さて、終わりに向かいたい。
VWに完全に乗せられた私は、間もなくMBに向かった。ついでに折角だから、Cクラスにも試乗しよう!
なぜ、Cクラスなのか。それは昨年初めてガンさんにお会いした際にご本人が仰った一言がきっかけである。
「Cクラスの質感には、スカイラインは及ばない。」
詳しくは当時のブログ(https://minkara.carview.co.jp/userid/1562726/blog/27925463/)を参照して頂くと有難い。この事が随分と頭にあり、久々にFRをドライブしたい事も重なって足を運ぶ事にした。
フィットでMBに行く勇気が相当必要だったのはここだけの秘密である(笑)。
大人気のCクラスはC180アヴァンギャルドが試乗車として確保できた。
コースはA180スポーツと共通である。40M道路(といっていいかは不明だが)の新川バスターミナル付近から港沿いに向かい、ディーラーに帰るパターンである。
ゴルフの時よりは平均速度が落ちるものの、荒れた路面が多い。
ドラポジを取る時、まず驚いたのがドラポジの自由度である。なかなかいい。シートはゴルフに近い感じである。
さらに、エンジンをかけステアリングを回した瞬間驚いた!
なんとまあ重ステなことである!私の勝手なイメージであったが、「ベンツのステアリングはそんなに重くない」と勘違いしていたために仰天。
すっかり「ベンツ=ナイスミドル」のイメージがあるが、この操舵力は寧ろ若者向きと私は考えている。ステアリングワークの練習に使えばもはや筋トレにも使えるだろう。「ベンツは年を取ってから」という声もあるかもしれないが、それまでに体力を落とさないようにしないとなあ、と思った。
しかし速度が乗るとゴルフと同じくらいステアリングフィールが豊富である。かなりクイックなステアリングであるが、「スポーツカー」として考えればいいだろう。適度にダルな所もあるが、ゴルフ程ではない。
225/45R17というタイヤサイズながら、これも車全体の「減衰力」が高い。おそらくボディやダンパーのバランスが高次元でまとめられているのだろう。
1.8L直4ターボの7AT(トルコン)という組み合わせは、小気味よく1500kg以上の車体を加速させる。ブレーキもリニア感があり、なかなかいい。
アイドリングストップはないが、不満はない。
ゴルフと同等の手応えを感じたが、FFと比べると後部座席は狭い。FRの中では平均的だが、スカイラインよりはフットスペースは狭い。シート等はいいので、これは体格により意見が分かれる。
「ぶつぶつ言うな」という声もあるだろうが、前席を後ろ一杯まで倒されると辛い。
とはいえ、ステアリングフィールをはじめ走りはFRの良さが出ている。もはや86よりもスポーティである。回頭性も自然でいい。それだけにパッケージングがなあ・・・、と考えてしまう。小回りが変わらない範囲でホイースベースを拡大した新型の登場を待ちたい。
後部座席をあまり重視しないのであれば、私は「4ドアスポーツカー」としてお勧めしたい。
さていよいよAクラスである。試乗車はスポーツ仕様で225/40R18のGY製ランフラットタイヤ(EAGLE F1)を装着している。
エンジンをかけてシートブルトのプリテンションが「自然」に作動するのは非常にいい。しかし、どう見てもコラムシフトが私には理解に苦しむ。
操作を間違えるドライバーが多いのか黄色のステッカーが貼られているが、何せ「取ってつけた」ようなデザインが気に食わない。
Cクラス以上に重いステアリングだが、ステアリングフィールのダイレクト感もCクラス以上である。今回の試乗の中で1番のダイレクト感かもしれない。
その代わりダルな部分がないので、ゴルフ派では意見が分かれるだろう。
この車の最大の美点は、「アイドリングストップの静寂性」である。実際、ブレーキのフィールが自然なこともあるが、私自身最後までアイドリングストップの瞬間が停止時はわからなかった。とにかくエンジンの振動が少なく、停止時のブレーキもタッチが恐ろしくいい。この点はゴルフに勝る。
ボディの「減衰力」に関してはCクラス以上であり、総じてバタつきは少ない。しかしタイヤのエアボリュームが荒れた路面では足りない、若しくはランフラットによりタイヤが硬い様に思える。廉価版の225/45R17であれば丁度のバランスであろうが、18インチはサーキット向きと考えたい。
1.6Lターボや7DCTの「ゴルフに比べるとちょっとやんちゃ」な感覚なのもあり、この車を「ファミリーカー」として考えるには「?」が付く。
「?」が付くのは後部座席にも現れている。フットスペースがFFベースの割に狭く、Cクラスより僅かに広い程度である。アクセラのように前席の掘り込みがあるお蔭で見た目よりは広いが、このクラスにしてはハッキリ言って「狭い」!
