンオイルの話になると、
多くの人が最初に見るのは粘度やブランドだと思う。
5W-30か、0W-20か
ACEAだ、APIだ、ベースオイルはPAOだエステルだ……。
情報はたくさんある。
でも、それだけ見ても「合っているかどうか」は実は分からない。
なぜ迷子になるのかというと、
考える順番が逆なのではないだろうか。
多くの人がやっている“逆順”
よくある考え方は、こんな順番だと思う。
•粘度を決める
•規格を確認する
•走らせてみてフィーリングを見る
このやり方でも、大きく外すことは少ないし、
これが楽しかったりする。
でも「なんとなくしっくりこない」「理由は説明できない違和感」が残りやすい。
本来の順番はこうなる。
•エンジンが何を要求しているか
•その要求に合う油膜のレンジ
•その結果としての粘度や規格
ここを飛ばすと、選択はどうしても感覚頼みになる。
エンジンは何を要求しているのか
エンジンがオイルに求めているものは、
車ごとに違う。
•クリアランスの広さ・狭さ
•回転数の使い方
•熱の入り方
•燃費重視か耐久重視か
最近のエンジンは「精度が高い」とよく言われる。
でもそれは、何でも許容できるという意味ではない。
表面処理やコーティング、制御技術を使いながら
成立する前提条件を狭めている設計とも言える。
だからこそ、
「このエンジンはどんな油膜を前提にしているのか」を考える必要がある。
規格は“答え”ではなく“範囲”
ACEAやAPI、ILSACといった規格は重要だ。
でも規格は答えではない。
規格が示しているのは、
「この範囲なら成立しますよ」という許容ゾーンだ。
その中で
•どちら寄りの性格なのか
•どこを狙って設計されているのか
ここまでは規格には書いていない。
だから同じ規格・同じ粘度でも、
フィーリングが違うのは不思議なことではない。
油膜の話に入る前に
ここまでの話は、
「油膜が厚い/薄いが良い」という話ではない。
どの厚さが要求されているのか
それを考えるための準備。
次からは第2回で触れた「回る」「静か」「スムーズ」といった感覚が、
どこから生まれているのかをもう少し踏み込んで見ていく。
Posted at 2026/01/30 20:53:41 | |
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2026年01月29日
第3回
油膜は「正解」じゃなく「許容」でできている
第2回の最後で
「ベースオイル神話」という予告をした。
正直に言うと
この話題を書くかどうかは少し迷った。
なぜなら、その前にどうしても触れておきたい
前提があるからだ。
それは、エンジンが要求している油膜の話。
薄い? 厚い?
オイルの話が噛み合わない理由
エンジンオイルの話になると
よくこんな言い方を見かける。
•粘度が低いと油膜が薄くて不安
•粘度が高いと油膜が厚くてエンジンに優しい
どちらも一見するともっともらしい。
でも実際には、この二択で語れるほど
単純な話ではない。
なぜなら、エンジンはそのどちらでも
壊れないように設計されているからだ。
エンジンは「一点の正解」を求めていない
エンジン設計において重要なのは、
「この油膜厚が唯一の正解」という発想ではなく、
この範囲なら問題ない
という許容幅。
•温度が高い時
•低い時
•高回転
•低負荷
あらゆる条件を想定した上で
その中で成立する範囲が決められている。
オイルの規格や指定粘度は
その最低条件を示しているに過ぎない。
規格は「守るもの」選択はその先
ここで大事なのは
「規格は意味がない」という話ではないこと。
むしろ逆で
•規格は必ず守る
•その上で、どう選ぶか
という順番。
規格を外れた時点で、
この連載でしている話は成立しない。
ただし、
規格を満たしたオイル同士でも
フィーリングが違うのはなぜか。
その理由は油膜の作り方や保ち方が違うからだ。
フィーリングは「壊れる・壊れない」の話ではない
第2回で触れた
「回る」「静か」「スムーズ」といった感覚。
あれは、エンジンが正常に動いている
範囲の中で生まれる
フィーリングの違いだ。
油膜の中で起きている摩擦の出方や
減衰の仕方の違いが、
ドライバーの感覚として現れている。
つまり、
許容範囲の中での違い。
規格から外した選択について
実は、自分のキャプチャーでは、
あえて規格から少し外したオイルを
使う予定だ。
