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大門 圭介のブログ一覧

2016年10月27日 イイね!

誤診断??O2センサー交換しても直らない…

誤診断??O2センサー交換しても直らない…皆様こんにちは。

今日はRJ1スバルR1の修理のお話です。

先日、お取引先の修理工場まで出張での仕事に行きました。
依頼されていたお車の点検が終わり、ご挨拶をして帰ろうとした時にそちらの社長様から、「エンジンチェックランプが点いてるので、ついでにちょっとテスターつないで見てくれるぅ??」と言われました。
「ウチのショボい診断機では、O2センサーヒーター回路異常って出るんだけど、その診断機でも同じかねぇ?」と。
早速診断テスターをつなぎ、故障コードを読み出します。
やはり、同じくO2センサーB1S1のヒーター回路断線とでました。
私は、「O2センサーのヒーター回路断線と出ますので、とりあえず単体テストしてからの最終判断した方が良いですよ 」と伝えると、「ダメなのは2つあるうちのどっちかな?」と聞かれました。
そちらの修理工場様でのテスターではそこまでの診断が出来ない様でしたので、
「触媒上流側、ボンネットを開けて見える方で、エキマニについている方が故障と出ています」とお伝えしました。
もう片方のO2センサーはリフトアップして下側から見ないと見えません。
「ありがとう‼とりあえずこの車は中古車屋からの依頼なので見積を先方に送ってみる。」との回答でした。

そして、本日お電話があり、「言われた所のセンサー交換したけどエンジンチェックランプ(警告灯)が消えないんだけど‼」とお電話があり、最優先で駆けつけました。
早速診断テスターで通信を確認しながら状況をお伺いします。

O2センサーは上流側、下流側ともに交換した。
中古品ではなく新品を使用した。
締め付けトルクは計測していないがガチガチには締めてない
診断テスターはスバルのプログラムでテストした。
OBDでは試していないとのこと。
O2センサー単体テストはしていないこと(してないんだ…)。

でした。
すると、やはりO2センサーヒーター回路断線のコードが出ています。
あっ、しかし…。今回は
O2センサーヒーター回路断線B1S1
O2センサーヒーター回路断線B1S2
と2つのコードが出ています。
両方とも新品に交換したのにオカシイ…。
以前RC1のスバルR2でO2センサー回路を点検した時のO2センサーヒーター回路を思い出しながら、もう一度問診です。
センサー交換をした時、
バッテリーマイナス端子は外したか。
センサー交換する際はSSTを使用したか
センサーがカジりついていたり破壊しての取外しはなかったか
センサー配線をニッパー等で切ったりしなかったか
を確認すると、取り外したセンサーをみせてくれました。
ねじ山カジや破壊、配線切断など無くO2センサー用ソケットを使用しておられました。

ここから先は診断テスターだけではなく、サーキットテスターを使用して点検をしなければならないのでお預かりして詳しく調べる事になりました。
もちろん取り外したセンサーも一緒にお預かりです。
まずは取り外したセンサーのチェックです。
不良出ていた上流側のセンサーをチェックするとヒーター回路抵抗値が∞Ω、つまり完全に断線しています。
下流側のセンサーをチェックすると、23Ω。断線はしていませんし、ヒーターの抵抗値としてはまず妥当であると判断しました。
そして、車両側のチェックです。
上流側センサーのカプラーはカムカバーの真上で丸見え、とても点検しやすいです。まずはテストケーブルを使いヒーター回路の点検です。
ヒーター抵抗値が約3Ω。これ、明らかに少ない…。
車両側カプラーでO2センサーの電源を調べると、電源が来ていません。グローブBOX奥のヒューズをチェックするとエンジンヒューズが切れていました。
このヒューズはO2センサーのヒーターに直接電源を供給し、エンジンECUでアースにコントロールされています。
ヒューズを交換後、O2センサーヒーター回路に電流計を接続して計測してみます。直接ECUに接続して大電流が流れてしまうとECUを破壊してしまう可能性があるからです。
センサーの電源側を結線すると3.5Aの電流が…。明らかに流れ過ぎです。うう~ん、やはり新品のセンサーがダメとしか考えられない。
ん??
あれ??
このセンサーのヒーター回路って…確か…。
と思っているうちに電流値が下がっていき、0.7Aほどに。この位だと適正値だな。でも、オカシイです。
エンジンECU側(アースコントロール側)の接続をしていないのに電流が流れています。
これって…。先程切れていたヒューズはIG電源ではなくバックアップ電源。と言う事は、このままだとキースイッチ位置に関係なく電流は流れ続け、バッテリーが上がりますし、ヒーターがアッと言う間に寿命がきちゃいます。
ヒーター回路のアースコントロール側端子を一瞬アースに接続してみると、15Aの電流計が振り切れ、同時に先程のヒューズがまたもや溶断しました。
これでヒューズが飛んでしまった原因、診断結果の理由が繋がりました。

