2012年09月23日
アルミとフェラーリ・前篇
私がiPhoneへのフラストレーションから買い漁っている雑誌の中でデカデカと取り上げられているフェラーリがある。
その名も、フェラーリF12ベルリネッタである。
スポーツカーにも押し寄せているハイブリッド化の波でカーボンの骨格への使用が進んでいるが、フェラーリはアルミに拘っている。何故か。
どうやらアルミの修復性の高さとカーボンの問題点の多さがマラネロの研究陣の一つの答えだそうだ。
もともとアルミボディにはモノコック型とスペースフレーム型がある。前者の代表例としてNSX、後者のパイオニアとしてアウディのASFが有名だが、今現在アルミボディといえば後者が圧倒的である。
前者の方がボディ剛性面で評価が高かったが、後者はアルミボディのエキスパートであるアルコア社により採用が増えノウハウも蓄積されたのが一因だろう。フェラーリも後者のパターンであり、またアルコア社を強大なメインサプライヤーとして迎えている。360モデナを皮切りにほぼ全車をアルミスペースフレーム車にしており、12気筒も例外ではない。
360モデナの次にアルミボディになったのが612である。612の先代であった456もフェラーリのフラッグシップがFRに回帰したと十分話題性があり、1994年にはベストモータリングのスーパーバトルに登場している。正直、456の自然体の80型に似たふくよかなデザインは好きであったが、思春期の雑誌を買い漁ってた時期に612がデビューした際はアルミボディの採用にリアルタイムで驚いた記憶がある。見た目の好き嫌いは別として、フェラーリのアルミスペースフレーム推進運動は勢いを増した。
日本の雑誌ではアルミボディのフェラーリへの一部の賞賛ぶりが熱を帯びているが、実は海外だと話は違う。特にオートカーはフェラーリに厳しく、フェラーリ599よりR35GT-Rの方がボディ剛性が高いとの結論を出している程である。
そのアルミスペースフレームを供給してきたアルコア社もスペースフレームが第3世代に差し掛かったという。先代の599の汚名を晴らすべく、F12ベルリネッタも最新世代を採用した。さらにスペースフレームに使う素材を見直した結果高剛性化と軽量化を達成したとのこと。
ところで、話は少々逸れるが何故アルミボディを使うのか。アルミは鉄より弱いではないか!という疑問も少なからず私にはあった。何故アルミは鉄よりいいのか。ロッソの最新号がそれを紐解いてくれた。
ここからはかなりロッソ2012年10月号を参考どころかパクっているので、先にロッソの方々には厚く感謝の意を表したい。
アルミの剛性は鉄の1/3だが、比重も1/3である。剛性を鉄のレベルまで得るには板厚を増す必要がある。
例えば曲げ剛性を例にとる。鉄の板厚を1とすると、剛性は板厚の3乗に比例するので、アルミの板厚は3^(1/3)=1.44となる。鉄の重さを1とすると、重さは比重と板厚の積(正確には板厚ではなく体積との積になるが、板厚以外の長さを変えないという条件を付けたのでこの表現に)なるので1.44と1/3の積は約0.48となりアルミは鉄の半分の重さで済むという結果に至る。ただし、板厚が増えるデメリットとして室内空間を圧迫してしまう。
セダンクラスでアルミボディ車が希少なのもこれが一因なのかもしれない。
F12ベルリネッタのさらなる詳細については次回取り上げるが、NSXがどの素材をボディの骨格に使うか。NSXのボディを設計した現社長の思いがどこまで開発陣に影響を及ぼすか、私の期待と不安は深まる。
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Posted at
2012/09/23 01:43:21
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