これは無茶をしているわけではなく、
「壊れる/壊れない」の話でもない。
エンジンが許容している範囲の中で、
どの方向を選ぶかという話だ。
その判断が正しいかどうかは、
誰かの正解ではなく
自分が納得できるかどうか。
正解より納得
エンジンオイル選びに
絶対的な正解はない。
あるのは、
•規格という土台
•許容という考え方
•その上での選択
次回こそは「ベースオイル」の話をする。
PAOだから、エステルだから高性能。
そんな分かりやすい話が
本当に今もそのまま通用するのか。
少しだけ立ち止まって考えてみたい。
Posted at 2026/01/30 08:30:18 | |
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2026年01月29日
ACEA規格がないオイルを、どう考えるか
エンジンオイルを選ぶとき、
ACEA規格が書いてあると安心する人は多い。
一方で市販オイルを見ていると、
APIとILSACしか書いていないオイルも少なくない。
「ACEAがない=欧州車には向かない」
そう言い切ってしまっていいのか。
ここではACEA規格がないオイルをどう考えるか
という、少し地味だけど大事な話を軽く。
そもそもACEA規格とは
ACEA規格は欧州メーカーが
•高速巡航
•高負荷
•長めの交換サイクル
こうした使われ方を前提に作った規格だ。
だからHTHSや耐久性、清浄性に
比較的厳しい要求が入っている。
一方で北米や日本向けのAPI / ILSACは、
燃費や触媒保護を重視する傾向が強い。
目的が違う規格だということを
まず押さえておきたい。
古い世代のエンジンではどうか
少し古い世代のエンジンは、
今どきのダウンサイジングターボほど
クリアランスが詰められていないことが多い。
その場合、最新の低粘度・低HTHS前提の
オイルが必ずしもベストとは限らない。
ここで重要なのは規格の有無ではなく、
油膜が成立するかどうか。
表記だけでは見分けがつかない理由
APIやILSACの表記だけでは
オイルの性格は正直わかりにくい。
• ベースオイルの種類
•添加剤の設計
•高温時の粘度保持
これらはラベルを見ただけでは判断できない。
だから
「ACEAがないからダメ」
「APIしかないから危険」
という判断は、少し雑になる。
どうやって考えればいいか
前提として最低限、指定粘度とAPI/ILSACは満たしていること。
その上で
•使用環境(街乗り中心か)
•回す回さない
•交換サイクル
これを考える。
そして油膜が安定しそうな方向に振る
という発想を持つ。
ACEA規格はそのための一つの指標であって、
絶対条件ではない。
誤解してほしくないこと
これは
「規格を軽視していい」
という話ではない。
むしろ逆で、
規格の意味を理解した上でどう使うか
という話だ。
規格を知らずに外すのと
理解した上で外すのでは
まったく意味が違う。
まとめ
•ACEAは目的に特化した規格
•表記がなくても即NGではない
•最終的に見るべきは油膜
この考え方を知っておくと、
オイル選びの自由度は少し広がる。
本編ではこの「油膜」という考え方を軸に
キャプチャーのオイル選びを整理していく。
Posted at 2026/01/29 22:32:39 | |
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2026年01月27日

第2回
ベースオイルという前提
第1回では
エンジンオイルに「正解」を求めすぎると
かえって迷子になる。という話を書いた。
今回はもう少しだけ踏み込んで、
その前提になっている話に触れてみたい。
エンジンオイルを調べていると
必ず出てくる言葉がある。
PAO、エステル、VHVI…
いわゆる「ベースオイル」の話だ。
正直に言うと
私自身も長いこと
「PAOベース=高性能」
という前提をほとんど疑っていなかった。
実際、C-MAXでもBMWでも
ロイヤルパープルHPSを使ってきたし、
フィーリングに不満を感じたことは一度もなかった。
だからこそ
少し気になって調べ直してみた時、
ちょっとした違和感を覚えた。
ロイヤルパープルHPSは
一般にPAOベースだと思われがちだけれど、
実際にはVHVIを主体にエステルを組み合わせた設計である可能性が高い。
という情報がいくつも出てきた。
えぇ?