①上流側O2センサーのヒーター回路断線(最初の故障)

②エンジンチェック警告灯点灯➡故障診断・B1S1ヒーター不良

③O2センサー上流側、下流側共に交換

④バッテリーを接続し、診断テスターで故障コード消去できない。再度故障コード読み取り上流、下流ともに故障コード検出。
⑤キースイッチをONにした瞬間、エンジンECUがO2センサーヒーターを作動、この瞬間にエンジンヒューズが溶断、上流、下流のO2センサー共に電源が供給され無いため両方のO2センサーの故障コードが出力。
⑥交換したセンサーによる故障被害拡大。

となっていたと思われます。
不可解な流れが掴めました。上流側O2センサー単体でののヒーター回路を点検します。
ヒーター抵抗値約3Ω。
ヒーター電源側端子↔センサーボディ間約3Ω
ヒーターECU側端子↔センサーボディ間約0Ω
そして、センサー配線を揺すると…
ヒーター抵抗値約0Ω
ヒーター電源端子↔センサーボディ間約0Ω
ヒーターECU端子↔センサーボディ間約0Ω
ん。バッチリショート。
面白そうなので、O2センサー側の端子も含めて点検。
ヒーター電源端子↔センサーアース端子間約0Ω。
ヒーター電源端子↔センサー出力側端子間計測不能。
ヒーターECU端子↔センサーアース端子間約0Ω。
ヒーターECU端子↔センサー出力側端子間約740Ω。
もはやこのセンサー、意味不明です。
新品なのに…。しかし、新品不良を申告するのは大変責任が重いです。事実をしっかりお伝えして、上記の理由から新品の部品が不良と判断しましたとご説明をしました。
すると…修理工場の社長様が「ウチも依頼元の中古車屋さんから部品が送られてきたんです。社外部品ですよ、それ。」
………(-_-;)。
「あっ、ああ、そうなんですね」。社外部品=粗悪部品と決めつけるのは短絡的すぎますが、今まで社外部品で素晴らしい物って経験無かったりします。そして、社外部品メーカーの名前を聞いて…「ああ、それなら新品不良の可能性が高そうですね」と言ってしまいました。
もちろん、社外部品の全てを否定するわけではありません。社外部品と言ってもOEMも有ればバルク品もあります。そして、コピー品も有れば再生品、リビルド部品って時もあります。しかし、今回のメーカーはダイレクト点火コイルでも痛い目にあっていますし、カム角センサーや汎用リレー等でも苦労させられた経験がありましたので…。
今回のO2センサーは純正価格29500円、恐らく社外は
半分以下だと思います。
んん~。
マジで制御に関わる大切な部品は純正をオススメします。
今回のトラブルはエンジンECUに障害が出るような回路故障ではありませんでしたが、最悪の場合エンジンECUの破壊等重大な故障を誘発しかねない事もあります。
社外部品を選択する時は、価格の安さという恩恵が受けられますが、あくまでも社外部品と言うリスクも同時に入手しているのです。社外部品には保障がついているものが多くなりましたが、果たして社外部品の不具合や不良の影響で他の部品が壊れてしまったものまで保障してくれるのか、そしてそれに伴う点検費用、作業工賃まで見てくれるのか…。あ、そんな事を求めては行けませんね…。
念のため下流側O2センサー求めては点検しました。
とりあえずは大丈夫そうですが、ヒーターの抵抗値が約55Ω。センサーの温度などによっても多少は上下すると思いますが、基準値からは大ハズレです。
こちらも合わせてご報告、修理工場の社長様は、「社外はやめた方が良いって報告しておきます下流側も責任が持てないです」と伝えますとのことでした。
今回も社外の新品部品でハメられましたね…。
Posted at 2016/10/27 10:20:54 | コメント(1) | トラックバック(0) | スバル R1 | 日記
2016年10月25日 イイね!

