
ザザーッ
そんな激しい雨音で2日目の朝、目が覚める。
しかし、まだいくらなんでも早いだろう。
iPhoneの目覚ましも鳴ってないしと、二度寝を決め込むことにする。
雨の心配より眠気が勝るのは仕方ない。
6:30、iPhoneの音で目覚める。
カーテンを開けて外の様子を確認すると、市街はしっとりと雨に濡れていたが
曇り空ではあるものの雨は降っていないようだ。
昨夜見た天気予報では曇りのち雨で降水確率は90%だったので、
今だけでも降っていないのは儲けものと思っておこう。
ホテルで朝食をとってから離島ターミナルへ出発。
集合時間の15分前に到着し、西表島観光センターのカウンターで2人分の料金を支払う。
約7分も遅れて係りの者が到着し、参加者を集合させて外に誘導する。
ここでも船の出発が遅れるちょっとしたトラブルがあったが、
さほど大したことなく離島行きの船に乗り込み、船が出発。

●雨に濡れた石垣市内

●西表島へ渡る船は高速船タイプ。
依然、曇り空だが、結構明るく、時折晴れ間ものぞくので天候は期待できそうだ。
さて、石垣港を出発し、約40分の航行で西表島の大原港に到着。
下船し、トイレ休憩ほどの時間ですぐに指定のバスに乗り込む。
我々が行くのは西表島観光センターのパンフによると、
「Bコース / 由布島とマリユドの滝・カンビレーの滝」というコースで、
石垣港→大原港→浦内川ボート遊覧→マリユドの滝・カンビレーの滝までのトレッキング→
昼食→星砂の浜→由布島(水牛車にて由布島へ渡り、植物園などを観光)→
大原港→石垣港という盛りだくさんの内容になっている。
これで石垣港帰着は17:40分となっているので、今日一日はこれで終わるだろう。
ところで、この観光バスには専門のガイドさんはついて居ないらしい。
と言うのも、出発して間もなく、運転手さんが運転しながらガイドすると宣言したからである。
(おいおい運転しながらで大丈夫かいな?)と、思ったが、
存外にこの運転手さんがおもしろかった。
出身がここ西表島で、本業は酪農をやってるらしい。
当然だが西表島のことは、表も裏も詳しく、
地元の方らしい皮肉も交えつつ、笑いを取りながら、
朴訥とした語り口で解説してくれるのだ。
たとえば、有名な「イリオモテヤマネコ飛び出し注意」の標識が道路上で見えると
「あんな標識は嘘っぱちです。飛び出して来るほど居ませんから」とか、
車に轢かれないよう道路下をくぐるトンネルみたいなものをカメラ付きで各道路に設置してるが、
ほとんど写ってるのはその穴をのぞいてる観光客だとか。
また、西表島では「ネコは登録制」になっていて、石垣島まで登録しにいかなければいけないとか
(交配の危惧ではなくネコエイズの防止のためらしい)、
島に2カ所ある信号は、子どもたちの教材として設置しているだけだとか、
色々と裏話も聞けてまさにガイドさんが居なくても十分満足したのだった。
さて、ガイドさん(?)の楽しいガイドを聞きながらバスで走ること約1時間、
浦内川の遊覧船乗り場に約10:20ぐらいに到着。
ここでもまたトイレ休憩もそこそこに、遊覧船に乗らなければいけないらしい。
バスの運転手さんからも、
「西表島の人たちは、何かの会合は平気で1時間ほど遅れて始まるのに、
浦内川の遊覧船の時間だけは定刻に出航する」ので、
時間にはくれぐれも気を付けるようにと、ジョーク交じりで注意を受ける。
何せ出航が10:30なのだ。何とも慌ただしいこと甚だしい(言いにくいな)。

●浦内川ジャングルクルーズ 遊覧船乗り場

●浦内川ジャングルクルーズ船
遊覧船に乗り込み出発。
浦内川を上流へと進むと、すぐにマングローブの群生林が見えてくる。
船の操縦士(?)がマイク片手にガイドを始める。
うん?西表島では運転手がガイドするのは当たり前なのだな。
この操縦士も若いけどアンチョコなしでガイドしてるが、
惜しむらくは抑揚のない話し方で、熱意が見受けられないことか。
先ほどの運転手との違いは、同じように抑揚のない話し方でも
皮肉や笑いのネタなどをちりばめることで“味”や“個性”に変えてることか。
まぁ、若いし、仕方ないか。
と、そんなことをツラツラと思いながらも手にはデジカメを持ち、
ポイントポイントでしっかりシャッターを切る私。
天気も回復気味で晴れ間もけっこう出始めるしで
秘境ムードは満点!! 気分は恐竜島を探検するグラン○博士か
ムチを持った冒険好きな考古学者である。

