今回は先週月曜に行われた古賀典被告人の裁判傍聴記。
重過失傷害事件の内容は逮捕時の記事から。
公園で放した飼い犬のドーベルマンが大学生に噛み付き、怪我を
させたとして古賀典容疑者(42)を逮捕した。
「放していないし、犬も噛んでない」と容疑を否認しているという。
逮捕容疑は昨年11月9日午前6時半ごろ、渋谷区の代々木公園で、ドーベルマン1頭を
引き綱を外して走り回らせた結果、ランニング中の男子大学生(20)の右足に噛み付き
2週間の怪我をさせた疑い。
古賀容疑者のドーベルマンは体長1メートルを超えるメスで、警視庁は凶暴な
大型犬をずさんに管理し、怪我をさせたのは重過失傷害に当たると判断した。
飼い犬の事故で同容疑を適用するのは極めて異例という。
かなり変わった内容の事件です。
しかも、否認。本当に違う犬に噛まれたのか、被害者がウソを言っているのか、どういうことなのか。
まずは、6月5日の初公判。
検察官が、前の裁判が延びて遅刻して法廷に到着していないのに、裁判官「被告人は証言台へ。
名前は?」と、人定質問スタート。形式的な質問ではあるんだけど、検察官なしでやってもいいのか。
人定質問を終えると、
裁判官「では、検察官が起訴状を読み上げますから......って、おい、いないか!」
と、長~い乗りツッコミ。
どうやら検察官が遅刻してることに気づいてなかったようです。
事件が珍しければ、裁判も珍しいことが起こるのかも知れません。
5分後、検察官が到着して、再スタート。
起訴されたのは、報道の通り。
これに対し、被告人は罪状認否で、被告人「怪我を負わせたのは事実ですが、
噛み付いたときは鎖が付いていました」と、犬が大学生を噛んだことは認めていました。
否認じゃないのか。
検察官の冒頭陳述によると、被告人は犯行前から代々木公園で飼い犬のドーベルマンを
放して、ボール遊びなどを日常的にしていたらしい。
去年の2月~4月の間、ドーベルマンが公園にいる人に噛み付くなど、
3回の事故を起こしているという。
犯行当日、ドーベルマンは被害者の背後から近づいて右太ももを噛んだらしい。
調べに対し、被害者は「去年9月からトレーニングをしていて、被告人には危険だと
一度注意したが、うやむやになった」と述べているという。
どうやら、今までもドーベルマンが人を噛むトラブルはあって、被害者も一度は
話して遊ぶのを注意していたようです。
初公判は、検察官の証拠だけで終了。
先週月曜日の第2回公判。
被告人の姉が、情状証人として出廷し、専門家から話を伺って飼い方を改めさせると誓っていました。
そして、被告人質問。まずは、弁護人から。
弁護人「いつから代々木公園を利用してました?」
被告人「去年からです」
弁護人「なぜ、行ってたんですか?」
被告人「ドッグランがあるのですが、そこの前の芝生で早朝に放し飼いにする人たちがいて、ルール違反なんですけど、それで私も」
どうやら、公園が禁止してる放し飼いが被告人より前から日常的に行われていたようです。
弁護人「被害者と知り合ったのはいつですか?」
被告人「去年の夏の終わりです」
弁護人「その時、被害者が運動を始めたので、ドッグランの前の芝生から他の場所に移動した、と」
被告人「今回の現場になります、丘の広場に移動しました」
弁護人「すると、被害者ともう一人の友人が丘の広場の方へ移動してきたそうですね」
被告人「はい。"向こうで運動してたんじゃないの?"と声を掛けると、"どこで運動してもいいでしょ。そもそも放し飼いは禁止されていますよ"と言われました」
弁護人「それで、どうしました?」
被告人「もっともだと思いましたが、広いのでボール遊びさせて欲しいとお願いしまして、私は朝6時30分まで使う、被害者の方はそれ以降使うと。お互いの間で約束しました」
被害者は公園の管理人じゃないんから、ここでルールを決めても困るんだけど、
被害者としては自分の運動を邪魔しない時間だったらと黙認してくれたようです。