ポルテ ナビ・バックカメラ取付け。

ポルテ ナビ・バックカメラ取付け。皆様こんにちは。

今日はトヨタポルテに社外ナビ取り付けと純正バックカメラの取付けのご依頼です。
まずは純正装着のナビを取り外します。
もしかしたら、別の車に取り付けするかもとのことでしたので、配線関係も再利用出来るように取り外しました。
フロントガラスのアンテナフィルムはさすがに剥がしてしまうと再利用は出来ないのでご了承頂きました。

さて。純正ナビと配線回りの取り外しが完了し、新しいナビの地デジアンテナフィルム4チャンネル分を張り付け、ケーブルをインパネ中央まで引きます。余長処理はナビ裏側ではなく、別の場所へ。車両ハーネス等とは別けて引き回します。
GPSアンテナを取り付けたら、バックカメラ配線の加工です。
純正バックカメラをそのまま生かしたいとの事ですので、社外ナビへの接続をします。
トヨタ純正のバックカメラはナビから6Vの電源が供給されて動作するタイプですので、バックランプ回路の12Vからレギュレーターを使い6Vを作成、バックカメラへ供給するようにしました。
この辺の部品は常に在庫しているのですが、またまた切らしており、急遽秋葉原まで。
電車を乗り継ぎ、わずか百円程度の部品を購入に…(-_-)。
戻ってすぐにレギュレーター回路を作成、安全性とノイズ対策をして安定動作のための回路を組み込み、車両に組み込みました。


部品は製作した回路の一部です。


車両側のハーネスを加工せずに取り付けするため、バックカメラカプラーのオス側のカプラーとRCAの黄色のジャックを使い、カメラ電源ユニットを製作しました。
組み付け後に各部の動作チェック、カメラの描写を確認してから車速信号の学習して完了です。
お昼過ぎにお預かりして、秋葉原の往復、カメラの電源ユニット製作を含めて16時30分にはご納車できました。
17時迄に仕上げて下さいとのことでしたので余裕もってお届けできました。
Posted at 2016/10/25 18:04:29 | コメント(1) | トラックバック(0) | お仕事 | 日記
2016年10月24日 イイね!

アーシングの必要性

アーシングの必要性皆様こんにちは。

今日はちょっと仕事とは違うのですが…。

中学時代からの友人でありみんカラのお友達でもある赤カロゴン氏が遊びに来ました。
他愛もない話をしつつ…トランクの中からパワーアンプ用の電源ケーブルが出てきました。そして…
「このケーブル余ってるから捨てるのもなんだし、アーシングでもしよっかなぁ~✨」
と。私は…
「いやね、別にね、まあ、付けてもよいけどさ。まあ、努力した結果とかは無いよ。オーバーハングに重たいケーブルを付けるのもねぇ…。ま、トランクに重たいケーブルをしまって置くだけよりはマシかなぁ…。」
等と、アーシング完全否定派(状況による)の私としては、このような物を付けるのは愚の骨頂…(言い過ぎです)と思いながら、まったくやる気もなく取り付けにかかりました。
オーナーからも
「やっぱり効果とか無いの?全然無いの?無駄なの?」
と言われるので、私は
「まあね、効果が0とは言わないけど、体感できる程の効果は無いよ。目で見て分かるのは、エンジンルームのビジュアル的な体感かな…」
と、完全否定な私。持論としては…
自動車メーカーは論理的にアースケーブルの設計をしている。
アースケーブルの容量が不足すれば各部回路の動作不良や最悪の場合火災など重大なトラブルになる。
等々、純正で十分と思われる事がアースケーブルを増設する理由が見当たらないのです。
しかし、アースケーブルの経年劣化により修理が必要な場合もあるのは事実です。もちろんエンジンルームの熱にもさらされていますし、銅線は酸化しますからね。
あくまでもこれは、純正のアースケーブルが設計通りのスペックを満たさなくなった時の事です。これは、チューニングや改造ではなく修理です。
あ、あと、最近の車両は充電管理されていますので、間違ったアースケーブルの増設などでバッテリー上がり、充電不良を起こしたりしますのでご注意を。