●浦内川のマングローブ群生林、マングローブは木の名前ではなく種類の名前だそうだ

●川は山を縫うようにうねって走りジャングルムードは満点!
よもや私が石垣島や西表島に来るなんて、20年前には思いもしなかったな…
うん、何とも感慨深いものがあるな。
というのも、私が29才~41才まで所属した会社では、
JTBの「沖縄」というパンフレットを制作しており、
そこで私は売り文句のキャッチフレーズやイメージコピー、
掲載されていたホテルの紹介やオプショナルツアーの紹介まで
ほとんどすべてをコピーライティングしていたのである。
もちろん、コピーを書くだけで現地へ行かせてもらえるはずもなく、
あらゆる方法で調べ、書き上げていた。
したがって、行ったこともないホテル、観光ポイントをけっこう知っていたりして、
ここ石垣島、西表島も沖縄のオプショナルツアーとして紹介コピーを書いていたのだ。
その時はまさか自分がここに来るなんて少しも思わなかったが。。。
話をもどそう。
遊覧船は約30分で上流の船着き場へ到着。
ここからマリユドの滝・カンビレーの滝まで山道をトレッキングしていく。
その所要時間は片道45分。
そして船頭さんが告げた戻る時間は12:45分で、現在時刻は11:00。
山道がどれだけのものかわからないが、
休憩なしで滝へたどり着き、すぐに帰っても15分の余裕しかない計算だ。

●上流の船着き場、けっこう適当な作りである
一緒に同乗して来た人たちはさっそくトレッキングに向かい始める。
しかし、この片道45分、いくらなんでもゆっくり歩いての時間じゃないか?
そう思った私は記念撮影なんかをしながらみんなのあとを行く。
すると、みなさんけっこうな速度(具体的にいうと通勤時に歩く速度並み)で
足場が悪い山道を進んでいくではないか!?
そして、写真を撮っているうちに多分最下位ぐらいになったのだろう、後続が来なくなった。
妻が怒り出す。
このままじゃ間に合わないだろうと。
確かに、あの45分という数字があの速度での数字なら、
私たちも急がないと間に合わなくなる。
速度を上げる。
伊達に近畿圏のハイキングコース(温泉付き)を巡って鍛え、
屋久島の8時間トレッキングで縄文杉を見てきたわけじゃない。
しばらく進むと、前方のグループが見え始める。
少し息が上がり気味だが、それを押し隠して丁寧に追い越す。
そしてスキがあれば写真を撮る。
自然と闘い、時間とも闘う、凄いコースだここは。。。

●滝までのジャングルトレッキング道、けっこう高低差もあって本格的!

●片側は柵もなく崖なので落ちたら無事では済まない…

●目標の滝ではないが、途中にいかにもジャングルチックな小さい滝がある
12:00頃、マリユドの滝に着く。ここは滝の周囲までは行けず、
展望台からその迫力の眺望を楽しむ。
写真撮影もそこそこに、次のポイント、カンビレーの滝へ向かう。

●展望台から望むマリユドの滝。事故が続発したため近づけなくなったとか。
ズンズン進んでいくと、約15分ほどでカンビレーの滝に到着。
時間的にちょうど昼なので、みなさん滝の近くでお弁当を広げている。
こっちはツアーなので昼食はまだ先になるのに。。。
ここでも写真を数枚撮っていると、愛妻のお叱りが来た。
曰く、もう時間だと。同じバスで来た人たちはここにはもういないと。
え。。。そういわれてみると確かに。。。
時間がないことを失念していたようだ。
しかし、ここに来て5分も経過していないが、何とも慌ただしい。

●滝というより渓谷の急流という感じのカンビレーの滝
現時刻は12:00を少しまわったところ。
このままではギリギリか。
妻はムキになって歩く。すると、滝の岩場でツルリ。滑って転んだ。
当然不機嫌になって、転んだのは時間を忘れて写真と撮っていた私にも原因があると責める。
私はそれを甘んじて受け、とにかく先に進むことを心がけた。
ぐんぐんと帰り道を進む。下りなのでけっこうな速度で進めた。
そんな時にまた妻がツルリ。こけた。
また、妻の機嫌が悪くなり、私を責め始める。
私はそれも黙って受け止める。それが夫の務めなのだろう。
結局、かなりな速度で戻って来たので乗り場には5分前ぐらいに到着できた。
しかし、二人とも汗だくになったのは言うまでもない。
帰りの遊覧船でも懲りずに写真を撮りながら、無事バスの元まで戻り、乗車。
昼食場所のレストランへ向かい、昼食をとったあと「星砂の浜」へ向かうのだった。
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※長くなったので、PART3へ続く