弁護人「その後、時間は守ってましたか?」
被告人「被害者の方が来る時間が、6時25分、6時20分......と、どんどん早くなってましたが、私は文句言えませんでした」
弁護人「当日は?」
被告人「私は6時過ぎに到着してエバ(ドーベルマンの名前)を遊ばせていました。すると、被害者の方が来たので片付けました」
どうやら、すぐ片づけを始めて、その時にリードから手を離し、ドーベルマンが
被害者に噛み付いたということらしい。
弁護人「今は罪を認めていますが、逮捕当初否認してたのはなぜですか?」
被告人「取り調べの刑事さんが、キツイ言い方で、"君のドーベルマンが怪我をさせたんだ。けしかけたんだろ"って。さらに、"これは殺処分になる"と。それで否認するしかないと決めてしまいました」
弁護人「エバちゃんはどんな存在ですか?」
被告人「子供です」
弁護人「警察犬協議会に所属してて、優秀な成績も残してたチャンピオン犬だった?」
被告人「はい......」
弁護人「それが殺処分と言われて、否認したと」
被告人「はい(泣)」
と、当時を思い出したのか泣き出す被告人。天秤にかけられた結果、犬に負けた被害者の方が泣きたい気分だと思うけど。この後は、謝罪の気持ちを正直に述べ、示談交渉中だとアピールして質問終了。
次は、検察官から。
検察官「当日ですけど、ドーベルマンや被害者の動きは注意してました?」
被告人「はい。近くにいるのを確認してました」
検察官「調書によると、"ボーッとして、リードから手が離れた"とありますが」
被告人「あったかも知れません」
検察官「他には"リードを地面に置いた"と」
被告人「そうです」
と、全く注意してなかったとアピールです。
検察官「この事件後、保険会社に電話してますよね」
被告人「はい。2回ですね」
検察官「その保険会社にいろいろ確認した後に、被害者に"自分の犬に噛まれたことにして欲しい"って提案してませんか?」
被告人「いやぁ、あのぉ、自分とか知り合いの犬と言えば保険が効くけど、第三者の犬だと保険おりません、と」
検察官「あと、被害者は太ももを噛まれたので、その月に予定されていたマラソンに出れなくなったんですよ。どう思ってるんですか?」
被告人「大変申し訳ないです。大会はもう戻ってこないわけですし」
検察官「マラソン出れなくなったこともわかってて、噛んでないって否認してたんですよね」
被告人「はい......」
と、自分の気持ちを優先して否認してたのは、さらに悪質と主張して、質問終了です。
最後は、裁判官から。
裁判官「あの~、今、犬は?」
殺処分を逃れるために否認して、今は素直に認めてるんだから、酷な質問する
裁判官だなぁと思ってたら、
被告人「家にいます」
裁判官「同居してる男性が飼ってるの?」
被告人「(拘置所にいて見てないが)らしいです」
とのこと。
人を噛んだ犬を殺処分するというのは、警察の脅しだったようですね。
その脅しが否認させるキッカケなんだから、誰も得しない嘘だよなぁ。
裁判官「噛んだことは認めるけど、当日の行動とか被害者と言い分違うのは知ってる?」
被告人「すごく違うのは知ってます」
と、暗に被害者が示談に応じてくれないのはそういうところにもあるだろうと伝えて、質問終了。
この後、検察官が懲役8月を求刑して閉廷でした。
そして、今週火曜の判決。
結果は、懲役8月執行猶予3年でした。
この日までに被害者と100万円で示談が成立したこと、被告人に同種
前科がないことが執行猶予付き判決になったようです。
裁判官が最後に、
裁判官「元々の原因は、あなたの犬を飼うマナーが出来てなかったこと。
子供のしつけが出来てないのと同じだと考えました。社会人としてマナーを
守った生き方をしてください」
と、付け加えて閉廷でした。
被告人もエバちゃんを"子供"って言ってたしね。
あとは、このアドバイスを被告人が忠犬のようにちゃんときいてくれればいいのだが。