さて。
アースケーブルを取り付けるお車は…。
平成5年式のスバル ヴィヴィオ。
走行は7万㌔台ですので、年式の割には走行が少なく、全体的な痛みやヨレも感じないパリッとしたお車です。
当然の事ながら、エンジンスタートも問題無くバッテリー上がりや電装系のトラブルはありません。
バッテリーのマイナスターミナルから8スケア位でしょうか、純正のケーブルがバッテリー下辺りにボディアースとしてボルトでとまり、そのままエンジンブロックに延びています。
確かに貧弱に感じますが、スターターの回りが重いわけでも無いのでまったくもって十分でしょう。
せっかくですので、アースケーブルをつける前に、いかに無意味な物を取り付けるかを…いや、あまり効果が無いんだよ、と言うのを分かってもらうためにとある測定をしました。
エンジンスタート時(クランキング時)のバッテリーのマイナスターミナルとエンジンブロックの電位差をはかります。
ここにはっきりとした電位差があれば、純正アースケーブルは容量不足・劣化していると思われます。
まあ、多少の電位差があるのは当たり前(スターターは相当な電力が必要な為)ですが、ほぼ0でしょう。
オーナー様と私の二人で見てみます。
オシロスコープにて。

エンジン始動‼きゅるるるるる。

んん??。思ったより電圧上がるなあ。こんなに上がるか??。約1ボルト。まあ、瞬間的だからなぁ。もう一度やってみて~。
きゅるるるるる。
やはり、突入時には約1ボルト。クランキング中も0.2~0.3ボルトの電圧がかかっています。
ま、クランキング時間は1秒とかだし、こんなもんですよね。
そして、アースケーブルを製作します。
どうせ付けるのですから、効果が出やすい様にできるだけ最短距離(当たり前です)で、エンジン側はスターター取り付けるボルトに共締めし、バッテリー側はターミナルに直接取り付けます。

先程とテスターリードの位置を変えず(外していません)にアースケーブルを取り付けてクランキングします。
きゅるるるるる。。
おおっ?おおおっ???
ありゃ?半分以下になってる?
確かにオシロスコープの波形が小さくなった。ピーク電圧も0.4位かな…。
ええっ、そんなに変わるかぁ??
と思いつつ、もう1本バッテリーマイナスターミナルから今度はスターター固定ボルトの反対側を使ってアースケーブルを接続してみました。
きゅるるるるる。
おおっ?おおおっ??なんじゃこりゃ。
予想に反してまたもや小さくなってる。
ピーク電圧で0.2位か…。
確実に小さくなってるなぁ。
でもね、でもね。体感できる変化は何もないんだよ。
オシロの波形が少し減っただけ。
なんも変わらんでしょ??と少し動揺…。
でも、オシロの波形が減ったのは事実。
そこで、一旦後付けのアースケーブルを外し、ボッシュバッテリーテスターで測定。印字した後にアースケーブルを接続して測定。
このバッテリーテスター、ボッシュのBAT131と言うしっかりした物です。
そして、アースケーブルを付けたときと外した時のデータを比較すると……。

あ、あり得ない…(-_-;)
いや、受け入れ難い事実が…。
印字したのは一回ですが、何度試しても同じ結果が出ました。
いや…あの…。あのね。何て言うのかなぁ…そのぉ…。
うん。
いやっ。
えっと…。

こ、こ、効果あったね…。

で、でもね。体感的には何にも変わらないでしょ?
ねっ?ねっ??
変わらないって言ってよぉ……。

そうです。クランキング時間が明らかに短くなってます。
そして、クランキング時のバッテリー電圧も下がっていると言うことはスターター回路の抵抗値が減っているのです。
クランキング時にバッテリーにとっては負荷が大きくなったと言うことです。しかし、クランキング時間が短くなっています。
とても面白い(納得し難い)結果となりました。
次回はもっと本気で、スターター電流も計測しながら更なる真偽を求めたいと思います。⬅納得してないだけ(-_-;)

結論。
ごちゃごちゃ言う前に事実を見ること。
アースケーブル君ごめんなさい。
純正アースケーブル君と仲良く電気を通してね🎵。

以上、日曜日の出来事でした。

Posted at 2016/10/24 14:55:42 | コメント(2) | トラックバック(0) | お仕事 | クルマ
2016年10月22日 イイね!

