2012年12月27日
さて、そろそろ結論に入ろう。
前回ポルシェを取り上げた訳だが、何故ポルシェを取り上げたのか・・・
はっきり言えば、環境性能の求め方をスポーツカーとそれ以外の車で一緒にする必要はないという私の持論を持ち出す為である。
そもそも今の過給機付きのダウンサイジングまで決して環境性能を求めていなかった訳ではない。この流れの前まで殆どのメーカーがNAエンジンを大排気量化して出力を上げながら燃費をも向上させていた流れがあったのをどのぐらいの方がご存じであろうか。この時日本ではプリウスが崇め始められていたが、海外ではスポーツカーを中心にパワーウォーズが繰り広げられていた。
人間たるもの、環境性能を必要と感じる一方で二酸化炭素吐き散らしてまでもパワーを楽しみ求めるという矛盾を表していた時代であった。もちろんパワーを出しながら環境規制は厳しかったので二酸化炭素の量は意外と少なかったが。
つまり、今の過給機付きダウンサイジング時代の前にどのくらい大排気量NAで真面目にエンジン創りをして来たかが今に響いている。ガソリンエンジンで今トップランナーのBMWやVWもNAエンジンで環境性能を上げることをしていった。
この大排気量化の手法はフェラーリやランボルギーニでは今でも使われている。
次に、ターボなどの過給機を付ける弱点を揉み消してまでダウンサイジングを押し付けるダウンサイジング推進派への疑問である。過給機を付けると重くなる。ターボラグがありトルクのフラットさがNAより劣る。これらの弱点はスポーツカーにとっては致命的である。今の過給機付きエンジンは出来るだけNAに近い特性にしようと研究されているが、スポーツカーにおいてこれらを克服しているエンジンは少ないのが現状であろう。スポーツカーにおいてエンジンレスポンスの悪さは嫌われる。
パワーとトルクが上がり環境性能も上がるのであれば何も過給機に固執する必要はなかろうか。
さらに、ダウンサイジングそもそもの考え方にも違和感を覚えることが多々ある。本当にエンジンだけをダウンサイジングしていいのか。
エンジン云々以前にボディのサイズを考えたい。地球全体における人間の平均身長が年々高くなっている理由でボディサイズが拡大するのは理解出来るが、数年前までアメリカ市場を意識し過ぎたせいかボディサイズの過大な肥大化が目立っていた。それに伴い重量も随分増えてしまった。
この流れを猛省すべく、今のメーカー(特にドイツメーカー)はボディサイズの拡大を最小限にしながら軽量化に奔走している。過給機付きダウンサイジングも同時期に始まった。
つまり、ただエンジンだけをダウンサイジングする訳ではなく重量をも軽量化していくのが本当のダウンサイジングではなかろうか。日本のメーカーがこれからダウンサイジングをするにあたって1番の懸念材料がそこだと私は信じて止まない。
とどめは、日本の道路事情である。欧州ほど高速巡行は出来ないのが現状である。ハイブリッドとCVTが日本の車のガラパゴス化に拍車を掛けたと言う人もいるが、ガラパゴス化になっても仕方がない。
この現状を逆手に取って、欧州に負けない良さを持った日本車が生まれて欲しい。
せめてボディ関連は欧州から学びとって欲しいものはあるが。
私の高校時代の世界史の先生がかつてこう言った。
「歴史を何故学ぶのか。それは歴史は繰り返されるものだから。」
よく考えるとターボもかつて同じコンセプトで流行っていた時代があったそうだ。F1もターボの時代があった。
そしてまたターボの時代。こうなると果たしてNAを見下していいのか・・・。
環境性能と動力性能を向上させる方法は様々ある。
だからこそ、ターボだけに注視せず色々な方法で車をこれから進化させて欲しい。
以上をもって私の2012年現在でのダウンサイジング論に幕を下ろしたい。
最後までご覧になられた方々に深く御礼を申し上げたい。
Posted at 2012/12/27 23:46:02 | |
トラックバック(0) |
ダウンサイジング関連 | 日記