久しぶりの仕事ブログです。
今回は…中古車屋さんからのご依頼。
E90のBMW 3シリーズ、320i 。
依頼内容はトランクが開かない、です。
現場に到着して詳しい状況を確認すると、
バッテリー交換をしようとして旧バッテリーを外し、新しい
バッテリーを装着。ターミナルを接続しようとした所バチバチと
スパークしたので怖くなった。ターミナルを外してそのままトランクを
閉めてしまったとの事です。

最近の車のトランクは、ノブを引っ張りガチャッと開けるタイプでは無く、
トランクオープナースイッチをポチッと押すとモーターが動いてロックが解除されるタイプが増えています。
そして、盗難防止の面からトランクにはキーシリンダがありません。
そう、このE90の3シリーズのセダンはトランクにキーシリンダが無く、キャビン(室内)からのトランクスルーもありません。
そして、電気式のトランクオープナーの為バッテリーが無い(上がってしまうと)と、トランクは完全に開けられないのです…。
通常のバッテリー上がりでしたら、エンジンルームにあるジャンプスタートターミナルにブースターケーブルを接続して外部からの電源を供給すれば何の問題もありません。
しかし、今回は相当に厄介です。
エンジンルームからのジャンプターミナルに電源を送っても全く反応がありません。一瞬、なぜだ???と考えてみる。
バッテリーターミナルが外れていても、ジャンプターミナルに電源供給すれば大丈夫。なのに…なぜだ?。
もう一度作業したスタッフに状況を聞いてみる。しかし、よく覚えていない、と言う…(°_°)。
以前にE90のバッテリー交換した経験の記憶を辿ると…。
バッテリー上部には各部に電源を分配するユニットがある。このユニットを外さないとバッテリーを外すことができない。
ん〜、キナ臭い嫌な予感がする…。
そう、この分配ユニットが外されたままだとすると外部から電源供給ルートがありません…。
もう、トランクの中がどうなっているのか見れないジレンマに苛立ち、炎天下で30℃を超える気温に体力消耗も半端ない…。
何とかして車両のバックアップ電源系統に電源を送らなければならない。
エンジンルームにあるオルタネータや電動ファンなどの電源系統はスターターと同じジャンプターミナルに接続されているので×。
灼熱の室内(当然パワーウインドウも開きませんので)助手席グローブボックス奥にあるヒューズリレーボックスを見てみる。しかし、適当な所から電源を送ることは危険極まりない。もし、失敗すればどんな障害が起きるか計り知れません。
すると店員さんから、「まだ開きませんか?」と…。
待ちきれない店員からのプレッシャー。なかなか開けることができなかった私にスタッフの方はディーラーに助け舟を求めると…。
BMW正規ディーラーに電話をかけ始めました。
「そうなると、トランクに30センチ四方くらいの穴をサンダーで開けるしかありませんね〜。トランクは不正に開けられない様にしっかりできてますから。そうなるとトランク一式交換、40〜50万位かかりますね。」とまさかの回答。
焦るスタッフ。ま、確かにトランクを切り刻んで穴を開ければ間違いなく対処できる。開けられない物を開けてくれと言われればそれしか無いですよね、との会話に顔面蒼白のスタッフ。すると、「鍵屋さんを呼びます」と店員。
キーシリンダが無いのに鍵屋さんを呼んでどうするのかな〜とか思いながら、スタッフの方は相当テンパっているご様子。
さて。周りがテンパると私は冷静になっちゃうタイプなので、作業に戻ります。
そして…。

開けました。
セキュリティの関係上方法等をネットにアップはできませんが、車両側の配線や制御ユニット、コンピュータ類にダメージ、故障、障害を与えることなく開錠しました。
店員さんもホッとして居ました。
そして、トランクの中を確認すると、

やはり推測通り、電源分配ユニットが外されたままでした。
今回は、
①バッテリー交換が完了する前にトランクを閉めたこと
②トランクにメカニカルキーシリンダが無く機械的に開錠出来ないこと
③室内からのトランクスルーが無いこと
これらの要素が重なったことが原因です。
電源分配ユニットを外さないとバッテリー交換ができない構造って言うのも問題アリかとは思いますが、まずは作業完了して各部の動作チェックをしてからトランクを閉めてもらいたいなと感じました(*^ω^*)。
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お仕事 | クルマ
Posted at
2017/06/25 09:38:25