パワーウインドウ全席不動…

パワーウインドウ全席不動…皆様こんにちは。

今日はハイラックスサーフのパワーウインドウ全席不動の修理です。

ある程度年数が経つとどうしても起きるトラブルのひとつです。

すでに修理工場様でパワーウインドウのマスタースイッチは新品交換済みです。でも、治らなかった…とのご依頼です。

パワーウインドウのマスタースイッチの電源を調べると、やはり電源が来ていません。パワーウインドウのメインヒュージブルを見ても切れていませんので、配線の断線やカプラーでの接触不良から溶損の疑いです。
お客様からは、ドアを開けるとパワーウインドウが動くときがあるとの事から、車体とドアを繋ぐ蛇腹状のハーネスチューブの中の配線が疑わしいので、まずは車内のドアハーネスカプラーからドアハーネスを切り離し、ドアトリムを分解してドア側へハーネスを引き抜きます。
ハーネスチューブやリテーナーの位置等を寸法で計り、メモしておきます。
そして、ハーネステープをぐるぐるとはがしてゴムの蛇腹を引き抜きます。
すると…
見事に断線しています。
電源ケーブルなどはどうしても太くなります。ケーブル内の心線も太いものを使っているとこのように頻繁な開閉に伴う傷みが出てしまいます。
この部分を接続するのではなく新しい配線を使います。
ドアの開閉の度に引っ張られたり戻されたりするので仕方ないですよね…。

新しい配線を使い引き直し、従来よりも曲げに強い配線にして修理完了してお客の元へお帰りにお戻りなりました。
Posted at 2016/10/23 16:11:49 | コメント(0) | トラックバック(0) | お仕事 | 日記
2016年10月22日 イイね!

エヴリィの時々始動困難…。

エヴリィの時々始動困難…。皆様こんにちは。

今日はここ数日間点検をしていたスズキエヴリィのお話を…。

スズキエヴリィ 走行距離299000㌔㍍(もうすぐ30万㌔)。
症状は…。
30分位走行してエンジンを4~5分止めた後に再始動をするとエンジンのかかりがとても悪く、かからなくなってしまう時もある。しかし、1時間ほど放置しておくと普通にかかってしまったり、それでもかからなくなってしまったりと…。
放置している間の時間や気候などは関係ないようです。
走行している間は問題無く、エンジン不調やエンストは起きないそうです。
実はこのお車、10万㌔の時と19万㌔の時にリビルトエンジンに乗せ替えて、今回は3回目のエンジン乗せ替えをしたそうです。
試運転をして良好、1度お客の元へご納車しましたが、数日後に症状が現れて入庫となりました。
取引先の修理工場さんで点検をしたのですが、原因特定に至らず、スズキディーラーへ入庫となりました。
しかし、ディーラーでの点検でも再現性が低い事と走行距離から判断すると、エンジンECUと車体ハーネスやセンサー類インジェクターなどのアクチュエータをすべて交換しないと直らないとの事で見積り出来ないとの解答だったそうです。
とりあえず、エンジンコンピュータを中古にてご用意、車内に積んで(このような診断で中古はちょっと…)。
私の所へ入庫となりました。

とりあえず診断テスターを繋ぎ、故障コードのチェック。
故障コード無し(あれば見てるか…)。
リアルタイムデータも特別異常値を示してはいないのでOK。
まずは基本点検から。
疑わしいのは燃料ポンプ。30万㌔で無交換であることからまずは燃圧点検からスタートしました。
症状の再現性が低いのが一番の悩み所です。
燃圧は2.7~3.0㌔と規定範囲内。エンジン停止30分後にも2.7をキープしています。
この点検数日後かけて10回ほど行いましたがまったく症状が現れず…。
再現性が低すぎるなと感じながらも点検をしていると、ついにクランキングするもののかからなくなりました。
この時の燃圧はしっかりかかっています。
これで燃料ポンプ、燃料フィルターはOKと判断しました。
リビルトエンジンを疑うわけではありませんが念のために圧縮点検。こちらも良好でした。
そしてテスターで診断するも故障コード無し…。
急いでハンディオシロを準備してクランキング。
すると、なんと普通に始動できてしまった…。
むうううう…。車にバカにされているような…。
もしかすると、インジェクターのガソリン漏れ(外ではなくインマニ内部への液垂れ)を疑いました。
エンジン停止後、燃圧低下がなかったのですが、微妙な漏れを疑いインジェクターをすべて外してデリバリーパイプに固定して液垂れのチェックもしましたが、漏れは無し。
そして、水温補正を疑い、水温センサーのチェックもしました。
こちらも正常で、センサーのカプラーの接触不良もありませんでした。

