
超久しぶりの投稿で・・・・
今回はだいーぶヤバイ案件です。
お客様のとある車両。強化パーツの取り付けをした翌日、気持ちよーく
走行中の出来事だったそうです。
タイヤのバーストが先なのか車体側の損傷が先なのかは分からない、とのこと
ですがとりあえず深夜レッカーにて搬入されたこちらのお車。。。
サスアーム(ロワアーム)がひん曲がっております。
グンニャリと・・・
そしてこのサスアームはいわゆる「強化品」とのことで購入・取付をしたモノ。
新品を通販で購入、昨日取り付けをした。24時間経たないホヤホヤの新品です。
確かに真新しくピカピカ。買ったばかりなのは一目瞭然。そして
確かに補強のガゼットが溶接されています。しかも2か所も。とても重く、
結構がっちりとしたガゼットがしっかりと溶接されてます。
さぞかし強そうなのですが、ちょっと考えれば「?????」的な部分も
チラホラ。メンバーボルト用の丸いサービスホールがあるところ、ココとっても
脆そうに感じるのですが、この周辺は何もしていない様子。こういった部品は一部だけ強化すると強化してない部分が脆くなるのは当然で…。
ガゼットが入っていない所がグンニャリと曲がってしまっています。
まあ、「そりゃそうなるよな」と思う壊れ方です。さて。お客様がノーマルの
ロワアームを処分せずにお持ちでしたので「走れるように交換して欲しい」との
事で応急的に交換をしました。
もう一度同じ「強化品」を購入して取り付けするので、とりあえず走れるように
して欲しいとのことです。
では早速交換を…と思いつつ外した曲がったロワアームとお持ち込みの純正の
ロワアームを比べて。形状は良好、変形とかはありません。
さて、組み込みを、と思いつつ…ちょっとなんか違和感がある。
純正の方が抜群に軽いなぁ、そりゃそうか、と思いつつ眺めると、やっぱり
感じた違和感が気になる。。。
そんな簡単にひん曲がるかなぁと思いつつ眺めていると、
何となくですが「変な違和感」がどうしても感じる。気になるんですよ。
こんなに一気に曲がるもんかね…。かなり危険な気がするよなぁと。
同時にスタビとの干渉で曲がったのか?ほかに要因が無いかを確認してから
もう一度サスアームを見比べると。違和感の原因がココにあった・・・
手触りやプレスの具合、表面の状態などが一直線上に並び。。。
あー。たぶんそうだな、と思いつつ計測を。
もうこの写真でお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、はっきりと
見た目で分かります。
こちらは純正です。清掃もせずとりあえずの測定。約3.6㍉です。
そして曲がってしまっているこちらの部品を。
約2.5㍉です。
モチロン、しっかりとした測定ではありませんので、素材の鉄板が何ミリ厚なのか
までは分かりませんが、さすがに1㍉もの誤差はでませんよね…。
何か所か測定しましたが、やはりこの強化部品の厚みはほぼ2.5㍉です。
対する純正はどこを測定しても3.5㍉以上はあります。
結論。こちらの強化ロワアームはおそらく「社外品」をベースに作られたモノ
で、その素材となっている本体が純正と比べて「薄い素材」だろう、と言う事
になりました。
ウーン…強化品ネェ…。相当に疑問が残る結末でした。
アームにはメーカーの刻印やロゴが無く、お客様にもどこのメーカーのモノかを
聞いたり確認もしませんでしたが、「強化品」を謳うこういったパーツにこんな
「落とし穴」がある事には正直びっくりです。
お客様も「純正をベースに強化・加工しているものと思った」とおっしゃって
いました。まぁ、普通に考えればそうですよね。最低でも同じ品質・強度の部品
をベースにガゼットを付けるのが普通かと思います。
さすがに4.5㍉厚の鉄板でプレス・・・を求めるのはちょっと無理そうですし。
お客様はこのアームを購入し取り付けアライメントまで含めると15万弱かかった、と言っておりましたが、この結果には相当に憤っておりました。。。
個人的な考えですが、この部品はやめておいた方がよさそうですとお伝えした所、
オーナーさんも「この部品、ひどすぎるよね。やっぱり同じものの購入はやめた方がよさそうですよね」とおっしゃっていました。
そして、嫌な予感がしたので診断テスターにてESP(横滑り防止装置)をチェックすると左フロントの車速センサーに「断線」の履歴がありました。
左右ともタイヤを外しステアリングをロックtoロックまで動かしてみると、メーター内に
この表示が出ました。センサーを取り外して断線のチェックをすると、軽く動かすだけで断線の症状が発生。こちらも併せて交換が必要ですとお伝えしました。
取り急ぎ走行して帰りたい、と言う事でしたのでセンサーケーブルは手持ちであった「産業用ロボットアーム」に使われる柔軟性が高く断線に強いケーブル」を使用して暫定修復、取付けて試運転して問題のないことからこのまま走行してお帰りになる事になりました。勿論、すぐに純正部品への交換を、と言う事でご了承を頂いたうえでの修理をさせて頂きました。
4日後、取り付けとアライメントを行ったお店で「この部品はやめた方が良い」と言われて改めて弊社にいらっしゃいました。
純正のサスアームでアライメントを取り直してもらったとのことです。
弊社にて純正のESP車輪回転センサーを交換して欲しい、とおっしゃって頂き、
修理をさせて頂きました。純正品交換後、試運転と検知車速信号に差異が無いかの
確認をし、残り3輪のセンサーも脱着して鉄粉・異物などの清掃後もう一度試運転
をして良好ですのでご納車となりました。
ここ数年、「社外部品」がとても多く出回り、その中にはこういったモノもある
という事の典型的な例でした。まあ、ノーマル車でゆーっくり乗っていれば問題なかったのかもしれませんし、お客様のお車には車高調や調整式スタビリンク等が
装着されていたので何とも言えません。フルノーマル車なら大丈夫だったかも。
原因が「素材鉄板の厚みがうすい」だけとは限りませんのでこれ以上の詮索や調査
は致しませんし、どこの商品なのかもわかりませんので今回の案件はコレでCase Closedと致します。。。
個人的には「強化品」と言っておきながらこの内容は「あり得ないな」と感じております。
皆様もご注意くださいネ!
ではまた(^^)ノ。