ラゲッジスペースも使い勝手は寧ろCクラスの方がいい。どうやら、この車を「ファミリーカー」として考えるには、ゴルフの方が上のような気がする。
さて、いよいよ選考に入りたい。ズバリ、ゴルフⅦとC180の一気討ちである。
非常に迷うが、私がやるロングドライブのパターンである「四国横断の帰省ルート」で決めたい。コースはスタート時点を八幡浜港、ゴールを龍河洞とした松山道・高知道経由の3時間ルートである。逆方向でもいいだろう。
途中、松山道の石鎚山SAで休憩を必ず挟むのを条件としたい。
このルートで求められるのは、登板能力を含めた試乗で私が求めるもの全てである。八幡浜港から松山道入口までのR197では、低速走行あり・工事による凸凹あり・アップダウンありというものである。松山道ではアップダウンが多いので登板能力とエンジンブレーキの効き。高知道では川之江JCTから南国ICまでトンネルが19本もある(最長は明神トンネルの4300m)。加えて路面も宜しくないので、必然的に疲労も溜まるので「いかにドライバーが疲れないか」が問われる。疲労度に関しては、実質この高知道で決まるであろう。
まず登板能力に関しては2台ともいいが、C180の方がパワーがあるのでゴルフの方が一見辛い。しかし、C180に比べ200kg以上軽いボディのお蔭でC180も圧勝とはいかない。
市街地でのブレーキの利きだが、これはゴルフの方が少し気を使うのでC180がいい。ただ、時間帯によって八幡浜市街の渋滞は酷く巡航スピードも遅いので燃費面ではゴルフの勝ちであろう。
そして最も重視したい疲労度である。C180であるが、バランスが良く不満はない。適度にスポーティであり、減衰力もすごいので疲れはあまりないだろう。
一方のゴルフ、減衰力ではC180といい勝負だがステアリングの操舵力が・・・。
とにかく「絶妙なダルさ」がC180よりもあり、腕への負担がより少ない。
もう結論はお分かりであろう。非常に迷うが、今回の「俺のカー・オブ・ザ・イヤー 」大賞は・・・「ゴルフⅦ」である!超ハイテン鋼を巧みに使い、いい加減トップクラスであったボディをさらに進化させ軽量かつ減衰力の高いボディに仕上げた企業努力。そしてこのボディがエントリーで300万円以下で手に入るコスパの高さ。以上が決定的な選考理由である。
C180も非常にいいが、「Aクラスのアイドリングストップの良さを考えると次期型に期待したい」ということで特別賞の方にしよう。
「Most of Fun賞」はC180、「テクノロジー賞」はA180のアイドリングストップである。
「Design for money賞」にはアクセラ、フィットには「もっと頑張りま賞」を勝手に贈りたい(笑)。
以上で締めくくりたいが、ゴルフⅦとC180の良さにはホントに驚いた。
モデル末期にしてまるで「完成されたスポーツカー」のような感動をもたらしてくれたC180。まだ熟成の余地はあるが、それでも完成度の高い「お手本のような」走りとパッケージを持つゴルフⅦ。この2車には最大限の拍手をしよう。
アクセラは是非、ボディを重点的に「減衰力」を高めたモデルとして成長してほしい。
そうすれば、「欧州車との10年以上の差」がグーンと縮まるであろう。