久し振りに兄と登山に行くことになった。
今前回は神奈川県の西丹沢にある畦ヶ丸に登りましたが、今回は静岡県の藤の裾野から越前岳に登りました。
予報は12時頃(山頂に着く予定時間)で風速13m、気温-4度。
登山をするには、コンディションはあまり良くないと出ていました。

朝は兄が寝坊したので、ゆっくりスタートでした。
高速を使って渋滞につかまりつつ、富士の裾野まで何とか走り
山神社の駐車場に車を止めて、山頂を目指すことにしました。

駐車場には登山届が記入できる紙とペンが置いてあったのでそれに記入をしていると、兄が
「アプリから申請したから書かなくていいぞ」
と言われました。時代は進化しましたね。

スタート時刻は11:02

小さな鳥居が登山道の入り口でした。
小さな庵があったので、旅の安全を祈り手を合わせました。

兄が前を歩き、ビギナーの私はゆっくり後ろを付いていくと言うスタイルでの登山です。

10分置きに、兄のスマホからはアナウンスが流れ
「現在時刻は◯時◯分です、現在の標高は◯◯◯◯mです」
スマホのアプリがGPSで道を案内してくれ、道を外れたら戻るように指示までしてくれるのです。
便利ですね。

でも、山道を登りながら、ナビを頼りに進むと言うよりは、先人が残してくれた印を確認しながら、進む感じでした。
定期的に木にテープなのかリボンなのか巻き付けてあるので、それがなくなったらルートを間違えたとすぐに分かる訳です。

越前岳は、畦ヶ丸に比べ、石や枝が多いように感じました。
うっかり気を抜いて歩くと、踏んだ石が滑って体勢を崩してしまいます。

しばらく歩くと、愛鷹山のあしたか山荘と言う避難小屋に到着しました。
目的地ではないので、軽く観察し小休憩をしたらすぐに登山再開です。

あしたか山荘は数日過ごせるくらいの装備が整って居ました。薪、灯油、ガスコンロ、ガスボンベ。

昔、先人たちが山に登ってここにこの小屋を建てた人たちが居たと思うと、胸が熱くなります。

標高が1100mを超える頃から、足元が凍り始めました。

綺麗な苔。

ついに、山の稜線にたどり着き、左右が崖と言う場所に出ました。風が強く、とても寒いかと思いきや、歩いている私の体は発汗し、白い湯気がモクモクと立ち上がっていました。まるで寒さを感じないかのようでした。
途中、上着を脱いで、体温を調節しながら、汗で服がビショビショになるのを避けながら歩きました。

うーん、いい眺め。

旧50円札の絵にもなったとされる富士見台からパシャリ。
富士山には雲が覆い被さっておりますした。残念。

山頂に到着です。なんと1504m。
普段低山しか登らない私にとっては結構なハードワークでした。

気温は0度に近いですが、お日様が出ていたので、日が当たっている場所は多少暖かかったです。
日光で氷が溶けたのか、足元は沼地のようにグチャグチャです。
それにしても、山頂の風はとても強く、体がどんどん冷えるのが分かるレベルでした。

さて、食事の用意です。
今回は、白飯と肉と味噌汁とデザートにミカン、そしてコーヒー。
兵式飯盒で米を炊いている間、アルコールストーブでお湯を沸かしました。
持っていったアルコールストーブの五徳の足が広く、チタンの小鍋がスッポリ入ってしまうトラブルが有りましたが、五徳の足をひん曲げて対応しました。
アルコールが切れる頃にお湯が先に沸いたので、インスタント味噌汁を先に飲んで体を温めました。
それにしても風が強いので調理が大変です。
ご飯が炊ける音が聞こえたのでガスバーナーから降ろし、ひっくり返して蒸らしている間に、肉を焼きます。
今回は牛サーロインステーキと地元産の豚ロースです。分厚いランプ肉も持ってきていましたが、これは時間的に食べることができませんでした。

ご飯が炊き上がったので、焼けた肉を乗せて美味しく頂きました。
ここで、一人だけ登山者が登って来ました。どうやら三重県から一人で登山に来たようで、このあと3日間かけて他の山にも登るのだとか。
山の知識があまりない私は調理に集中しながらその話を理解することができませんでしたが、兄はとても楽しそうに話していました。
それにしても、外気温が寒すぎて、肉も米もさっさと口に入れないとすぐに冷めてしまいます。
出発の時間が遅かった事もあり、山頂で60分ほど滞在した後、急いで下山する事になりました。
何故なら、日が落ちてしまうからです。
写真を撮る余裕がなかったので、下山中の写真は有りませんでしたが、標高1000m辺りから、完全に日が落ちて、暗闇の中、スマホのライトの明かりを頼りに、下山する事になりました。

途中、写真を撮ってみましたが、まさに深淵。夜の山に昔の人達が近づかなかったのは、月明かりさえ届かない闇の世界になるからなんですね。初めて体験しました。
で、暗闇の中、登山ルートを外れ、1時間ほど山の中を彷徨いました。
人が歩かないエリアは、枯れ葉や枯れ枝が山積し、フッカフカになっていました。歩くとバキバキ枝が折れる音が聞こえ、ストック慎重に地面をつついて進まなければ、足を取られて滑落なんて事態になりかねない状況で、とてもスリリングでした。
砂利の多い場所では、すぐに足場がガラガラ崩れるので、先に降りている兄に落石がぶつからないか心配な感じでした。
でも、自然と恐怖心等は無く、日中に登山している感覚で歩き回っていました。
ようやく山道にぶつかり、少しばかり歩きましたが、すぐに倒木やら何やらで歩きにくい道に出てしまいまい、再びルートを外れてしまいました。
そこから100mほど道なき道を降り、ついにアスファルトのある場所に到着しました。
最後の関門は、山とアスファルトの間にある1m程の幅がある深い用水路。荷物を背負って膝が笑った状態で幅跳びをするとは思いませんでした(笑)
車に戻ると、1番近くにある温泉に入りに行きました。
しかしながら、温泉の汲み上げポンプが故障して居たらしく、地下水を加温した銭湯化していました。
それでも、冷えた体にはかなりの癒しでした。
で、温泉を出て着替えている最中に、山頂で出会った登山者に会いました。
世間は狭いですね。
今日はとても寒かったので、やはり人が考えることは基本的に同じようなものなのかもしれませんね。
半日山を歩き回り、遭難しかけてヘロヘロになりましたけれどいい思い出になりました。
家に帰ってから寿司を食べに行き、兄を駅まで送ってその日は終了。