さあ、ここから本腰をいれての点検です。まずはカム角センサーの出力を見ます。
通常時の波形をみてみると、なんかノイズっぽいのが混ざっていますが、きちんと波形が出ています。
何度と無く再現していると、きました。
3秒ほどクランキングしてもかからない。何度かクランキングするもかからない。そして、カム角センサーの出力が無い…。カム角センサーの電源とGNDは取れています。
カム角センサーで決まりかなと思い、数回の点検を繰り返します。すると、やはりかからない時はカム角センサーからの出力が無い。そこで了解を得てカム角センサーを交換してみました。すると結果は良好。これで完治かとおもいきや、またもやクランキングするもののエンジンが不始動。初爆もなくまったく同じ症状に…。
さらに点検を進めます。
取り外したカム角センサーを車両カプラーに取り付けてドライバーをセンサーに近づけて出力をチェックします。
すると燃料ポンプが動きます。う~ん。大丈夫だなぁ。
こうなったら、始動不能な原因となりそうな制御に関するセンサー・アクチュエータ類モニタリングした方が早いと判断。
カム角センサー
プレッシャーセンサー
水温センサー
O2センサー
インジェクター3本
イグニッションコイル
ISCの動作状態
燃料ポンプの状態
が分かるように2chオシロを3台、1chオシロを2台、デジタルテスターと診断機を接続して症状再現時のデータをとらえました。
さすがにこれだけのテスターを繋いだままの走行はできないため、停車状態での再現を願いました。
点検する事数日。
ついに来ました。
症状発生です。
各部パラメーターをチェックします。
センサー系統の電源は良好。
すると、インジェクターは3本とも噴射していません。
カム角センサーからの出力がおかしい(歯抜けとノイズ)
燃料ポンプが動作しない(燃圧は2.8㌔位で保持したまま)
しかしコンピュータの故障コードは出力無し。
やはり、カム角センサーがどうしても怪しいです。
電源・GNDともに良好、出力が不良となるとどうしてもカム角センサーが疑わしいのですが、すでに新品交換済み。
もしかすると、カムプーリーとカム角センサーのギャップ不良か?と思い、タイミングチェーンカバーをはずそうと思いましたが、他人を疑う前にもう少し点検を。
カム角センサー、プレッシャーセンサー、水温センサー等
主要センサー類の電源の瞬断をチェックしてみました。
こちらは問題無し。次にGNDの瞬断をチェック。
すると…。な、な、なんと。カム角センサーと電流センサーのGNDがおかしい。
そういえば、カム角センサーの出力がノイジーだったことを思い出す。
カム角センサーのGNDをテスターリードでしっかりとGNDと接続すると一発でエンジンが始動した。
これでセンサー系統のGND不良があることが明らかになりました。
さあ、GND配線の点検です。すると、インマニの奥下側にあるアースボルトを発見。これを触ってみると見た目には締まっていますが、丸端子は動きます。
やはり、ここで接触不良を起こしているのは間違いなかった様です。
ここを締め付ける前に、1度アースボルトを外して丸端子をチェックしました。すると、何本ものGND配線が集合しており、そのうちの数本が丸端子の圧着部分から断線して切れて離れており、断線した配線同士が接触したりしなかったりしていた形跡がありました。
これらを調べて見たところ、カム角センサー、車速センサー、電流センサー、エンジンコンピュータのGND(一部)であることが分かりました。
これらをすべて修復した所、症状は改善されました。

今回は複数のGND不良があり、他センサー等に回り込んでGNDが取れるときと取れないときがあったためにこのような診断に見回れたようです。

今回の故障の根本は、エンジン脱着時にハーネスが引っ張られた可能性とリビルトエンジンにハーネスを移植した際のボルトの締め忘れが原因だったと思われます。

そういえば…。修理工場様からお車をお預かりするときにナビの調子が悪いと言っておりました。
ナビが勝手に進んでしまう…と。
結果的に、このナビの故障もなおってしまいました。
カム角センサーのGND不良によりカム角センサーの出力が車速センサーに回り込み、車速信号となったのでしょう。

でも、このナビの調子が悪く、勝手に進んでしまうみたいと言った話をきちんと聞いていればもう少し早く発見に至ったかもしれないと思うと情けなく思います。
やはり問診から得られる事は大きいと痛感しました…(-_-)。





Posted at 2016/10/23 15:39:52 | コメント(1) | トラックバック(0) | お仕事 | 日記

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「こんなのアリ?ヤバいと思うヨ。。。 http://cvw.jp/b/1685619/48453554/
何シテル?   05/27 10:51
大門 圭介です。よろしくお願いします。 デビューしてみました。 自動車電装整備士をやってまして、いつも車に囲まれて生活しています(^^)。 車輌診断機をは...
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