ただ、不思議なことに
それを知った瞬間に
「じゃあこのオイルはダメだ」
とはまったく思わなかった。
これまで感じてきた
エンジンの回り方や
温まった後の滑らかさが
急に変わるわけでもない。
ここで言うフィーリングとは、
単に「気持ちいい・悪い」という話ではない。
なぜそう感じたのかを
あとから振り返ってみるための
その入口の話でもある。
結局、私が体感していたものは
ベースオイル“だけ”の話ではなかった
ということなのだと思う。
少し立ち止まって考えてみる。
一般的な使い方
街乗りや高速道路が中心の条件で
ベースオイルの「序列」を
どこまで気にする必要があるのだろうか。
もちろん
設計思想や耐久性、
極端な高温・高負荷の話になれば
意味を持つ場面もある。
ただ、日常的な使い方においては
オイル全体の設計や
交換サイクルの方が
よほど影響が大きいようにも感じている。
少なくとも私は
ベースオイルの正体がおそらく
PAOではないと知った後も
フィーリングや走りが
変わることはなかった。
それはつまり
私が見ているポイントは
ベースオイルの種類そのものではなく
もっと別のところにあった
ということなのかもしれない。
次はこの「ベースオイル神話」について
もう少しだけ整理してみようと思う。
※規格や用語については
今後別でまとめようと思います。
少し脱線する話しも別枠で書こうかな。
Posted at 2026/01/28 10:23:42 | |
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2026年01月26日
真面目モードで行くよー
第1回
エンジンオイルは「正解」より「考え方」
エンジンオイルの話になると、
なぜか極端な意見をよく見かける。
「これが最強」
「純正以外は危険」
「入れた瞬間に激変した」
読めば読むほど
結局どれを選べばいいのか分からなくなる。
そんな経験がある人も多いと思う。
でも実際には、
エンジンオイル選びは
そこまで難しい話ではない。
オイル選びは3つの軸で考える
まず押さえておきたいのは、この3つだけだ。
① 規格
API、ILSAC、ACEA、メーカー承認。
これは「性能の優劣」を示すものではなく、
エンジンを壊さないための最低条件。
② 粘度
油膜の厚みや抵抗感に関わる要素。
フィーリングへの影響は大きいが、
まずはメーカー指定粘度から外れないのが無難だ。
③ 使い方
街乗りが中心なのか、高速走行が多いのか。
走行距離や回し方によって、
向き不向きは自然と変わってくる。
この3つを押さえていれば、
オイル選びで大きく外すことはほとんどない。
同じ規格でも違いは出る
よくある誤解の一つが、
「同じ規格なら中身は同じ」という考え方だ。
実際には、
ベースオイルや添加剤の設計はメーカーごとに違う。
そのため、規格と粘度を守っていても
フィーリングが変わることは珍しくない。
これは気のせいでも、オカルトでもない。
実体験から感じたこと
BMWでは、
純正オイルから別銘柄に替えたとき、
回転の立ち上がりや音の印象が確かに変わった。
ただしそれは、
「良くなった」「悪くなった」というより、
エンジンの性格が変わった
と表現した方が近い。
軽く回る=正解、
静か=エンジンに優しい、
という単純な話ではないと感じた瞬間だった。
正解探しより納得できる選び方を
エンジンオイルに
万人共通の「正解」はない。
大切なのは、
規格を守り、粘度を外さず、
自分の使い方に合ったものを
納得して選ぶこと。
そして何より重要なのは、
銘柄よりも定期的に交換することだ。
次回予告
オイルを替えると
「回る」「重い」「静かになった」と感じることがある。
それは気のせいなのか、
それとも理由があるのか。
次回は
エンジンオイルのフィーリングについて、
もう少しだけ踏み込んでみたい。
(不定期連載)
ふぅ😮💨
続けられるかな…
早くもくじけそうになって後悔してるという
Posted at 2026/01/27 00:23:30 | |
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