国際観艦式招待艦:重巡洋艦「足柄」。

1937年5月20日。
英国スピットヘッド沖(ポーツマス軍港港外)にて開催されし「ジョージ6世戴冠
記念 国際観艦式」へ招待艦として派遣された重巡「足柄」。

重巡洋艦「足柄」(妙高型三番艦/昭和4年8月20日就役)
※「足柄」の左舷後方は独海軍 装甲艦「Admiral Graf Spee」。


「まるで飢えた狼のようだ」
「我々の重巡洋艦が豪華客船に見える」

英国海軍士官や英新聞記者らの語った、この短い言葉は日英海軍の
重巡洋艦/軽巡洋艦に対する用兵思想の違いと共に「足柄」の長所と
短所を同時に評価した名言と言えるでしょう。

1)島国にとって重要な船団護衛/植民地防衛/通商破壊阻止etc.の為ではなく
艦隊決戦へ特化したかのような単能的な重巡しか建造出来ない海軍。
2)船体規模から考えると重砲雷装＝用兵側の要望を盛り込み過ぎた艦艇。
3）航洋性/傾斜復元性/航続力に疑問がある。
4)主機/缶の換装etc.大規模な近代化改装が困難。
5)居住性が劣悪で長期間の作戦行動には不向き。

当時の軍令部/艦政本部や国内各主要新聞が、この短い感想の
本当の意味を理解していたのかどうかはミステリーですね。

HMS「サフォーク」(ケント級重巡/1928年2月7日竣工)
1934年6月5日、東郷平八郎元帥 国葬参列艦。