2012年12月15日
少々大袈裟な題名だが、早速始めたい。
今回このテーマをこの時期に取り上げる要因として、欧州勢で当たり前のように「2リッター直4ターボ」が使われていることが挙げられる。さらに「大排気量」の代表格であったジャガーまでもこの形式のエンジン使用のモデルをリリースするということだから、激変以外の何物でもない。
そのジャガーは、つい最近フラッグシップのXJに2リッター直4ターボと3リッターV6スーパーチャージャーの仕様をリリースすると発表した。既に海外で試乗会が行われており、清水和夫氏は既に試乗レポートを複数の媒体を介して取り上げており絶賛している。
この2つのエンジンの代わりにXJからは3リッターV6と5リッタ-V8のNAがフェードアウトする。特に5リッターエンジンは確か現在のXJのデビューと同時にリリースされたから新しい部類になるはずだから私もこの一報を聞いた時は驚きを隠せなかった。
「選ぶことは捨てること」はこのことなのか。
しかし、この2リッター直4ターボ、一体どこから登場したのか。実はランドローバーのイヴォークにも搭載されている。つまり、フォードのエコブースト(2リッター直4版)である。以前はジャガーもランドローバーもフォードグループに属していたがフォードの経営不振で資本提携が無くなってしまった。しかし、どうやら技術提携は継続しているようでそれが今回の搭載につながっているようである。
このエンジンはパワーが240ps/5500rpm、トルクは340Nm/2000~4000rpmであるが以前の3リッターV6NAのパワーが243ps/6800rpm、トルクが300Nm/3500rpmなのでこれはNAをパワーアップした方がいいと思った。しかし、ジャガーは「割り切って」考えているのだろう。
おそらくEURO6対策もあるだろうが、「パワーよりトルク」と考えたに違いない。さらにはアルミボディの軽量さで十分だと考えているのだろう。
このエコブーストは可変バルブリフトこそ装着されてないものの、ターボチャージャーとエキマニを一体化し板金化したことが最大の特筆点となり、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤーの大賞を貰った名機である。アメリカからやってきた「ダウンサイジングエンジン」の代表格として差し支えないだろう。タービンはハネウェル傘下の大御所・ギャレット製であり、IHIと三菱の情けなさを見せつけられる。
ちなみにハネウェルはロータスF1のタイトルスポンサーの噂があるくらいだから、いかにギャレットが元気かがよくわかる。
ギャレットとシェアを争うボルグワーナー(旧KKK)も黙っていられないだろう。
一方、5リッターV8NAの代替としてリリースされる3リッターV6SC(スーパーチャージャー)はおそらく自社開発だろう。5リッターV8NAはパワーが385ps/6500rpm、トルクが515Nm/3500rpmなのに対し3リッターV6SCはパワーが340ps/6500rpm、トルクが450Nm/3500~5000rpmなので少々劣化を否めない。SCはイートン製のルーツ式だが、これがHKSの遠心式だったからもう少し環境性能を損なわずに性能向上が図れたのではと思う。ジャガーとイートンの関係は恐らく蜜月だからHKSは厳しいのであろうが、HKSの遠心式は素晴らしいので勿体無いとつくづく感じる。
HKSがIHIと三菱と手を組んで市販車の市場に参入するとなれば、私は手を広げて大歓迎したい。
少々どころが大胆な今回のジャガーの戦略であったが、3リッターV6SCに関しては少々小粒感は否めないというのが感想である。5リッターV8NAを4リッターV8NAにダウンサイジングした方がいいと私は思うのだが・・・。
最終回にまた書くが、何も「ダウンサイジング=過給機」に固執しなくてもいいのではないだろうか。
その固執にとらわれず独自の路線でダウンサイジングを成し遂げたポルシェを次回取り上げたい。
Posted at 2012/12/15 02:52:53 | |
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